20190302天母

【戦評】鷲のデータ好きが村林一輝3ランに心底仰天した、これぞ3つの衝撃理由 ─ 3月1日△楽天7-7ラミゴ

※本稿は最後まで全文お楽しみいただけます。

昨季パの新人王が右足首負傷...

日台プロ野球バトルカップの第2戦は「波乱の展開」になった。

アクシデント発生は6回守備のこと。
すでに報じられているように、初回先頭打者初球本塁打をかっ飛ばした田中和基が負傷退場した。

3-4と逆転を許してなおもピンチの6回2死2塁。
右越えフェンス直撃の快飛球を背走したときのこと。
ウォーニングゾーンに入ったときに右足首をひねって転倒。
倒れこんだまま執念でクッション処理を行い、カットマンに必死に返したものの、その場で動けなくなり、担架に乗せられて退場する事態になった。

ぼくが右足首で連想するのは、フィギュアスケート・羽生結弦選手である。
昨年11/17GPシリーズ・ロシア杯で負傷した絶対王者は右足首の三角靭帯損傷で日本選手権を欠場し、現在、長期離脱を余儀なくされている。

試合後、球団公式Twitterが「大事に至っていない」と発表。
少し胸をなでおろしているところだが、今はただ靭帯損傷まで至っていない軽度であることを祈り、続報を待ちたい。

「天母の奇跡」鷲の伏兵、起死回生3ラン!

楽天15安打、ラミゴ9安打。
スコアは7-7、あわやルーズヴェルトゲーム。
4時間に迫る長尺は両軍24安打の打ち合いになった。

激闘はその田中が負傷した6回を起点に、大きな奔流を描いていく。

田中ソロ弾、辰己涼介、浅村栄斗の適時打で楽天が序盤に3点を先制。
先発・弓削隼人も3回パーフェクト投球を披露。

その後も二番手・渡辺佑樹、三番手・鈴木翔天が好投。
左腕による快投リレーが実現し、5回までラミゴ打線を単打2本に封じ、投打かみ合う3-0の展開だった。

雲行きが怪しくなり、風雲急を告げたのは6回のこと。
四番手・森雄大が長短4安打に1四球1失策も絡み、5点を失った。

翌7回も五番手・濱矢廣大が無死満塁ピンチ。
自らの牽制悪送球も絡んで2失点。
3-7と大きくひっくり返されてしまった。

一転、4点を追った楽天は8回に太田のタイムリーで1点を返したものの、9回は万事休すの3点差。
無死2,1塁で4番にまわり、ウィーラーの一発にただ期待するしかない場面。

ところが、打席に立っていたのは背番号66なのだ。
ウィーラーはすでにベンチに退いた後で村林一輝が入っていた。

驚かされたのはその直後のこと。

専守防衛型の選手に「一発同点芸」は困難。
半ば諦めていたそのとき、「天母の奇跡」は起きた。

初球をタイミング良く振り抜き、理想の角度がついた打球は綺麗な放物線で左翼席へグッバイ。
まさかまさかの起死回生3ランで7-7の同点へ。
今季の村林は2/16以降、全打球がゴロになっていた。
ヒットも全てゴロヒット、打球が全く上がっていなかった。

にもかかわらず、この土壇場で抜群の快飛球をみせ、球団初の台湾遠征は劇的なドローゲームで幕を閉じた。

楽天の16安打、その内訳は以下のとおり。

3安打・・・辰己
2安打・・・ウィーラー、小郷裕哉、山崎剛、渡辺佳明
1安打・・・浅村、太田光、田中、村林

大半がルーキーのバットから生まれたのは、朗報になった。

楽天のスタメン

楽天=1番・田中(右)、2番・辰己(中)、3番・浅村(指)、4番・ウィーラー(三)、5番・内田(一)、6番・渡辺佳(遊)、7番・山崎(二)、8番・堀内(捕)、9番・小郷(左)、先発・弓削(左投)

Shibakawaが村林3ランに心底仰天した3つの理由 

それにしても一夜明けてもビックリなのが、村林の3ランである(笑)

1つ目の理由は、球場が広かったこと。

2軍イースタンでも通算574打席でホームラン3本だけの村林。(下記参照)
その3本中、2本は両翼96mの狭くて打者有利なロッテ浦和球場だった。
一方、本戦舞台の天母棒球場は両翼99.1mなのだ。

