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【戦評】 藤田一也「新たな十八番芸」、今江年晶「4番の大仕事」~7月10日○楽天4-3オリックス

球団初の山形開催の公式戦初勝利は、「奇跡の勝利」になった。

負ければ今季最大の借金21。
平石新体制後でも借金生活に突入する瀬戸際の一戦だった。

楽天打線の前に立ちはだかったのは、相手先発アルバースだ。
DAZNとのコラボ企画でシンクタンクDELTAが「上半期助っ人ランキング1位」に選んだ助っ人左腕である。
イーグルスは彼と過去2度対戦し、4/11は5回2失点(勝敗つかず)、5/22も8回無失点(勝利投手)、いずれもゲームメイクを許していた。

この日も敵軍左腕の前に打線は散発4単打、6回無失点と沈黙する。
一方、楽天先発・美馬は粘投ながらも2点を失い、6回を終えた時点で0-2、ゲーム展開はビハインド推移していた。

今季、楽天の6回終了時に負けているときの勝率は.081。(3勝34敗)
かたやオリックスの6回終了時リードしているときの勝率は.867。(26勝4敗1分)

オリックスのブルペン陣の防御率はセパ12球団中2位の3.07。
勝利の方程式は盤石だ。

わずか2点差ながらも戦況は圧倒的不利。
そういうタフな状況下から勝ちをひろったのだ。

両軍のスタメン

オリックス=1番・大城(中)、2番・福田(二)、3番・西野(三)、4番・吉田正(指)、5番・ロメロ(右)、6番・安達(遊)、7番・マレーロ(一)、8番・小島(左)、9番・若月(捕)、先発・アルバース(左投)

楽天=1番・田中(中)、2番・茂木(遊)、3番・島内(左)、4番・今江(一)、5番・銀次(指)、6番・渡辺直(三)、7番・藤田(二)、8番・ペゲーロ(右)、9番・嶋(捕)、先発・美馬(右投)

反撃の狼煙を上げたベテラン三銃士

潮目が変わったのは7回裏。
この回から敵軍は継投作戦に入る。

一見すると、好投するアルバースを変えるのはもったいない。
そう感じるが、オリックスからしたらゲームプランどおりだったのだろう。

というのは、アルバースの1試合平均球数は99球だった。
本戦では6回97球を投げており、まさに継投のタイミングと言えるからだ。

後ろには万全なリリーフ陣が控えていることを考えれば、青写真どおり。
楽天は福良監督が描きかけた「勝利の青写真」をみごと「絵に描いた餅」にしてみせたわけなのだ。

7回、二番手は吉田一。
防御率は1.58、最後に失点したのは5/25ロッテ戦で、以来18試合連続無失点だった。

そんな強敵相手に「鷲の三十路三銃士」が躍動する。

1死後、30歳の5番・銀次が口火を切った。

今季の銀次はヒットの68.9%がセンターから右方向を記録する。
反撃の狼煙になった一打も、144キロ速球を仕留める1,2塁間ゴロ突破の右安になった。

1死1塁、今度は38歳の渡辺直が技を披露した。
この日は1、2打席とも引っ張ってヒット性の強い当たりを放っていたベテラン。
1塁にランナーを置いた3打席目のこの場面では、お得意の右打ちをみせてくれた。

じつはこの打席、イヤな場面だった。

初球ボール後、外角低めの2球目を見逃して1-1。
3球目の低めフォークは内角への抜け球に。
ぼくの目にはボールに見え、渡辺直も同様の判断だったのだろう。

しかし、球審の判定はストライク。
イヤな形で2ストライクを取られていたからだ。

決着ついたのは、1-2と追いこまれる形になった後の4球目だった。

吉田一の146キロ速球は外角低めへ。
この難しい球を技ありのミート打撃で右前へ運んだ。
1塁走者の銀次を3塁に送り届ける「素晴らしい仕事」になった。

もしこのヒットがレフトまたはセンターだったら、銀次の三進は確率低かったはずだ。

今季、走者1塁、楽天打者に外野単打が飛び出したときの1塁走者の三進率は、

右翼 44.0% (11/25)
中堅 35.7% (10/28)
左翼 31.7% (13/41)

を記録していた。

その後、36歳になったばかりの7番・藤田の右犠飛で銀次がタッチアップ生還したことを考えると、渡辺直の右打ちは単なる単打ではなく『シングルヒット1本以上の価値』だったと言える。

藤田の犠飛は新たな十八番芸!

犠飛を打った藤田も、これまた素晴らしい仕事ぶりだ!

打者・藤田の特徴の1つに、、、

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