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第97回全国高校サッカー選手権大会 1回戦 西京VS富山第一 レビュー

第97回全国高校サッカー選手権大会の組み合わせ抽選会が行われた12月19日、西京の対戦相手が富山第一に決まった。

「今年は厳しい」というのが率直な感想だった。

4年連続29回目の出場、全国高校サッカー選手権優勝経験あり。

プレミアリーグに所属し、夏のインターハイではベスト8の強豪校である。

実際に見たプレミアリーグでの富山第一。

強いフィジカルとセットプレーを得意とするチーム、加えてインターハイ得点王であるMF小森をはじめ、前線の決定力は脅威に感じた。

西京にとっては、かなり高い壁のように思えた。

そして2018年の大晦日、決戦のとき。

大方の予想どおり、西京は序盤から富山第一の攻撃に圧倒される展開。

西京の目指す「ボールを保持して相手を崩すサッカー」には程遠く、保持したボールを蹴り出すのが精一杯。

苦し紛れに蹴らされるボールが前線1トップの冨田に収まるはずもなく、何度もボールを回収され、防戦一方の時間が続く。

そして前半8分。富山第一はロングスローを起点にFW佐々木がこぼれ球を押し込んで先制。

前半は完全に富山第一のペースだった。

後半に入っても富山第一のペースで試合は進む。

後半11分にはフリーキックから小森が頭でつなぎ、佐々木が右足で追加点。

試合時間の4分の3が過ぎようかというタイミングでの追加点は、試合を決定づけたかのように思えた。

しかしこの後、西京の渡邉監督は後半から投入したFW前田を前線に上げ、2トップに変更。

ここから徐々に西京の流れになっていく。

西京は攻撃に厚みを持たせることが前半からの狙いであったが、うまく機能していなかった。

2トップへ変更したことにより、富山第一DF陣の守備が分散。

冨田にボールが収まるとタメを作ることができるようになり、厚みある攻撃を展開するようになった。

そして後半28分にMF木村のミドルシュートからゴールが生まれる。

試合序盤から攻守にわたり奮闘していた木村の気迫の一撃だった。

物語はまだ終わらない。

わずか10分で2得点。

後半38分の西京の同点ゴールは、これまで苦しみながらチームをまとめてきたキャプテンDF伊藤が起点となり、背番号10を背負った冨田がエースの意地で押し込んだ、西京のふたりの名優によるゴールだった。

誰もがPK戦突入と思った後半アディショナルタイム。

最後に全国ベスト8の高い壁が立ちはだかった。

おそらく最後のチャンスだった富山第一のフリーキック。

エース小森が蹴ったボールに合わせたのは「来年はチームの中心になる」と大塚監督お墨付きの次世代エースMF高木。

途中出場で監督の期待に応えた。

これが決勝点となり、3-2で富山第一が勝利。

残念ながら初戦敗退となったが、強豪相手に食い下がった西京の健闘は称賛に値するであろう。

しかし、2失点後に見せた積極的な攻撃を始めからからできていれば……と思わせる内容であったことも事実。

これは山口県大会決勝で高川学園が見せた後半アディショナルタイムの猛攻と通ずるものがある。

失点しないためのサッカーで時間だけが経過した。

口で言うほど簡単ではないが、何かを成し遂げるためにはリスクを背負ってチャレンジし続けなければならない。

今後の西京サッカー部のさらなる飛躍を期待して。

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