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連載 『あの人が55才だったころ』  今回のあの人は「レイ・ブラッドベリ」

50にして天命を知る、なんていうけれど、60才が視野に入ってきた55才になっても迷うことばかり…。そんなとき、なにかヒントがほしくなる。そういえば、有名なあの人は55才のときにどうしていたのだろう? がんばっていたらけっこう焦るし、がんばり過ぎていたらすこし切なくなるし、がんばれていなかったらちょっと寂しくなるけれど…。それでもいい、覗いてみたい、あの人が55才だったころ。

55才のレイ・ブラッドベリ

レイ・ダグラス・ブラッドベリ(Ray Douglas Bradbury、1920年8月22日 - 2012年6月5日/アメリカ合衆国/小説家・詩人)

本とか読みます?そんな風に聞かれた時、大概は「あまり読まないですね」と答える。
そして次に決まって「SF小説とかは好きで、ちょっと読んだりしますけど」と付け足す。
そう言いながら心の中でこうも思っている「SFって言ったけど、ほぼほぼブラッドベリなんだけどね…」と。

ブラッドベリは不思議な魅力を持った作家です。叙情的でどこかノスタルジーがあり、文章はとても詩的で…シュールさもあり…
なんとも言葉で説明するのは難しいですが、決して「SF小説作家」などという括りでは収まらない、ジャンルを越えた魅力に溢れています。

代表作は「ウは宇宙船のウ」「華氏451度」「火星年代記」「何かが道をやってくる」「10月はたそがれの国」などなど

そんなブラッドベリが55歳の時、1975年に書いたのが短編集「とうに夜半を過ぎて」に収録されている「灼ける男」。
車でピクニックに出かけた叔母と少年が、行き道でヒッチハイクの男を車に乗せるが…やがて男は「こんな風に考えてみたことはないか?」と不思議なことを語り出す…といったちょっと怖いお話。
ブラッドベリの名作と呼ばれるものは20~30代に書かれたものが多いですが、中期以降の作品も味わい深い佳作が揃っています。

2012年、91歳でその生涯を終えたブラッドベリですが、2009年まで精力的に執筆しています。
彼からしてみれば「55歳などまだまだひよっこだよ」と言われそうです。

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