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[10月第1週] DAOレポート Vol.39 | CosmosのリキッドステーキングStride、ガバナンスの鍵に? Hubとの合併にも注視すべき理由

先週開催されたCosmosのカンファレンス「Cosmoverse」において、Cosmos向けにリキッドステーキングを提供するStrideが、独自トークンSTRDをCosmos HubのATOMに変換する計画を明かした。StrideとCosmos Hubの合併とも言われるこの議論はまだ始まったばかりだが、現在開発中のdYdXチェーンを含むCosmosエコシステムを構成するチェーンのガバナンスに大きな影響を与える可能性がある。

リキッドステーキングとは、トークンを預けることで、そのトークンの代わりに取引や利用ができる「預託証明のトークン」を得られるサービス。この方式を利用すると、ステーキングの利益を享受しつつ、新しく得たトークンでさらなる資産の運用も行うことができる。例えば、Strideのサービスでは、ユーザーがコスモスのネイティブトークンであるATOMを預けると、代わりにstATOMが与えられる。

ご存知の通り、Cosmosのチェーンは独自のバリデーターが存在しステーキングの機会を提供している。バリデーターは、当然ネットワークの安全性の強化という技術的な役割を担う一方、コミュニティの資金の使い道など経済・社会的な投票に参加する。投票力はステーキングされた量で決まる。もしバリデーターの投票先が気に入らなければ、ステーカーは投票を上書き(Override)できる仕組みだ。

Strideのリキッドステーキングの仕組み上、StrideはCosmosチェーンのネイティブトークン(ATOMなど)を大量に持つことになる。これらのトークンをどのバリデーターに委任(delegate)するかどうかを決めることは重要だ。例えば、Strideが特定のバリデーターに対してだけ委任したらそのチェーンの中央集権化は進んでしまうだろう。その過程でバリデーターから賄賂を受け取るケースなども出てくるかもしれない。Strideの責任は重大だ。そこでStrideのトークンSTRD保有者に対して、①誰が②どのバリデーターに対してネイティブトークンを委任するかを決める議論が始まった

StrideがCosmosガバナンスの鍵を握る?

①に関しては、Council (委員会)制を採用。公平で透明性のある委任プロセスを形成する上で、誰が委員になるかは重要だ。委員の数は5人。利益相反がないをチェックしなければならない。例えば、委任先を決める上で以下の基準が設けられている。

1. 過去数ヶ月アップタイムが99%同等かそれ以上
2. コミッションレートが10%同等かそれ以下
3. 少なくとも過去10回のうち7回投票
4. 少なくとも過去3ヶ月アクティブセットに参加

上記は最低限の基準だ。これに加えて、①過去6ヶ月間、技術的にどんな貢献をしたか?②過去6ヶ月間、社会的にどんな貢献をしたか?

一方、②に関して7月時点においてはバリデーターは立候補制となる。先述の通り、Cosmosにおけるバリデーターの役割は大きい。ソフトウェアのアップグレードをするだけではなく、資金の用途やコミュニティ内での争い事など、政治経済に関する投票をしなければならない時がある(棄権もできるが棄権ばかりするとそれはそれで信頼を失うケースがある)。どういう投票スタンスなのか?それぞれのポジションを取ることが重要と考えるバリデーターも少なくない。

先月6日にメインネットローンチしたばかりのStrideだが、今後、Cosmosエコシステム全体で大きな役割を果たすかもしれない。仮にSTRDがATOMになり、バリデーターへのデリゲーションを決める責任の所在地もATOMホルダーになれば、さらに公正なデリゲーションプロセスが可能になるかもしれない。

話題のTweet

dYdXの新しいテーマソングが決まったようです。

トレジャリーデータ

DeepDAOによると、10月9日時点でDAOトレジャリーの総額は171億ドルと前週比で10.94%減少した。内訳は、流動性のある資産(Liquid)が147億ドル、権利が確定していない資産(Vesting)が23億ドルだった。
ガバナンストークン保有者は630万人で、アクティブDAOユーザーは280万人だった。


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