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古い仕組みを使い続けること

最近はあんたの仕事はどんなことになっているんだい?

俺の仕事は、ごく最近部署異動になって、この20年やってきたシステムエンジニアとしての活動とは全く違う業種の仕事に携わっている。

まるで、また新人からやり直しているような状況だ。

それ故に、新鮮に感じることも多々ある。

今回は、そんな新しい職場で俺が感じたことをつらつら書いてみる回だ。

この年になって新しい経験ってのは、なかなかにレアだと思うからつきあってくれよな。

量販店の世界

新しい職場が担当しているのは、量販店の仕組みだ。いわゆる小売業ってやつだな。

まあ、俺たちも普通に買い物をすると思うので、だいたい想像出来るとは思うが、レジの仕組みだったり、売れ行きを加味した自動発注の仕組みだったり、そういうシステムを担当しているわけだ。

俺がシステムエンジニアとして経験を積んできた業種は基本的に出版業だ。出版業の特殊性については、前にも一回話したことがあるよね。

こんな感じで、出版業についてはある程度語れるくらいにはなっている。

ただ、出版業は斜陽産業なので、それだけやっているわけには行かなかった。そのため、割と色んな仕事をこなしてきている。

例えば介護福祉センターが共通で使うための記録のシステムなんてのをやったこともある。
あのときは、実際に介護福祉センターに行ってみて、現場の状況を見させていただいた。

なんというか、現場というリアルを目の当たりにして思ったのが、システムの向こうにいる人々ってやつだった。

それまで俺はどちらかと言えば、システムは要求事項を出すお客様の満足行くものがゴールだと思っていたと思う。

でも、そのリアルにふれることで、システムを使う人ってやつの存在を強烈に感じたんだよね。
俺の作るシステムはこの人達の幸せにつながっている。

それを強く感じることが出来たってわけだ。

で、量販店。

POSレジと呼ばれる部分とマーチャンダイジングと呼ばれる部分が仕組みとしてはある。

POSレジはあんたも普通に見たことがあると思うが、レジ端末とそれに伴うバックヤードの仕組みだ。
こいつは、まあ当たり前なんだが、パッケージとして提供している。

パッケージというのは、どこでも同じような仕組みになる部分を一つの商品として作っておいて、同じものをいろんなお客様に適用していくってやり方ね。

例えば、ワードとかエクセルとかは皆同じものを使っているだろう?あれもパッケージの一つだ。

対して、マーチャンダイジングってやつは、お客様ごとに作り込まれることが多い。マーチャンダイジングってのは、お客様の仕入れだとか、売れ行き予測だとかをする仕組みと思ってくれ。

で、仕入れのやり方だとか、分析の仕方ってのは、お客様によって千差万別だ。
あるお客様のやり方では、シンプルな発注点管理をして、商品のジャンルごとに保持するべき個数を設定しておいて、その個数を下回った場合に現在庫の半分を発注するような動きにしていたりする。
別の場合では、発注のタイミングは同じでも、過去の1週間の売れ行きから発注数を決めていたりする。

小売業ってのは、こう言う試行錯誤の上、最適在庫ってやつを模索するのが常ってわけだな。

俺が感じた小売のしくみ

この小売の仕組みってやつは、他の業種と完全に違う部分がある。

WEB化がほとんど進んでいないんだ。
何故だと思う?

それは、入力スピードの問題だ。

他の業種でも、システムへの入力をいかに効率化できるかってのは、喫緊の課題だ。
でも、小売の現場では、入力にかけられる時間はほとんど無い。

あんたも、レジの前にできる行列に並んだことがあるだろう?あそこで入力に時間がかかってしまいます、なんてなったらそれこそ売上が落ちちまう。

あそこのレジは遅いのよねぇなんて噂が立った日には、それこそ死活問題だからな。

で、WEBの仕組みはどうしてもブラウザを経由するために、その入力効率ってやつがどうしても落ちてしまう。

結果、クラサバという俺が社会人になりたての頃に出来た仕組みを脈々と使い続けているんだ。

中には、VisualBasic6.0なんていう、骨董品クラスの言語で出来ているしくみすら残っている。

入力効率を極限まで求めた結果、システムのユーザインタフェースは犯し難い聖域になっているわけだな。

俺たちの作るシステムは、お客様やお客様のお客様の幸せにつながっている。

そのためには、常に新しい技術を使うというのが正解ではないケースがあるってことだな。

あんたは、どうだい?

あんたの仕事はきっちりあんたのお客様の幸せにつなげることが出来ているかい?

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