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【試合評】気迫をみせたキャプテンマーク、才気煥発オコエ快挙のアットバット、銀次「魂」の一撃~8月10日○楽天4x-3日本ハム

銀次、後半戦初の3安打。千両役者のサヨナラ劇

お盆休み直前のkoboパークは、7月21日オリックス戦(○E4-3Bs)以来、今シーズン11度目の延長戦に突入していた。

10回、11回表とスコアボードにゼロが入り、そして迎えた11回裏。
今季2度目のドローも脳裏にチラつくなか、1死後、楽天が4時間24分に終止符を打つ今季5度目のサヨナラ勝利を飾っている。

才気煥発な高卒2年目、9番・オコエが作ったチャンスだった。

ここまでの4打席はノーヒットも、あともう少しで左越えという良い当たりの左飛、2塁走者を3塁に送り込む進塁打の二ゴ、9回無死1塁ではサヨナラ走者を得点圏に進める投犠など、内容充実した打席を重ねていた。
そして第5打席目で自身初となる4試合連続ヒットが飛び出す。

快挙のアット・バットだった。
初球148kmストレートを空振りした後の第2球、外角113kmカーブをタイミング良くひっぱった左翼線二塁打。
緩急差35kmは、オコエがプロで放った最大緩急差のヒットになった。

4時間24分は、いよいよ佳境へ。
オコエを2塁に置き、1番・茂木が敬遠気味に歩かされて1死2,1塁。
決めたのは、2番・銀次だった。
ファイターズ七番手・石川の投げるストレート連投の2球目を捉えた。

初球、甘く入ってきた145kmをバックネット後方にフライファウルにした直後、2球目の146km、同様に甘くなった速球を今度は打ち損じることなく、しっかりフィールド内に弾き返した。

前進守備を敷いたセンター西川が背走する、その遥か上を越えていく当たりは、2015年4月12日オリックス戦の佐藤達也撃ち、2016年8月2日オリックス戦の西勇輝撃ちに続く自身3度目のサヨナラヒット!

満員御礼で埋め尽くされた本拠地の大観衆の前で、決めるべき人が決める千両役者の一振りは、首位堅守の一打になったと同時に、後半戦で自身初の3安打猛打賞をも決める1本にもなった。

それにしても、苦しくてタフな15回戦だった。

両軍先発ともにピリツとしないなか、スコアボードは6回まで2-2の同点。
そんなジリジリした試合展開のなか、7回表には二番手・高梨が4番・大谷翔平に左前適時打を許し、1点を勝ち越されてしまう。
1軍復帰後に続けていた連続試合無失点記録も17で途絶える事態に陥っていた。

1点先行されたイーグルスは直後の7回裏、すぐさま取り返した。
ファイターズ三番手・宮西を攻め、主将が作ったチャンスを選手会長の銀次がモノにし、中前タイムリーで同点。(楽3-3日)

楽天は9回裏、相手五番手・増井を攻め立て1死2,1塁。
サヨナラ機で2番・銀次に打席がまわる。

フルカウント勝負の6球目、低めに誘われたフォークボールを巧みなバットコントロールで1,2塁間をゴロで破るつなぎの右安。
満塁で3番・島内、4番・ウィーラーの中軸にまわしたが、2者凡退で逸機...
重たい雰囲気の中、エキストライニングスに突入していた。

しかも、リリーフ陣は連日の総力戦だ。
5連戦日程の初戦になった前夜は5人投入し、2戦目の本戦も5人を注ぎ込み、高梨、ハーマン、福山、久保は2連投のなか、腕を振っていた。

その中、もぎ取った勝利は、チームの闘志をさらに奮い立たせるもの。
なかでも、チームの誰よりも東北のことを思い、日々バットを揮う銀次に、自信を与える3安打になったはずだ。

というのは、球宴明けの後半戦、背番号33は精彩を欠いていた。
藤田離脱もあり、セカンドスタメン出場が続いたことによる守備負担の影響もあったのだろう、後半戦打率は67打数16安打の.239。
シーズン打率も、前半戦終了時はバットマンレースの頂点に限りなく肉薄する.325を記録しながら、昨日終了時には.308まで下げ、打率十傑も2位から4位へと後退していた。

今後の優勝戦線を東北が生んだフラインチャイズプレーヤーにしてNPB屈指のコンタクトヒッターの打棒は欠かせない。
その意味でも、今後1週間のロード日程に旅立つ直前に、本拠地のファンの前で、勝利につながる3本を打つことができたことは、精神面で大きかったと思うのだ。

楽天は銀次の働きもあり、1位を堅守。
チーム成績を94試合61勝32敗1分の勝率.656、貯金を29に戻した。

各種戦績は、後半戦11勝8敗、日本ハム戦12勝3敗、岡島&ペゲーロ離脱後6勝7敗、koboパーク29勝12敗1分、先制された試合20勝21敗1分、相手先発左投手試合9勝10敗とした。

ゲーム差は2位・ソフトバンクと-1.0のまま、3位・西武とは差が広がり5.5、4位・オリックスとは18.5、5位・日本ハムとは30.0、6位・ロッテとは31.5になった。

両軍のスタメン

日本ハム=1番・西川(中)、2番・松本(一)、3番・レアード(三)、4番・大谷(指)、5番・大田(右)、6番・田中賢(二)、7番・ドレイク(左)、8番・大野(捕)、9番・中島卓(遊)、先発・加藤(左投)

楽天=1番・茂木(指)、2番・銀次(二)、3番・島内(中)、4番・ウィーラー(三)、5番・アマダー(一)、6番・松井稼(左)、7番・クルーズ(左)、8番・嶋(捕)、9番・オコエ(右)、先発・安楽(右投)

気迫をみせたキャプテンマークの仕事ぶり

銀次の槍働きも相当嬉しかったが、同様にキャプテンマークの活躍も心震えるものがあった。

マスクを被っては、3-3の同点8回2死2,1塁に、ハーマンがストライクゾーンに入れた変化球をまさかの捕逸で走者を進めてしまう場面があった。
後半戦に入り、暴投が目立つ嶋なだけに、この場面の捕逸も思わず顔をしかめたくなるシーンだった。

配球面でも首をかしげたくなるシーンがあった。

1-1の同点3回、3番・レアードに対し、初球外角速球ボール、2球目インコース速球でファウルを打たせて1-1、そこからの3球目から4球連続でアウトコースのスライダーの出し入れで、レアードと勝負した場面だった。

同じ球種を同じコースに3度のみならず4度も続けたことは、NPB経験豊富で配球を読んでくるレアードに対してハイリスクすぎやしないか。
案の定、左翼席へ運ばれてしまう26号ソロを被弾。

3-3の同点9回、福山をリードしてレアードと勝負した5打席目でも、ホームランを浴びたときとほぼ同じ配球。
ボール先行2-0の後、外角スライダー4連投になり、「おいおいおい・・・」と肝を冷やしたが、レアードを遊ゴに討ち取って結果オーライ。

まあそんな場面もあったが、終盤にみせたバットでの活躍は、気持ちの籠ったキャプテンマークの仕事ぶりだった。

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