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Lenovo Legion Go購入レビュー

Lenovo Legion Goを購入しましたのでレビューします。
現在日本で発売されているゲーミングUMPCは中華製を排除するとValve Corporationの「Steam Deck」、ASUSの「Rog Ally」、そしてLenovoの「Legion Go」の三機種が存在します。

https://www.lenovo.com/jp/ja/handheld/

その中でも最もに後に発売(日本発売は12月8日)され最も大きく(8.8インチ)高価(134,800円)である。そんなLegion Goを今回購入いたしましたのでレビューします。長所も短所も忖度なく書いていきますのでよくないことは読みたくないという人はブラウザバックを推奨します。


事前情報との差異

発表時メディアか各所ブログ、動画サイトなどで取り上げられていた仕様と実際発売された商品の仕様に多くの差異があります。その中でも特に大きな差異を取り上げます。

VRR非対応

発表時メディアや各所ブログ、動画サイトなど、公式サイト(現在削除済み)公式動画(一部地域では現在も)でVRRの表記がありますが、実際はVRR非対応です。

ネイティブポートレート液晶

一部のメディアではネイティブランドエスケープ液晶とありましたが実際はネイティブポートレート液晶です。(記事は現在注釈付きで修正されています)
尚LenovoのLegionフォーラムページで発売前のプロダクトチーム事前質問スレッドでも製品版はネイティブランドスケープ液晶になると投稿されていましたがこちらも間違いです。
ネイティブランドポートレート液晶であることで起こる弊害については後程記述します。

指紋認証非対応

一部ブログでは指紋認証対応とありましたが、こちらも間違いで指紋認証には対応していません。

公式の仕様書

公式の仕様書PDFがありますのでそちらを確認してください。


差異による弊害

VRR非対応による弊害

影響:比較的軽微

VRR(Variable Refresh Rate)とは可変リフレッシュレートの事です。簡単に言うとGPUの処理速度が追い付かない場合にディスプレイの更新タイミングに間に合わなくなりチラつきやカクツキが発生するのですが、ディスプレイの更新タイミングをGPUの描画速度と同期させることでそういった現象を軽減させる液晶側のハードウェア上の仕組みです。
実際使ってみた感じ液晶サイズがデスクトップなどに比べて小さいせいかVRR無しでもチラつきやカクツキは殆ど気になりませんでした

そもそもVRRを使用するのは「最大パフォーマンスで遊びたいけど、処理落ちしたとしてもできるだけわからなくしたい」時に使用するものだと思います。バッテリーのことを考慮してFPS制限をかけてプレイする場合は一定のFPSで安定しているはずなのでVRR有無は殆ど関係ありません。(対応している方がいいことには間違いありませんが)
※Rog AllyはVRR対応。Steam Deckは外部モニターのみVRR対応。

ネイティブポートレート液晶による弊害

影響:甚大

ネイティブポートレート液晶とは回転機能を使用しない場合の元々の画面状態が縦長であるという意味です。(大抵のタブレットやスマートフォンがそうです)
起り得る弊害は一部のゲームで最大解像度が小さくなったり、全画面表示で画面が隅に寄ってしまったりします。この現象は最新のゲームではあまり起こりませんが古めのゲームや一部のAPIを使用したゲームでは発生します。
例えば東方紺珠伝を全画面表示でプレイしようとすると左上隅に寄ってしまいます。無双スターズをプレイしようとすると最大解像度が1280x720までしか選択できません。その他そもそも全画面表示をしようとするとエラーで起動できないゲームもあります
一方モンスターハンターライズは全画面表示の最大解像度でプレイできます。Final Fantasy XIVも最大解像度の全画面表示で問題なくプレイできます。

Legion Goのロードマップには既知の問題とリクエストに「Fullscreen issues and upside down rendering of some games(一部のゲームのフルスクリーンの問題と逆さまのレンダリング)」の記述があるので改善しようとする気持ちはあるようですがソフトウェア的にどこまで改善できのか不明です。(解像度低下について書かれていないのも気になる)

指紋認証非対応による弊害

影響:軽微

ログインに指紋認証が使用できないのでパスワードを使用する必要が出てきます。ただしこれはWindowsでパスワードを省略するログイン方法を設定することでログイン作業自体をスキップ出来ます。

以上が際による弊害ですが個人的には「ネイティブポートレートによる弊害」が一番よくないと実感しています。


Legion Goの長所

仕様の差異で短所を述べる形になってしまいましたが勿論Legion Goに他の二機種に比べた場合の長所があります。

8.8インチの高解像度、高リフレッシュレート液晶

三機種中では最も優れています。やや大きすぎる感じもしなくはないですが重さに関しては重要ではありません。実際の場合、持ちあげた状態を維持してプレイすることはなく、机や床に腕や本体を接地した状態でプレイしているはずです。持ちあげた状態でプレイする場合は全ての機種が重すぎます。

