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心霊体験②

今回は久しぶりに、ワタクシの心霊体験をお話したいと思います。

あれはワタクシが大学3年生の終わり頃、2月の終わりか3月の初めくらいだったと思います。時間は夕方の5時頃、まだ春先というか冬の風情でしたので、その時間では既に薄暗くなっているという感じでした。ワタクシが運転する車に友人を乗せ、山道を下っている時のことです。
 
対向車線に一台の車が見えました。そんなに交通量の多い道ではありませんでしたが、別に不思議なことでも何でもなく、「あ〜、車が来たなぁ」くらいの気持ちでした。
 
もう薄暗くなっているので、ライトを付けていても全くおかしくありません。その車もライトを付けていました。下から登ってくる車ですので、ライトは上方向を照らすような形になり、ちょっと眩しく感じられました。しかし、ライトのせいなのか、車の全体像が何となく変なのです。距離が縮まってくると、何が変なのかが分かってきました。そのライトは何と、屋根の上に取り付けられていたのです。何となく感じた違和感は、そのライトの位置のせいだったのでしょう。屋根にライトがあると、車という物体の一般的な全体像が違ってしまいますから。しかし当時は、マニアックな人で乗用車の屋根にライトを取り付けて、ラリー仕様にしたがる人もいましたから、それほど珍しいことではありませんでした。ちなみに、元々の位置にあるヘッドライトは付いていなかったと思います。
 
そんなことを思いながら車を進めていきますと、また変な感じがしてきました。ライトだと思っていたものが、何だか違う感じがしたのです。更に近づいてくると、それが何なのかハッキリと分かりました。
 
それは、顔、子どもと思われる顔が2つ屋根の上に乗っかっていたのです。正確に言えば、サンルーフから顔を出しているということなのでしょう。
 
「何だ、顔かよ!顔が光っていたのか?しかし危ねぇなぁ」
 
我々は何気ない会話を交わしました。この当時、サンルーフから顔を出して、トンネルや陸橋の淵に頭や顔をぶつけ、死亡するという事故が頻発していたのです。我々が通ってきた道にもトンネルがあり、その車が先に進めばぶつかる可能性も無くはありません。注意した方が良いか?などと友人に話をしておりました。
 
車はどんどん近づいてきます。屋根の子ども2人の顔は笑っているように見えます。スピードはそれほど出ていませんから、春先の冷んやりした風が気持ち良かったのかもしれません。
 
車はどんどん近づいてきます。どんどん、どんどん…。
子ども2人の顔は変わりません。
 
そして車がすれ違おうとするその瞬間、我々は気がついてしまいました。
 

「あ、この車、サンルーフ無いぞ…。」
 

そして車がゆっくりとすれ違う時、我々は屋根の上に何も無いことを確認しました…。子どもの顔はおろか、ライトの類もなく、サンルーフ仕様の溝や切れ込みもありません。ただただ平坦な車の屋根があるだけでした…。
 
えっ?さっきの顔は何?ライトは?え?え?
 
その車が通り過ぎた後、我々は車を止め、顔を見合わせて涙を流しながら大笑いしていました。人間とは、あまりの恐怖に対しては、大笑いするしか術がないものなのだと初めて知りました。
 
その時のことは今でもハッキリと覚えています。
振り返ってみれば、10代終わりから20代前半にかけては、様々な不思議な体験をしましたねぇ…。この話はそんな話のひとつです。


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