味噌汁。
湿度の強い朝は苦手だ。
空は自分の色を忘れてしまったかのように真っ白だ。白なのに決して明るくは感じない。色の表現に彩度と明度という測り方があったな、なんて思うけれど、その違いについてはよくは分かっていない。
毎朝のルーティンで洗濯機を回して、掃除機をかける。頭痛がする。昨日、久しぶりに少しお酒を飲んだからだろうか。シャワーを浴びて、身体の血を巡らせる。
何が私を落ち込ませているのだろう。
お風呂は嫌なことを思い出させるけれど、お風呂あがりはやっぱり少しサッパリしている自分がいる。冷蔵庫から冷たいお茶を出して飲む。
週末の朝はちょっと遠くの八百屋まで足を運ぶ。暑くもなく寒くもない、何をするにもちょうど良いような気温に見せかけて、ちょっと歩けば湿気がまとわりついて、体からはじとっと汗が噴き出してくる。それは、まるで私に呼吸をさせまいとしているかのように。きっと悪魔が悪戯でもしているのだろう。天気の悪い日が続いているせいか、野菜の品揃えは悪かった。
こんな日は馴染みのカフェで早めのブランチにする。オシャレな和食のランチが食べられるお店。今日は野菜のランチにする。運ばれてきたお椀に唇を当て、いつもよりゆっくりお味噌汁を口に含む。鼻から温かい湯気が抜け、身体の中に暖かさが流れていくのを感じる。汗はかいているけれど、やっぱり身体は冷えていたのだと気付く。
そうか、私には今、温かさが必要なんだ。
そんなことを思う。
#小説 #エッセイ #のようなもの
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