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乗り越える物語が俺たちにくれるもの

あんたは漫画好きかい?

俺はこう言っちゃなんだが、人生の27.5%くらいは漫画から学んでいると思う。
数字の根拠はないから突っ込みたいなら俺と友だちになってくれ。

質の良い漫画ってやつは、いつだって俺たちの感情を揺れ動かす。
それは時に怒りであり時に悲しみであり、そして楽しさである。

その感情の揺れ動き、つまり感動によって俺たちはその漫画を堪能するってわけだ。

今回は、最近読んで「感動」した漫画を紹介してみようって回だ。

まあ気になったら読んでみてくれよな。

格闘女子の物語

今回、俺に感動をくれた漫画はこいつだ。

ビジュアルを見るために1話+2話だけの本はこっち。

で、この漫画。女子高校生による総合格闘技漫画なわけだが、そいつだけ聞くと、なんじゃそりゃ?って思っちまうかも知れない。

まず女子高校生と総合格闘技ってやつがどうしても結びつかないよな。

俺も知らなかったんだが、女子総合格闘技ってのはわりかし普通に大会とかやっているらしい。

上のサイトとか見ると、俺たちオッサンを秒殺してくれそうなファイターが群れをなしているっぽい。
うむ、おっかなきれい。

ということで、総合格闘技と女子高生という組み合わせは現実味があるっちゃーあるらしい。
それでも、ちっと想像が出来ない世界観だよな。

とりあえず、全巻無料でkindleで読めるっていうので、早速全部読んでみた。

ストーリー展開

ハナカクの物語は取り上げているテーマに比べると非常にオーソドックス。言い換えるなら王道のストーリー展開だ。

背が小さくて気も小さい主人公が同い年の総合格闘技をしている女子高生に出会って徐々に格闘の世界にのめり込んでいくという展開だ。

その端々に「いじめ」であるとか、「スクールカースト」であるとかの学生の問題を組み込みながら、最後の勝利へとつなげていく。

その成長の過程は非常に読んでいて心地が良い。

特に女性の格闘技ということで、男性の格闘技漫画ではあまりクローズアップされない部分での成長が描かれていたことが印象的だった。

「試合」と「戦い」の違い

そのクローズアップされない部分ってのは何なのか?

そいつが「物理的に傷つけ合うことに対する恐怖」だ。

少年格闘漫画だと、そのあたりは割とすんなりと乗り越えていくパターンがほとんどだと思う。
俺の記憶では唯一その恐怖を描いているのは、はじめの一歩での千堂戦(日本フェザー級タイトルマッチの方)くらいか。

で、ハナカクでは、この恐怖を乗り越えるために試合前に本気の殴り合いを親友が主人公に申し入れるという流れがある。

それまで練習でパンチにキック、グラウンドと修練を積み上げてきたが、そのほとんどが「相手を倒す」というところまでは追い込まない。
練習が継続できなくなっちまうからな。

でもそれでは超えられないもの。
相手が本気で自分を壊そうと向かってきて、自分も相手を本気で壊しに行くという恐怖
日常の生活では決して経験しない恐怖。
その恐怖に少女が立ち向かう必要があるという描写はやたらにリアリティを感じた。

なにしろ、試合になって初めてその純粋な恐怖に出くわしてしまったら、それだけで試合が終わってしまうことは、本当にありそうなことだと思わないか?

「乗り越える物語」が俺たちにくれるもの

そんなふうに恐怖だったり、自分の弱さだったりを乗り越えていく物語。それがハナカクという漫画だと思う。

ではその「乗り越える物語」は何を俺たちオッサンに与えてくれるのか?

そいつは今日から明日へ向かう勇気ってやつかもしれないな。

若者が何かに取り組んでいる様を見て、こんなにも心穏やかになるようになったのはいつからだっただろう?
俺自身も超えなければならない物は星の数ほどあるっていうのに、いつの間にか俺はこの世のことを若者に任してしまっている。

だから、俺は若者の成長を見ると安心するし、ありがたいと思ってしまう。
俺自身の成長をほっぽっておいて、それはないだろうと思うよな?

だから俺たちオッサンは若者に世の中を渡すことにあらがわなければいけない
俺たち自身のために、そしてこの世を今の若者に本当に引き継ぐときのために。

ハナカクという物語はそんな俺たちオッサンに乗り越える勇気をくれる。

それが俺というオッサンのこの漫画への感想だ。

なあ、あんたはどうだい?

あんたを鼓舞する物語。俺にも教えておくれよ。

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