学歴について思うこと(リクエストテーマより)

学歴について考えてみた

 私は先日、ある人から「学歴ってそこまで大事なの?」と尋ねられたことがある。一定の学歴を持つことは正しいことで、それは一生ついて回るものと信じてやまない私は「もちろん大事だし、人生の選択肢が増えて、いい人生を過ごせる確率が高くなる」とはっきりと答えた。その人は私の考えには懐疑的で、学歴がなくても人間はやっていけるという立場だった。その人との話の本題からはズレていたのでそこまで深掘りはしなかったが、多少の驚きすら感じた。


 私が出会ったその人はやはり珍しいタイプだろうし、多くの人は濃淡あれども学歴は大事だと思っているはずだ。そしてその学歴が就職や出世、結婚などその後の人生に影響すると思っているからこそ必死になって受験生は勉強している。ではなぜ私含めて多くの人は学歴が大事と考えるか。それは「凡人が社会で成功や人生で幸福を得る確率が高くなる最良の手段」だからだと思う。


学歴と無縁でも生きていける人

 確かに学歴、特に大学卒とその序列は全てではないし、学歴なしで成功する人はいる。WBCで活躍した大谷翔平は高卒だし、将棋六冠達成の藤井聡太は高校中退だ。輝く学歴がなくとも人々から尊敬され、仕事は充実し、経済的にも成功している。もちろん彼らは極端な例ではあるが、学歴と無縁でいられるのは何らかの生まれ持った能力があり、努力を積み重ねた結果だからだ。しかし私が思うに、彼らを見て憧れる我々にはそうした能力がそもそもない。



 生まれ持った能力は普通、両親からの遺伝によるものだが、遺伝でほぼ子の特性は決定づけられるという。学歴がなくても成功した人を見ると、個人の努力だけでは説明しきれない天賦の才能を前提とするし、それがあるなら18歳で必死に英単語を暗記する必要もないよねと思う。運動ができるならスポーツを極めればいいし、容姿が良ければアイドルになってもいいし、楽器を上手く演奏できるなら音楽に全力投球することができる。



 翻って我々はどうだろうか。飛び抜けてスポーツができるわけでもなく、美男美女でもないし、絵や音楽や料理の才能があるわけでもない。人並みかせいぜいある小さな集団で多少秀でるくらいだろう。遺伝に限らず、親が資産家や政治家だったりしたら経営や国家指導にアクセスしやすいし、その知識や経験、環境を利用して進路を決めることも簡単だ。しかし凡人は父親はサラリーマン、母親はパートというのが一般的で、先天的な遺伝や環境に恵まれる要素はまずない。



人間は皆、平等じゃないから

 この世に生を受けた段階で人間は序列があり、平等でないのは皆さんなら理解できるはずだ。残酷なこの事実を受け入れられず「上級国民」とか「勝ち組」とか「人生イージーモード」と妬む人も多い。しかし自分の人生を生きていく以上、持ち駒の中で勝負するしかないし、テレビに映る彼ら彼女らの豊富なカードを羨んでも自分の手駒が増えるわけではない。そう考えたとき一番凡人が手札を増やせる手段は勉強をして、いい学歴=いい大学卒を手にすることだと思う。



 勉強ももちろん両親が高学歴だったり、塾や留学などの教育費にもどんどん費やせるといった先天的な才能や環境が有利に働くこともある。ただそれに対抗するための「努力」が比較的報われやすいのが勉強であり学歴ではないだろうか。勉強における努力のやり方は一定の型・お作法があり、努力の設定や成果が明確という点では才能に対抗して逆転できる余地が大きい。一発逆転を狙うなら、今から毎日100球投げ込むより、毎日100単語暗記した方がたぶん成功する確率は高い。



普通の人生を送るなら

 多くの人は国を背負って戦ったり、何万もの観衆の前でスポットライトを浴びたりはしない。大学を卒業して民間企業に就職をして、結婚や出世や子育てなどを経験するのが一般的な人生だろう。そんなエモくもない、映えるわけでもない人生がささやかながらも上手くいく武器がいい学歴だと思う。素晴らしい才能も恵まれた環境もない凡人が期待値高めで人生を成功する手段は学歴くらいしかないというのが私の考えである。もちろん確率なので絶対ではないが。


 普通の人生を生きていくなら、天賦の才能より努力に期待をするならやっぱり学歴重視しかないと思う。一年、二年の苦労がその後の何十年の幸せに結びつくなら学歴にこだわるのはリターンの大きい投資だと思う。自分の才能を信じ、それを磨くことを優先したり、将来の夢が確信的に定まってる場合はその限りではないが、漠然と未来を想像するならば大学受験は人生の選択肢を増やし、いい学歴が人生設計の助けになるに違いない。



どこからがいい学歴なのか?

 ここまで凡人であることを自覚するなら勉強を頑張り、いい学歴を掴むことが人生に役立つ確率が高くなることを説明してきた。才能なんてほとんどの人は持ってないのだから、後天的に逆転する余地のある勉強に投資する価値はあると結論づけた。ではどこからがいい学歴なのかというのは一番気になる要素だろう。○○大学から上がいい学歴と線引きがあれば努力のし甲斐もある。しかし残念ながら明確なラインはないというのが答えだ。


「いい大学 どこから」でGoogle検索したらある程度の答えは出てくるとしか言えない。地域による基準の違い、企業サイドの見方による違い、受験基準か就活基準の違いなどでブレがある。学歴が大事!と言いながらはっきりした足切りラインを示せないのが学歴を信頼することへの弱さかもしれない。ただ自分の手駒をいかに増やせるかという観点で自分の得意不得意、スペックを見つめることは大事な作業だと思う。


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