2023年7月11日

感情が低空飛行。またもや映画を観に行けなかった。

京セラ美術館でやっている「ルーヴル美術館展 愛を描く」を観に行ったら、岡崎公園で蚤の市をやってたので覗いてみた。

私は本と食べ物以外の買い物が苦手だ。全部が欲しくなり、それと同時に全部がいらなく思えてしまう。何を買うべきで何買わないべきか、わからない。今日もそうだった。可愛らしい食器やコップ、古い扇子があって、そのくらいなら買っても良いかなと思ったが、全て「あまりお金がない」という理由をつけて却下した。古本と違って値札がついていないので、店主に値段を訊かなければならない。話しかけるのは苦手だ。いや、いざ話しかければあとはなんとかなるのはわかっているけれど、なんか体が動かないのだ。

というわけで、ただ無為に時間を過ごしたのち京セラ美術館へ。学生料金の1500円で入ろうとしたら、学生証があるべき場所になく、慌てながら通常料金の2100円で入った。600円も損をしたし、学生証がなくなって心配だし、人は多くて思い通り回れないしで集中できなかった。

どうも私はこういう質感の絵画を観るのは苦手かもしれない。いや、好きなのだが、ふーん、こういうエピソードを絵画化したのね、綺麗だね、で終わってしまう。それは知識がないからなのだが、そんな私でもフラゴナール《かんぬき》の演劇的なインパクトは面白かったし、男性の身体の引き締まり方、特に臀部の造形の美しさには感嘆した。あとエピソードとして面白いのはシェフェール《ダンテとウェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊》。ご存知『神曲』地獄篇で、不倫の恋の末フランチェスカの夫に二人とも刺し殺され、二人で地獄を彷徨い続けている。キリスト教の教えに従って二人は地獄に行ったことになっているけれど、絵画の中のダンテとウェルギリウスは必ずしも罪人に向ける目をしているとは思えない。一方フランチェスカとパオロも、地獄の苦しみの中でも、あるいは地獄の苦しみの中でこそ、互いへの愛を深めているような、苦しみと恍惚の混じり合ったような表情をそれぞれ違う形で表している。ロマンティックだった。

帰りにBOOK OFFに寄った。久しぶりに強烈な体臭の御仁がおわした。距離をとりつつ、新刊で買うよりちょっとだけ安く、単行本を買った。BOOK OFFにしては大きい出費。しかし図書館で借りるには予約が入りすぎているのだ。まあ、買ってよかったんじゃない? 人気の著者だし、お金のない学生の身分だから、許してちょ。

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