リプロダクティブ・ヘルス/ライツの勉強会を実施しました

昨年の11月初旬、研究会内で本学の現代社会学部現代こども学科の中山まき子教授とともに、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する勉強会を行いました。そこで学んだことなどをまとめました。

リプロダクティブ・ヘルス/ライツの定義がなされたきっかけは、人口開発会議(カイロ会議1994)です。
世界の人口、環境、保健等の課題解決に向け行動計画がつくられ、94年の会議は1974年の世界人口行動計画を刷新するものでした。

国連人口開発会議の最終準備会議で配布されたWHO定義のリプロダクティブ・ヘルス/ライツは、
「妊娠・出産のシステムおよびその機能とプロセスに関わる全ての事象において」
病気のあるなしや病的状態にないことではなく、「身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること」とされています。これは、「人々が安全で満足のいく性生活を持てること、子どもを産む可能性をもつこと、さらに産むかどうか、生むならいつ何人生むかを決める自由をもつことである」ことを意味しています。また、妊娠・出産に対し男女が正しい情報を得られるような適切なヘルス・ケア・サービスを入手する権利として定義されています。(芦野,1994,p.p119-120)

これを機に日本は、
① 「GII(Global Issues Initiative on Population and AIDS)」 (藤掛,2001,p.p30)により、 人口・エイズ分野に ODAを30億ドル拠出
② 「『母体保護法』(『優生保護法』の改正)(1996年6月)」(藤掛,2001,p.p27-28)の成立
③ 「経口避妊薬:低用量ピル認可」※(藤掛,2001,p.p29)
④ 「男女共同参画社会の実現に向けて作成された文書」(藤掛,2001,p.p26-27)の登場
などへと動きました。

※日本がピルを承認した時期は世界的に見ると非常に遅く、原因の一つとして昔から日本には性に対して「はしたない」意識があることが挙げられます。

現在は男女共同参画局の「生涯を通じた女性の健康支援」の表題のもと
リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する国の姿勢が言及されています。

勉強会を通し、性について考えることは性別に関わらず心身ともに健康でいるための重要なことであると感じました。また、そのための教育機会は大切であり、人権であると学びました。リプロダクティブ・ヘルス/ライツの考え方を踏まえて、私たち自身の行動や意識をどのように変えていくのかこれから考えていきます。



参考文献

芦野由利子「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」『家族計画便覧―未来へのキーワード:家族、女性、健康、避妊、性』日本家族計画協会,1994,p.p119-120

藤掛洋子(2001)「人口問題に関する国際会議の論点の評価・分析―リプロダクティブヘルス/ライツの議論を中心に―」前半 JICA緒方研究所
https://www.jica.go.jp/jica-ri/IFIC_and_JBICI-Studies/jica-ri/publication/archives/jica/kyakuin/pdf/200103_11a.pdf

藤掛洋子(2001)「人口問題に関する国際会議の論点の評価・分析―リプロダクティブヘルス/ライツの議論を中心に―」後半 JICA緒方研究所
https://www.jica.go.jp/jica-ri/IFIC_and_JBICI-Studies/jica-ri/publication/archives/jica/kyakuin/pdf/200103_11b.pdf





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