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【試合評】Plate Disciplineで診る楽天好調の要因と美馬のマウンド支配力~5月6日○楽天10-2西武

アマダー外しの打線組み換えが大成功!

外国人トリオが2戦連続1安打に封じられ、カードの初戦を落とした楽天。
一夜明けた3連戦の第2戦、梨田監督は打線の組み換えを決断した。

昨日4三振のアマダーをオーダーから外し、今季初めて4番にウィーラーを置き、島内は3番に昇格。
前日休場を取った茂木を1番に戻すと、6番には聖澤を今季4試合目のスタメンで使う「新型打線」が初回から、みごと的中した。

今シーズン両リーグ最多20安打の猛攻でスコア10-2、今季4度目の二桁得点で大勝!

ペゲーロ、ウィーラーが揃い踏みの3安打で、外国人安打も今季最多6安打。

やはり、ウィーラーは、慣れ親しんだ4番に座ったことで「本領発揮の自分」を思い出したのだと思う。
三遊間をゴロで破る左安、左翼フェンスギリギリまで運ぶ左飛、左翼線に弾き返した長打コースの左安、左翼ウォーニングゾーン手前まで打ち返した左飛、148kmの真っすぐを右方向へ運んだ右安と、いずれも内容のある打撃をみせた。

島内、聖澤、足立の日本人勢も猛打賞を記録した。
二塁打6本、三塁打2本、本塁打1本と面白いように長打も飛び出し、塁打も今季最多33、直近6試合で1試合平均2点止まりと冷え込んでいた打線に再び元気が戻る「景気づけの一戦」になった。

先発・美馬は8回4安打2失点。
大量援護に守られ、いつも通りの好投を繰り出し、3試合連続のハイクオリティスタートで、開幕負けなしチームトップの4勝目を挙げている。

これで成績は1位、26試合19勝7敗の勝率.731。
貯金を今シーズン最多タイ12に戻し、大型連休8試合は4勝3敗、5月戦績3勝2敗、西武戦2勝3敗としている。

両軍のスタメン

楽天=1番・茂木(遊)、2番・ペゲーロ(指)、3番・島内(中)、4番・ウィーラー(三)、5番・銀次(一)、6番・聖澤(左)、7番・岡島(右)、8番・藤田(二)、9番・足立(捕)、先発・美馬(右投)

西武=1番・秋山(中)、2番・源田(遊)、3番・浅村(二)、4番・中村(三)、5番・栗山(指)、6番・メヒア(一)、7番・木村文(右)、8番・外崎(左)、9番・炭谷(捕)、先発・野上(右投)

Plate Disciplineで診る楽天好調の要因

楽天好調の要因を、DELTAがウェブサイトで無料公開しているPlate Disciplineデータを見ながら確認してみたい。
データはいずれも5月5日終了時。

まずは、Z-Swing%。
ストライクゾーン・スイング率のことだ。

日本一後の楽天は、この値が3年連続リーグ最下位だった。
ストライクゾーンの球をスイングすれば、空振りや凡打も出てくるが、当然、安打もあるわけだ。
一方、見逃してしまえば、その球は必ずストライクになる。
打者は1ストライクを奪われれば、その分、打率は下がるわけで、打者にとって全く良いことがない。
過去3年最下位に沈んだ楽天だが、今シーズンは最下位を脱却、リーグ平均値付近まで改善されている。

次にO-Swing%。
ボールゾーン・スイング率だ。

球界屈指の悪球撃ち、後藤が在籍したこともあるが、この値も過去2年リーグワースト2位とふるわなかった。
しかし、今年は日本ハムに次ぐリーグ2位の好成績なのだ。

最後にO-Contact%。
ボールゾーン・コンタクト率だ。

銀次を始め、岡島、藤田などバットコントロールに長ける打者が多く在籍するため、イーグルスは例年この値がリーグ屈指である。
ボール球に手を出してしまっても、コンタクトできれば、インプレーの凡打になり打ち取られてしまうこともあるが、ファウルで逃れて打ち直すこともできるわけで、この値は当然高いほうが良い。

以上、まとめると、過去の楽天はストライクゾーン・スイング率が低く、ボールゾーン・スイング率が高い「悪球を打たされている状況」にあった。
しかし、今シーズンは、ストライクゾーンの球に対し、しっかりスイングをかけることができ、ボール球は見逃すことができている「好球必打」が実践できている。

この背景には、本戦の中継で解説・片平晋作さんが口にしていたように、やはり、今季から本格導入されているVR打撃練習システムの先行者利益、トラックマンから得られたデータのフィードバックがあるのだと思う。

さらに、茂木や島内のように「自信が自信を生む好循環の成長サイクル」に入っている打者も多い。

また、茂木の加入も大きいと感じている。
1年目からあれだけフルスイングできるルーキーが入ってきて、既存の選手が刺激を受けないわけがなく、今季の銀次や今江がバットをしっかり振れているのは、梨田監督の助言と同時に、茂木の存在が大きいと思う。

岡島は年間37本の長打を放った2014年のときのように、粘るのか、長打狙いなのか、カウントや状況に応じた打撃を使い分けることができている。

さて、話を美馬に移そう。

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