最も優れた処理性能と廃熱処理

CPUはRyzen Z1 ExtremeでメモリーはLPDDR5X-7500です。カタログスペックは最も高いことになります。廃熱性能も優れており高負荷時でもファン速度をMAXにしないでも60℃代でプレイ可能です。

スタンド付き本体、脱着可能なコントローラー

将来的にゲーム目的で使用しなくなってもディスプレイ付きのミニPCとして使用できる出来ることを意味します。USB-C接続で外部モニターと接続すればサブPCとして十分な性能が期待できます。USB-Cポートが計2箇所あるので充電しながら外部モニターに接続することが可能です。(保証的にはコントローラーは付属品として扱われるためにその点はマイナスです。しかし逆に言えばコントローラーは消耗品と割り切って使いつぶすことができます。コントローラーは保守品として単体で販売されます。サードパーティ製のより良いコントローラが発売される可能性があります)


Legion Goの短所

先に述べた差異による弊害が短所の大部分になりますが、その他にも細かい不満点は存在します。例えば充電上限が設定できないので電源を差した状態で運用する場合、結果的に満充電状態を維持することになるのでバッテリーの劣化を加速してしまいます。他の二機種に比べて音が貧弱で左スピーカーから時々ノイズが聞こえます。コントローラーのフィット感も良いとは言えず、手が大きくない人には更に不向きでしょう。
ただLenovoは現在精力的に改善や改良を行っています。直近ではGPUの割り当てメモリーの変更やFPSリミットの設定、ファンカーブの設定などが追加されます。ソフトウェア的解決が期待できる不具合や不満点は将来的に改善されるものも多くあると思われます。


Legion Goは「買い」なのか

ここまで長々と長所と短所を述べてきましたが、結局のところ「Legion Goは「買い」なのか」と聞かれたら答えはNoです。ならROG Allyがいいのかと聞かれても答えはNoで、Steam Deckでも同じくNoです。
そしたら「何を買えばいいの?」となりますが、それはあなたの使用用途によって最善な機種が違います

Steamにあるゲームがしたい場合(他のゲームはできなくていい)

その場合はSteam Deckが一番お薦めな機種になります。
バッテリー寿命も一番長くなる場合が多く、スリープでゲームの中断が気軽にできるのが大きなメリットです。(ただアンチチートプログラムが必要なオンラインゲームはプレイできません)

Windowsゲームもしたい場合

その場合はROG Allyが一番お薦めな機種になります。

高解像度かつ大画面、将来的にサブPCとしても使いたい場合

その場合はLegion Goが一番お薦めな機種になります。


三機種の長所と短所

Steam Deck

  • 長所
    価格が比較的安い。
    Steamゲームをするには最適。
    LinuxベースOSなので消費電力が低い。
    音がよい。

  • 短所
    処理性能と画面解像度が低い。
    Windowsゲームをしたい場合は追加投資でWindows11のライセンス費用(約二万円)が必要になる。

ROG Ally

  • 長所
    価格が比較的安い。
    性能が高い。
    ネイティブランドスケープ液晶。
    VRR対応液晶。
    音がよい。

  • 短所
    廃熱面で致命的な欠陥がある(microSDスロット及びカードの熱破壊)
    内蔵SSDで対処する場合自力で大容量の物に交換する必要がある
    (追加投資+本体の無保証化)

Legion Go

  • 長所
    性能が高い。
    廃熱面で優秀。
    USB-Cポートが上下に計2箇所ある。
    (クレードルなしに充電と外部モニターが使える)

  • 短所
    ネイティブポートレート液晶による弊害。



最後に

実際使ってみてどうなの?

私の場合はネイティブポートレート液晶による弊害で一部ゲームができなかったことが一番ショックが大きいです。VRR非対応は思ったほどではありませんでした。事前情報と実際の仕様が違うというのが精神的には一番の不満点です。モンハンライズなんかは最高解像度でかなり綺麗に60FPS安定でプレイできたことに驚きました。FFXIVは最大解像度で36FPS制限でかなり安定してプレイできます。60FPSでやりたい場合は解像度を下げる必要があります。アップデートでレジストリ編集無しで整数スケーリングが可能になるらしいので800Pで比較的綺麗に高リフレッシュレートでプレイできる可能性があります。コントローラーもPlayStationタイプの握りやすい形状のものが発売されたらいいのにと思っています。(あと液晶の左中間あたりにホワイトスポットのようなものがあるのが気になる。神経質な人にしか気づかない程度のものだけど…)

どうしてこんな記事を書こうと思ったの?

Legion Goに関する日本語記事が少なかったので何かの参考になるかと思い記事にしました。(海外の記事やレビューは多いです)
あと事前情報と実際の製品の仕様差異が無視できないレベルと感じたので誰かが疑問に思った際の参考にまとめておきました。(実際事前情報通りの仕様で発売されていたのなら間違いなく最強として君臨していたと思います)
疑問や質問がある場合はコメントをお願いします。可能な範囲で返答する場合があります。(各製品を誹謗中傷するためだけのコメントはご遠慮願います)

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