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【試合評】 4連敗を鮮やか阻止!! 「伏線」が生んだ9回劇的サヨナラ勝利~8月4日○楽天3x-2ロッテ

2回以降は失点ゼロ

試合開始から小雨が間断なく降り続いた3時間1分。
楽天打線はロッテのドラ2新人・酒居の快投に苦しめられたが、最後の最後まで戦意を切らさず、諦めずに戦ったのは楽天だった。

初回に先発・岸が4番・鈴木にいきなりの被弾。
2点先制を許して始まったロッテ13回戦だっが、2回以降は立ち直り、スコアボードにゼロを入れ始めていく。

すると3回、楽天が反撃。
1番・茂木が故障明けでは初の、右越え特大13号ソロで1点差に肉薄した。

茂木の花火にも勇気づけられた岸は7回まで集中力を切らさなかった。
4回、5回、6回と得点圏に走者を背負ったが、落ち着いた投球でゲームメイクを完遂した。

8回、岸からバトンを託されたのは二番手・高梨だった。
その期待に応えて、1番・荻野から始まる上位をワンツースリー。

雨でぬかるんだマウンドを再三気にする仕草をみせながらも、そのことで投球を大きく乱すことはなく手堅い内容で打者3人を退け、6月7日の1軍復帰後15試合連続無失点。
仕事人の風格を早くも漂わせた新人左腕が、逆転勝利のバトンをつないだ。

9回はハーマンが三番手でマウンドへ。
調子を落としていた「ハーバード大卒の頭脳派」は中12日のお久しぶり。

いきなり先頭の4番・鈴木にデッドボールを与えたものの、後続の5番・ペーニャとの対決で三振ゲッツーに退けていく。
6番・中村の外野大飛球は意外にも打球が伸びて一瞬ゴクリ...
しかし、英気を養ったハーマンの球威が最後の最後で勝ったのだろう。
右中間フェンスギリギリで失速、センター島内のグラブへ収まった。

1点差を追った9回裏の逆転サヨナラ勝利の背景には、岸~高梨~ハーマンと味方投手陣が「3点目を相手に渡さない奮戦」をみせたことが、大前提にあった。

両軍のスタメン

ロッテ=1番・荻野(中)、2番・加藤(左)、3番・角中(右)、4番・鈴木(二)、5番・ペーニャ(指)、6番・中村(三)、7番・根元(一)、8番・平沢(遊)、9番・吉田(捕)、先発・酒居(右投)

楽天=1番・茂木(指)、2番・銀次(二)、3番・島内(中)、4番・ウィーラー(三)、5番・アマダー(一)、6番・聖澤(左)、7番・クルーズ(遊)、8番・嶋(捕)、9番・オコエ(右)、先発・岸(右投)

「伏線」が生んだ9回サヨナラ勝利

9回の逆転サヨナラ勝利には、「ここまで89試合を戦ってきた今季の伏線」があった。

場内が大歓声に包まれたなか、先頭の2番・銀次が突破口を切り開いた。
初球打率.435を誇るチーム随一のコンタクトヒッターが、内の真中甘く入った初球146kmを狙い撃ちで中前へ弾き返していく。

続く3番・島内がしっかりバントを決めて、同点走者を2塁に送り込んだ。
島内と言えば、明治大学時代は1度もバントをしたことがないというエピソードの持ち主で、バント達者のイメージに乏しい選手である。

島内、真のバント成功率を大幅改善

事実、島内の真のバント成功率は2015年50.0%、2016年も53.8%と相当低いものだった。
しかし、今年は85.7%、すこぶる上々なのだ。

今年は4月8日ロッテ戦(○E7-4M)、同点の6回無死2塁で2度バントファウルになり、追い込まれた後に三飛凡退した「事実上のバント失敗打席」が1度あるだけで、その次からはこれで6回連続の成功になっている。

高すぎるバント成功率の秘訣は、始めからバントの構えをせずに、セーフティバントの要領でやるようになってから精度が高まったのだ。

バントの構えからバントをしにいった2回は、いずれもバントファウルになったのに対し、セーフティのかたちから試みた7回中で成功6回、失敗に終わったのはバントファウルの1回だけ。
島内には「動からの犠打」が合っている。
この劇的なバント成功率も、前述した「ここまで戦ってきた今季の伏線」の1つと言える。

嫌な記憶がよみがえった

1死2塁に代わり、打席には4番・ウィーラー。
銀次のときより、さらにひときわボルテージが増した声援がkoboパークを地鳴りのように包んでいく。
この日のウィーラーは三ゴ、遊ゴ失、三ゴ。
酒居の変化球にタイミング合わず、打たされゴロ3本に終始していた。

しかし、ここでロッテベンチは1塁が空いていたことでウィーラーを敬遠。
5番・アマダー以降の勝負を選択する。

この敬遠が1つの契機になったと思う。

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