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”正解がない”だからこそ面白い経営企画 / 2023年経営企画アドベントカレンダー


0.はじめに

初めまして。
株式会社ウィルグループで経営戦略部 部長をしている橋爪 健一(はしづめ けんいち)と申します。
2013年に新卒で入社して早11年
営業を皮切りに、マーケティングや事業部における経営企画、事業会社における経営企画、グループ全体の経営企画を経験してきました。
今までの経歴はこちらをご覧ください!

そんな中、日頃お世話になっている 株式会社scale cloud 広瀬さんより 日本で初めて 経営企画アドベントカレンダーを実施すると聴き参加させて頂きました。

これまでのキャリアで、
事業部/事業会社における経営企画(以降 事業企画と表記)や、
グループ親会社経営企画(以降 経営企画と表記)を経験する中で
”あれ、、、なんか 同じ経営企画 という名称でもこんなに思考/行動プロセスや、実施する事が違うのか”
という戸惑いを抱いてました。

今回、事業企画、経営企画をする中で 感じた学びを記載させていただくのですが、今時点も試行錯誤をしながら日々研鑽と改善を積み重ねている最中ではあります。

決められた正解はなく、自分たちで創るからこそ面白い”
そんな経営企画という職種に対して、自分が経験した思考/行動プロセスをお伝えすることで、どなたか1人でもお役に立てば嬉しいです!

1.そもそも経営企画って?

”正解がない” だからこそ面白い。

”経営企画”
と聞いて皆さんはどういう業務を思い浮かべますでしょうか?
10人に聞いたら 10通りの回答がある職種です。
アドベントカレンダーに投稿されている方も 様々なご経験からの素敵な解釈で記載を頂いています。

10人10色の
”経営企画はどんな位置づけで、どんな事をする人か?”
”どんなバリューを出すべきだと感じているか?”
”なぜそう感じられたのか?”
等を聴くと、様々なストーリーを知れて濃厚な小説を読んだ感覚になるので僕は大好きです。(皆さんが投稿された内容を夜な夜な読み返して自分なりの想像をしている変わった人間です)

そんな僕ですが、自分自身は経営企画の職種を下記の表で解釈しています。

見にくくなったので、拡大もらえますと、、泣

僕自身、ゴリゴリの営業出身のため ”解釈が分かれたり明確にならない、フワッとした状態” という事に対してマイナスな面を持っていましたが、実際 経営企画として動き出すと ”あ、そういう事か”と感じた点があります。

それはあくまでも、ルール・枠組み通りに進めるべきでは無く、会社の事業状況、ステージ、組織状態、外部環境変化など 様々な状況毎に臨機応変に役割は変わっていく
という事です。

”複数事業や異なる事業モデルを有していれば ポートフォリオの構築役に”
”立ち上げ/急拡大期 のカオス状態であれば、会社に落ちている 重要度が高く おそらくフロント部門では手が回りきらない事をハンズオン型で”
”営業は非常に強いのだが、『行き当たりばったりで 美味しそうな所に攻めているのみで持続可能性が弱い』『事業戦略における蓋然性が低い場合』などは戦略を構築する軍師として”

常に変化をしながら、事業成長に伴奏し続けていく 事が経営企画の役割であると感じてます。

また、上記はあくまでも私の解釈なので、一つの思考・理解を促すきっかけ 程度に捉えて頂ければと思います!(自ら正解を創る事が面白い)

そんな中で自分自身が経験した事業企画・経営企画におけるバリューの出し方について記載をいたします。

2.事業企画 におけるバリューの出し方

そもそも事業企画の役割って?(私の解釈です)

事業企画は、
所属するユニットを “どう持続的に勝たせていくか” にフォーカスして
事業状況、組織状況を見ながら、最も重要な論点を定め、議論をリードし、HOWまで落とし込みながら、
手が回らない時には武将として、時には軍師として 推進していく
そんな存在です。

バリューの出し方

事業企画業務に着任をした後、まず着手すべき事として、
手段は問いませんが、”武将から認められる” のが大事です。
なぜなら、僕らは”数字や戦略” ではなく”人や現実”と接しており、
かつ事業企画が起案をしても大部分を実施するのは戦場を最前線で戦っている仲間です。
往々に盤上から指示だけを出す 人を戦場で戦っている方たちは、認めてくれないケースが多く、“合理的に考えてこれが正解でしょ” という提案や企画だけで人は動きづらいケースもあります。