村林一輝 2軍イースタン本塁打記録

じつはぼく、村林のイースタン公式戦ではないホームランを現地で目撃している。
プロ2年目の2017年3/9春季教育リーグのロッテ戦、阿部和成から放った左本だ。

前年はイースタンで25打席ノーヒット。
この試合も2打席ゴロで凡退していたため当時も心底驚いたのだが、ぼくが目撃したのも舞台は狭いロッテ浦和球場だった。

2つ目は初球から振っていったその積極性だ。

今季の村林は2/16以降、見逃しストライクを複数記録してしまう打席が全打席の27.8%も占めていた。
2/20日本ハム戦では1度もバットを振らず見三振に倒れるシーンがあり、前夜も4回2死2,1塁のチャンスでストライク2個を見送って見三振を喫していた。

球を見きわめているとも言えなくないが、どちらかといえば積極性に欠ける傾向がある。
それがぼくの村林に対するイメージだった。
ところが、この打席では初球からフルスイングしていったのだ。

※・・・2/14阪神戦は1球単位のプレーデータは未集計。

3番目に相手投手の黄子鵬が右のサイドスローだった点が挙げられる。

右のサイドスローvs右打者は、左のサイドスローvs左打者と同じく、最も長打が発生しにくい組み合わせだと思う。

確かに球は甘かった。
外角狙いが真ん中に入る失投134キロだった。
しかし、それを考慮しても、3つの理由をみごとクリアした3ランは素晴らしかった!

ドラ1固め打ちが、なぜ理想だったのか?

辰己の実戦初1試合3安打も、田中や村林の一発と同様、印象に残る槍働きだった。

まず、台湾代表経験も豊富な左腕・王溢正との「左vs左」対決を制し、2安打を弾き返したこと。

ここまで左投手7打席で3四球は選んだもののノーヒットだった辰己。
しかし、本戦2安打で左投手成績を4打数2安打、1三塁打、2三振、3四球と一気に改善に成功した。

3回1死1塁の2打席目では外角137キロ速球をさからわず左翼線へ運んだ三塁打を披露。
「低い打球を意識していた。外角の球をコース通りにしっかり打てた」という談話を残した。

三塁打が発生しにくい左翼方向にもかかわらず、3塁を陥れたスピードもさることながら、ここでは談話に注目なのだ。

「コース通りにしっかり打てた」。
これが他2本のヒットでも実現できていた。

1本目は真中を投手強襲の痛烈ピッチャー返しの内野安打。
2本目は前述の外角球を左翼線へ弾き返し、転々とした球がフェンス到達した三塁打。
3本目は内角137キロをひっぱり、1,2塁間をゴロ突破していく右安になった。

文字通り、コースにさからわないシュアな打撃をみせたのだ。

光った投手陣の快投

森、濱矢を除く5投手は好投をみせた。
(森は6打球中ゴロ2本のみ、左vs左で3本の長打を弾き返されるなど良いところなし)

先発・弓削は、2回4安打2四球4失点だった前回2/20日本ハム戦とは一転、終始落ち着いていた。

独特なセットからの投球で、初回から複数球種を使い分けてリズムよく抑えていく。
32球を投げて空振り5球を奪取。
速球・変化球どちらでも空振りを取ることができていた。

ラミゴ打線は左打者を7人並べる布陣。
その左vs左の有利性もしっかり生かし、完璧に封じた。

唯一ヒヤリとさせられたのは、右の強打者、4番・林泓育の左飛だったか。
ウォーニングゾーンまで飛ばされる大フライになった。

しかし、これとて結果球のスライダーは低めにしっかり制球したもの。
狙ったところに投げ切ったことが、捉えられても柵越えしなかった理由だと感じた。

二番手・渡辺佑は2安打を許したが、持ち味を発揮し、打球は全てゴロ。
自らの頭上をバウンドが越えようかというピッチャー返しも好反応のジャンピングキャッチで処理してみせた。

三番手・鈴木は左打者3人をポンポン打ち上げさせてアウトを取ると、六番手・石原もわずか9球で1イニング三者凡退へ。

7-7の同点9回に登板した六番手・森原は最速151キロをマーク!

先頭打者にヒットを弾き返され、バントで1死2塁とサヨナラの場面を迎えたが、見せ場はここから。

バッターボックスは藍寅倫。
前夜は右本含む2安打をマーク。
本戦でもフェンス直撃の中越え二塁打を含む2安打で本戦MVPに輝いた強敵を150キロでねじ伏せて空三振。
続く代打・廖健富も連続三振にとった。

ピンチを背負ってからのギアの入れ方が圧巻!
侍ジャパンのメキシコ戦へ向けて視界良好だ。【終】

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