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『揚げ菓子万歳 ~カーニバル編~』

日本には四季折々の行事があるようにイタリアにもたくさんあります。
e-ponteオープンの2月には、『バレンタインデー(San Valentino)』、移動祭日ですが『カーニバル(謝肉祭Carnevale)』があります。どちらも学校や職場は休みにはなりませんが、お店には季節を感じさせるお菓子が並びます。
今回はあまり日本では馴染みのないカーニバルのお菓子をご紹介します。

2021年のカーニバルは2月16日です。『イースター(復活祭)』が今年は4月4日なので、そこから日曜日を除き40日遡った日がカーニバルです。カーニバルの言葉を聞くとリオのカーニバルでのサンバ、イタリアが好きなひとはヴェネチアの仮装する様子を思い浮かべると思います。ヴェネチアのカーニバルには、世界中から300万人のひとが訪れると言われており、イタリアに暮らしていてもその時期にヴェネチアに行くことは難しく、なかなか足を運ぶ機会には恵まれません。
カーニバル自体は、カトリック大国のイタリアでは全国的な行事で、カーニバルの語源はラテン語 『Carnem(肉)』と『Levare(取り除く)』に由来し、敬虔なカトリックはこの日からイースターまでお肉を口にしません。

さて、堅い話しは抜きにして、この時期の町の様子は、子どもたちが思い思いの衣装に身を包み、大量の紙吹雪を撒き、そして町中のお菓子屋さんには季節の揚げ菓子が並びます。『揚げ菓子』と言ったのは、実は一般的な名前があるけれども日本と同様、南北に細長いイタリア、そして各州の個性が強いため、それぞれの地域で呼び方が異なるのです。
その代表格が『キヤッケレ(Chiacchiere)』で、薄くの伸ばした生地を揚げる、またはオーブンで焼いて砂糖をかけたシンプルなお菓子です。全国区の名前は『キャッケレ(Chiacchiere)』ですが、ピエモンテ州やリグーリア州では『ブジーエ(Bugie)』、ウンブリア州やマルケ州では『フラッペ(Frappe)』と呼ばれています。これらの名前はイタリア全20州以上に存在しています。これは私の想像ですが、フランスに近いピエモンテ州はやはりフランス語に近い言葉なのかもしれませんね。

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この『キヤッケレ(Chiacchiere)』は王道以外にもチョコレートコーティングしたものがあり、また揚げ菓子が気になる方が選ばれるオーブンで焼いたものもあります。『キヤッケレ(Chiacchiere)』以外にも丸型、リング型の揚げドーナッツや州の数、町の数、各地で育まれたたくさんの味があります。

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南イタリアのナポリではシナモンなどのスパイスが入っているチョコレートソース『サングイナッチョ(Sanguinaccio)』を『キャッキャレChiacchiere』につけて食べることもあります。イタリア語を知っているひとなら『サングエ(Sangue)=血液から由来する言葉』と察しがつくと思いますが、現在お店で売られているソースには入っていませんので、ご安心ください。

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はじめに『揚げ菓子』と書いたとおり『キヤッケレ(Chiacchiere)』以外に家庭で作るもうひとつの揚げ菓子『フリッテッレ・ディ・カルネバーレ(Frittelle di Carnevale)』があります。
ヴェネチアでは『キヤッケレ(Chiacchiere)』に並ぶ『フリトラ(Frìtoła)』小麦粉、卵、牛乳、砂糖、レーズン、松の実を混ぜた生地を揚げて、砂糖をまぶしたお菓子がカーニバル時期の代表と言えます。『フリトラ(Frìtoła)』は方言なのでイタリア語では『フリッテッラ(Frittella)』と言います。この菓子は揚げたてを食べるのが醍醐味なので、お店で見つけるのはなかなか難しいです。私自身は作ったことがないので、ここに写真を載せられないのが残念です。

今年は1月31日から始まったカーニバル期間は2月16日最終日の『マルテディ・グラッソ(Martedì grasso)懺悔の火曜日』を迎えます。この日がカーニバルのお菓子を楽しめる最後の日、あと数日私も堪能したいと思います。

文:e-ponte  

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