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ぼくとリコちゃん


 こんにちは
 ぼくは くまの おとこのこ

 リコちゃんのおうちの
 リコちゃんのおふとんにいて
 まいばん いっしょに ねむってる

 リコちゃんは ぼくを
「くんたん」
 って よぶよ

 だから ぼくもね
「リコちゃん」
 って よんでるんだけれど
 なかなかきづいて もらえない

 もしかしたら ぼくのこえ
 きこえていないのかな?

 そうかんがえると すこし さみしいけれど

 ぼくは リコちゃんのおとなりで
 ねむれるから……しあわせ


 あるひの あさ

 リコちゃんは ほいくえん ってところに
 いかなかった
「なぜかなあ」
 って おもったら
 リコちゃんは ぼくがいる ふとんに
 はいってきたんだ

「リコちゃん! まだ、よるじゃないよ。いまはあさだよ!」
 やっぱり こえは
 きこえていないみたい

 だけど ぼくのてをにぎる リコちゃんは
 なんだか とっても あつかったんだ

 リコちゃん もしかして
 っておもったとき
「くんたん。わたし、かぜひいちゃった。こほ、こほっ!」
 やっぱり、かぜだったんだ!
 リコちゃんはとってもつらそう

 なにか ぼくにできること
 あるかしら?

 かんがえていたら リコちゃんは もう
 ゆめのなか

 あっ! そうだ!

 ぼくは あたたかいから
 リコちゃんをあっためてあげよう!

 ぼくはぴったりと リコちゃんに
 よりそった

 しばらくすると ぼくもふわふわ
 ゆめのなか
 おそらにうかぶくもみたいに
 ぼくは とってもかるいんだ

 いつのまにか まわりはまっしろ
 ふーっ と いきをはくと
 しろいかすみが とけていく
 ぼくは ふうふうふいてみる

 すっかりはれると
 そこは いろとりどりの ちいさなおはなが いちめんにさいた
 のはらだったよ

 その のはらの まんなかに
 リコちゃんが すわっていた
「リコちゃん!」
 ぼくはうれしくて うれしくて
 リコちゃんのところへ かけていく
 すると
「あっ、くんたん!」
 いつもは ぼくのこえが きこえていないのに
 いまはちゃんと きこえているみたいだ!

「ねえ。くんたん、いっしょにおはなをつんであそぼうよ」
「うん、いいよ。リコちゃんは、おはながすきなんだね」
「わたし、おはながすきだよ。でもね、くんたんのほうが……だーいすきなの!」
 リコちゃんはそういって たいようみたいにわらう
 だからぼくも リコちゃんみたいに わらったんだ
「ありがとう! ぼくもリコちゃんが……だーいすきさ!」

 くさで かんむりをつくったり
 のはらに ねころんだりしていたら
 あっと いうまに
 おそらは オレンジいろ
「くんたん、これからもリコのだいすきな、くんたんでいてね」
「もちろんだとも。ぼくはずっとリコちゃんがだいすきな、ぼくでいるよ」
 ぼくたちは ぎゅうっと だきしめあう
 おひさまみたいに あったかい……

 きがつくと
 ぼくは リコちゃんの おふとんにいた
 リコちゃんはとなりにいなかった

 だけれどね……

「ママ、きいて! リコね、だいすきな子とゆめであえたの! それでね、めをさましたら、おねつもなくてせきもとまってたよ!」

 ぼくのみみに リコちゃんのこえ
 やっぱり みたゆめは ほんものだったんだ

 リコちゃんが おふとんに もどってきた
「くんたん、だーいすき!」
 そして やさしくぼくを だきしめて
 ぼくの おはなに
 ちゅ って
 キスをした

 だから ぼくもね
「リコちゃん、だーいすき!」
 っていって だきしめかえしたら
 リコちゃんが また ぼくを
 だきしめてくれたんだ

ーThe ENDー

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