事業部と同じ目線も持ち合わせながら
“合理的にはこの方向性で正解だけど それを正解にするためには ☓☓ までいかなきゃだめで、今の組織状態は☓☓である。
そのためには 自分はこの役割を担うのが一番良いな。だから一時的に軍師から武将にジョブチェンジして推進するのがこの場面は良き”
と考え、実務にがっつり浸かっていく事や上記スタンスを持つ事が大事です。(必ずしも 実務に入らなくても良い)

このスタンスを持っていれば、事業側からは同じ釜の飯を食べている感覚もあり認められていきますし、よくある 事業側からスパイとして見られる という悲しい事象も解消され、一緒に考え、推進をするし、この人の言う事なら少し耳を傾けてみっか のポジションにいけます。
そして、結果としてより大きな事業推進を実現しやすくなります。
(感覚的には営業が強い会社ではより重要だと感じます)

どんな事に介入すれば良いのか?

先ほどスタンスを記載しましたが、なんでもかんでも入れば良い、、という訳では無いです。
事業企画の皆さんは 経営企画と違いバリバリに事業の解像度が高いため、
“いや、この事業は実は☓☓で☓☓の状況なんだよな”
“まだここは弱含みで予測を立てており 貯金もってるな” 
など日々のKPI・KGI数字には表れないリアルな情報を事業サイドと密に接するので有しています。
また、競合情報や顧客情報、マーケット環境に関する情報も非常に多く入ってきます。
つまり、内部的なリアル情報と外部の定量的情報を持つことが可能なのです。
 また、“この取り組みを推進する☓☓さんは☓☓の特徴があるので大丈夫”
“今の組織状態だとこの機能を有する人が不足しているから入らないと難しいかも”
など、スーパーリアルな人や組織情報も見えてきます。

このような事業・組織のリアル情報を見定めながら、
“軍師的目線を持ち、 持続的に事業が成長するために 自分達が意志をもってやるべきだ と感じたコト” にハンズオンで入っていくべきです。
企画を行い初期段階の立ち上がりが終われば 慣性の法則で動き出すため、入る段階で自分自身の引き際も想定しながら入る必要もあります。
(人は常にいない為 引き際も計算してないと抜けれない、というケースがあり普段業務にアドオンされ続けスーパーハードワーカーになりがちです)

なんでもかんでも入ると便利屋になっていきますし、入らないといつまでたっても事務局的役割から脱却しづらいです。
虫の目だけではなく 鳥の目、魚の目的な目線を常に持ち、客観的に判断をしていきましょう。

判断の結果 推進しいてくべきだ と感じた際はとことん突き進むべきで、
結果として自分の選んだ道を正解にさせていく(もっと言うと正解にするまで泥臭くやる)ことが事業企画においてバリューが最も出ると考えます。

3.経営企画 におけるバリューの出し方

そもそも経営企画の役割って?(私の解釈です)

経営企画は、
会社のミッション・ビジョン実現に向け、
北極星(ここに行くんだ! ) と共に、行き方を定めながら、
事業ポートフォリオマネジメント(経営資源のリソース配分等)を通じて、
見極め、連ねて、束ねながら 持続的に成長する組織を創造していく
そんな存在です。

バリューの出し方

当たり前ですが、事業により密接に関わっている場合  
売上・利益を始めとする定量数値 というある種の月次通知表がでるけれども、経営企画業務ではでてこないです。
年次や、はたまた3-5年とスコープを引いて 初めて評価されるケースも多くあります。
これが正しいのかわからない感覚で常にドラフトしていくため、
”これは前に進んでいるのか” ”自分はバリューを出せているのか”
と こそばゆい感覚を持つ事が多く、事業企画を経験した後、私自身がグループ経営企画として着任した際に感じたのも上記感覚でした。

そんな中で、グループ中長期戦略策定プロジェクトを二回ほど経験し、
グループ全体をみる経営企画としてはこの辺りが大事なのだな、
と朧気ながらも感じた点を記載します

  1. ミッション・ビジョンに連動しながらも 期間を区切った大枠の定量的ゴール(北極星)を定めていく
    経営企画としては、第二領域(重要だけど緊急度が低い)に関するテーマを常に議論の中心に置きながら3-5年後の未来の理想、現実とGAPの大きさを明確にしていくと共に とにかくでてくる言語化・可視化しずらいを議論内容や未来の姿を 定量的に、シンプルに、わかりやすくし、議論をファシリテートしていく事が求められます。

    このプロセスでは ”やりたい方向性が人によって違う” と共に、
    ”数多くの実現したい未来”がでてくる傾向が強いです。
    決して悪い事ではないですが、戦略とはやらない事を決めていく事でもあるため、”これができなかったら全員退任しましょう” というレベルで
    参加メンバーが想いを共有できる 1つ 多くても2-3個レベルまでのゴールになるまでシャープにしていき、会議をなぁなぁで早く終わらせずに納得感がいくまで 、時には議論を壊しながら推進していく役割が重要です。
    このプロセスを通じてできた 北極星は 何があっても見失わない強力な指針となっています。

