【試合評】先発・菊池と二番手・青山が魅せた覚悟の危機脱出劇~2016年8月23日○楽天イーグルス3-2ソフトバンク

珍光景満載の3時間58分

いやはや、長いペナントレースには、こういう珍ゲームもあるものなのか、という3時間58分になった。

楽天による4回の2点先制劇はまさに僥倖の産物。先頭の2番・茂木が右安で出塁して無死1塁、3番・銀次の初球打ちは完全なる6-4-3の併殺コースの遊ゴになるはずだった。ところが、このゴロ打球が二塁塁審・佐藤に直撃したことで、ラッキーな内野安打になる。

無死2,1塁とチャンスを広げて4番・ウィーラー。追い込まれた後の低めに入ってきた武田翔太のカーブを弾き返した当たりは、強いゴロになったものの、サード松田の真正面。これも完全な5-4-3の併殺コースだった。

ところが、三塁守備に定評があり、今季も8点台のUZRを記録する松田がファンブル。打球を三塁側ファウルゾーンに大きく弾き、この間に2塁走者・茂木が3塁を蹴って一気にホームインした。この後、1死3,2塁から6番・岡島による犠飛で2点目を入れている。

つまり、3回、ソフトバンクは2本の併殺コースを取る機会があり、そのうちどちらかを取ることができていたら、恐らく楽天の先制劇はなかったであろうという珍光景だったのだ。

両軍のスタメン

楽天=1番・島内(中)、2番・茂木(遊)、3番・銀次(一)、4番・ウィーラー(左)、5番・今江(三)、6番・岡島(右)、7番・アマダー(指)、8番・藤田(二)、9番・嶋(捕)、先発・菊池(右投)

ソフトバンク=1番・中村(一)、2番・今宮(遊)、3番・柳田(中)、4番・内川(指)、5番・長谷川(左)、6番・松田(三)、7番・福田(右)、8番・本多(二)、9番・細川(捕)、先発・武田(右投)

珍光景と言えば、9回表の決勝点もまさにありえないシーンだった。

2-2の同点で迎えた9回、マウンド上はサファテ。3本の単打で2死満塁とし、打席は1番・島内。僅か2球で追い込まれた後、1-2からの5球勝負はピッチャー正面のまさにボテボテの打ち取られたバウンドゴロ。しかし、この打球を処理するためにマウンドを降りたサファテが右足を滑らせて派手に転倒。打球はセカンド前方に転がり、島内が1塁を悠々駆け抜けての決勝打になった。

サファテは自ら起き上がることのできないほどの痛みで、両肩を支えられながら退場。V3を目指す若鷹軍団に暗雲立ち込める一幕になった。もし今シーズン、日本ハムに最大11.5ゲーム差をひっくり返されての逆転優勝を許したとなると、ソフトバンクの中で幾つかあったV3逸機のターニングポイントの1つが、本戦になるかもしれない。ともあれ、パリーグの首位争いがますます混沌としてきた本戦になった。

「珍しさ」という意味では、まだまだある。

両軍合計で先頭打者が出塁したのは12イニングを数えたにも関わらず、得点は両軍合わせて5点のみというのも珍しい。

楽天は11安打を放ったが、全てシングルヒット。チーム安打が全て単打ゲームは今季20度目である。やはり、チームの勝利には長打が絡む試合が多く、全て単打だったときのチーム成績はここまで3勝16敗。本戦の勝利はその貴重な4勝目になった。

さらに、敵軍に与えた与四球が8個もあったこと。中には一発長打を警戒して打力の劣る次打者との勝負を選択した戦術的に与えたフォアボールもあったが、今シーズン、敵軍に1試合7個以上の四死球を与えたときのチーム成績は1勝10敗2分だったので、本戦の勝利はまさに貴重と言えるものだった。

これでチーム成績は4位、109試合48勝58敗3分の勝率.453。ゲーム差は1位・ソフトバンク、2位・日本ハムと18.0、3位・ロッテと9.5、5位・西武と2.5、6位・オリックスと6.0としている。

各種戦績は、後半戦14勝13敗1分、8月10勝7敗1分、ソフトバンク戦5勝11敗1分、ビジター20勝31敗2分の推移になった。

冒頭から珍光景、珍光景と書き連ねてしまったが、6回青山の押し出し四球、8回、その後の失点につながった嶋の2塁送球が外野に抜ける大暴投など幾つかの失態を除けば、ナイスゲームだったと思う。

中でも1軍初登板になった先発・菊池の好投が光った。

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