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遠くへ(詩)

生臭い川の風を受けて 君を思ってる
ぎこちない優しさだってあったよね

天の川流れる空を眺めて 君を思ってる
そっちはとても住みやすそうでいいね

夜はこんなにも音がないから
少しの力で壊れてしまうんだ
いっそそうしても構わないけど
君を起こしたくないからやめた

遠くへ 手を伸ばしても届かない
近くへ 手を取って欲しいからさ
ごめんね 無理なことを言ってごめん
ただただ 喉に言葉がつっかえてるのさ

生温いコーヒー缶飲み干して 君を思ってる
照れ臭い笑い顔だってあったよね

咲き誇った星クズを見て 君を思ってる
君は流星になんかなってしまうなよ

夜はいつか朝になるけれど
僕には光が見当たらないんだ
いっそそっちに行ってもいいけど
君も一人暮らしだろうからやめた

遠くへ 手を伸ばすのに疲れたから
近くで 呪文を唱えておいてやるよ
ごめんね 気持ち悪かったらごめん
ただただ 呪術に頼るしかないのさ

遠くへ 手を伸ばしても届かない
近くへ 手を取って欲しいからさ
ごめんね 無理なことを言ってごめん
ただただ 喉に言葉がつっかえてるのさ

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