  2. 事業ポートフォリオの構築・マネジメント
    グループ全体視点から どこに、何を、どの程度投下して、投資に対して適切にモニタリングできる状態を定める。所謂 事業ポートフォリオマネジメントの絵姿をつくりあげていきます。
    この際、どこの事業が勝ち筋を有しているのか、どこまで踏み込んで戦うのか、多面的で数多くの客観的なデータと共に、事業サイドと連動しながら 仮説を構築し どうやってPDCAを回し “踏み込める”状態を創れるか 検証をしながら小さい回転を数多く回していきます。
    ただ、事業ポートフォリオを構築していく際、小さな検証しかしていない事業/サービスに対して 急に人・金を投資を数億円規模で投下するのはギャンブル性が高いです。
    そのため、中長期戦略構築を行う前段階から常に適切な人・金を配分しながら 5-10年後のグループにおける事業ポートフォリオ絵姿を想像して 事業の仮説検証をし続ける体制構築や推進をしていく事が求められます。
    時には新規事業開発や起案を、時には経営資源配分における提案を、と事業ポートフォリオマネジメントに携わる業務を中期経営計画策定期間だけとせず推進しつづける事が重要です

  3. 実現に向けた機能戦略の構築
    上記に付随する、財務戦略・組織戦略・デジタル戦略・MA戦略・新規事業開発など機能的側面において、どういう状態があるべき姿かを逆算で考え、各ユニットと共に頭と体に汗をかきながら現実との差分を埋めていくプランを考えていきます。
    往々にしてプロフェッショナルな方が多く、我々よりも知見・経験共にお持ちの方々です。中長期の成長戦略に連動する ”ここは外してもらいたくない観点” を背景踏まえてしっかり共有しながら、点の戦略とならず線となる戦略を構築していくと共に、既存事業で創出された利益を 機能組織にどう配分していくのか 枠を定め 時には削減をしていく事も厭わずに作り上げていく事が重要だと感じます。

  4. モニタリングできる仕組みづくり、そして時には事業企画に、、
    中長期における戦略を策定し、最終的な統合を終えてもまだ終わりでは無いです。
    僕らは前年の12月末くらいに上記1‐3の骨子ができてますが 除夜の鐘が聞こえないくらい まだまだ突き詰めるべき観点が残ってます。。。
    社内メンバーへのコミュニケーションや 必要に応じた組織改編、人事を行いながら 社外役員や投資家に向けたコミュニケーション、等あげたらキリが無いほどです。
    様々あるものの、個人的に一番大事なのは
    ”経営メンバーで振り返り検証を行える”状態を作ることです。
    ・そもそも何をしたかったんだっけ?それってなんでだっけ?
    ・それに対して今どんな状態なんだっけ?
    ・そんな状態を構築した 背景や要因ってなんだっけ?
    ・未来に向けてどういう取り組みをする予定で進捗どうなんだっけ?
    ・それはオンペースで進むのか?
    など、、、PDCAサイクルを シンプルに、分かりやすく 回せる状態を
    マクロでもミクロでも構築し、振り返り検証ができる状態を作る事で、
    人に紐づいた資産ではなく会社資産として形成されていきます。
    そして、モニタリングを通じて 様々出てきた 事象に対して、
    正解がない 経営企画だからこそ 時には事業企画、時にはIT推進者になる等  ”持続的に事業が成長するために 自分達が意志をもってやるべきだ と感じたコト”に応じて 枠組みに捉われず行動し続けていく事が大事です。

おわりに

”正解がない” だからこそ面白い。

今日までの皆様、そしてこれから投稿する皆様の記事は学びになる部分が多く、中々表に出てきづらい 経営企画の 生の声 を聴けるのは本当にありがたいです。

ただ、一方で 皆さんが記載している内容をそのまま自身の会社にインストールしたとしても
”あれ、思ってたのと違うな、、” 
”なんか書いてたのと違うぞ、、”
等、出したいバリュー を出せない可能性が高いです。

当たり前ですが 会社によって状況・状態は常に違い、
求められている役割も常にジャストフィットするとは限らない為です。

様々な知見(今回のアドベントカレンダー等)を横目で見ながら、
改めて皆さんの置かれている状況を分析し、思考と行動を積み重ね 様々な経験を得ながら、自らの手で 正解を 創ってもらえる参考となれば嬉しいです。


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