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なぜ無痛MRI乳がん検診は、乳房サイズが小さい女性や、「男性乳がん」も撮影できるのか?

無痛MRI乳がん検診は、胸が平らな「男性乳がん」も撮影できる無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)では、男性乳がん疑いの方も受け容れていて、いつでも診断できます。 どんなに乳房サイズが小さくでも、撮影ができるのです。 その理由について書きます。 なぜ乳房サイズが小さい「男性乳がん」も撮影できるのか?無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)は、MRIの検査台の上に、うつ伏せに寝ます。この説明図は以下のようです。 乳房サイズが小さい女性でも撮影できる (だから男性乳

40代の女性は、マンモグラフィで、2人に1人の乳がんが見つからない

衝撃的な書き方でごめんなさい。でも、これは本当なんです。 どういうことか、説明します。 乳がんを持つ2人の運命 もしあなたが40代の女性で、かつ、自分では知らないけれど、自分の乳房にがんができていたとします。 もう一人、別に40代の女性がいて、同じように、自分では知らないけれど、自分の乳房にがんができていたとします。 この2人が、検診のために、マンモグラフィを受けます。わかりやすくするために、Aさん、Bさんと呼ぶことにしましょう。 そうすると、どちらか一人だけ、例

乳がん検診の権威、ドイツのクール教授は、2023年の最新論文で何を述べているか

たろりん(高原太郎) これはバックナンバーです(2023年2月12日 12:35) ドイツのクール(Kuhl)教授は、造影剤を使ったMRIを用いて乳がん検診を始め、乳がん検診の世界に新風を巻き起こしています。 最近の論文で、乳がん検診(及び治療)の現状と、将来について述べられましたので、DeepLの自動翻訳結果でこれをご紹介します。 目次論文における重要なポイント 乳がんの検診、診断、治療の将来像について はじめに 乳がん検診 乳がん検診の現状 これからの検

無痛MRI乳がん検診の開発史

ここでは、ドゥイブス・サーチ(無痛MRI乳がん検診)が始まる直前に投稿した記事から、いわば思考の課程が辿れるまとめを作成しました。 2016年 独クール教授が発表した、マンモや乳腺エコー(超音波)の限界、また造影剤を用いた検診を考察しています。 2017年日本乳癌画像研究会で新しいコンセプトを発表しました。 そして実際に独クール教授のところへ行って議論し、ドイツでも理論通りにスキャンできることを実証しました。 2018年いよいよ日本で、無痛MRI乳がん検診をオフィシャ