【検証】2018年前半戦を振り返る〔1〕

想像できなかったこの結果

2018年の前半戦は、開幕前には想像できない形で帰結した。

満を持して2度目の日本一を狙う青写真が、もろくも瓦解した前半戦になった。

2年前に驚異のWAR9.1を叩き出した大谷翔平が活躍の場をMLBに移し、長らく覇権を築いた若鷹軍団が「加齢との全面戦争」で斜陽に向かう。

今シーズン発生したこの二大要素は前々から予想可能であり、楽天は2018年に照準を絞って王座奪還へ着々と準備を進めていた。

ところがだ。
まさかの79試合29勝49敗1分。

この四面楚歌、みなさん、どう捉えるだろう?

いろんな見方があると思う。

梨田楽天終焉を表す二大キーワード

たとえば、ぼくがよく使うのは以下の二大キーワードだ。

「前年の亡霊」
「優勝厳命の足枷」

昨年の開幕快進撃があまりにも出来すぎだったため、監督やナインが今の自分と1年前の自分を知らずのうちに比較し、「前年の亡霊」に飲み込まれたというもの。

4月を終えた時点で藤田こそ.280の打率を残したが、嶋.167、岡島.241、島内.227、茂木.263、ウィーラー.232、銀次.232、アマダー.215、今江.238、ペゲーロ.181、主戦級がそろって低迷した事実こそ、このことを裏付けていると思う。

「優勝厳命の足枷」とは、今年1月に闘将が亡くなり、優勝という目標が変容したことを指す。
選手自らが挑戦し積極的に掴みにいく優勝旗が、強い義務感や強迫観念の伴ったノルマに変容したことで、「足枷」となり、自分たちの首をジワジワ絞めた。

そのことを象徴するのが、全員が背番号77をつけて臨んだ4/3東北開幕の日本ハム戦(●E0-2F)だ。

先発・岸は8回無失点、気持ちの入った快投で6回まで2塁を踏ませなかった。
楽天打線も相手先発・上沢を相手に毎回のように走者を出して攻め立てる。
初回には無死2塁のチャンスを作り、中盤にも再三の好機を迎えていた。

しかし、あと1本が出ず、8回終了時までスコアレス。
すると、9回に登板した松井が抑え転向後で初のノーアウト満塁をまねき、レアードに決勝打を痛打されたのだ。

8回まで戦況は楽天に圧倒的有利だった。
しかし、再三の好機で拙攻を繰り返し、岸を援護できなかったこの敗戦こそ、「優勝厳命の足枷」だ。

世紀の失速が伏線になった「指揮系統の乱れ」

「前年の亡霊」と「優勝厳命の足枷」。
その二大要素に、各種報道にあるように「指揮系統の乱れ」も重なった。

昨年夏の「世紀の失速」は梨田監督から発言権を奪い去り、監督の地位の地盤沈下を引き起こした。

闘将最期の後援で今季の指揮権をかろうじて確保したものの、引き換えに球団が提示した人事案を受容せざるをえなくなり、ひいてはチーム戦略室の提案をも丸呑みせざるをえない雰囲気が広まった。

「規律」の問題で象徴的なのは、OBの山崎武司さんがSNSで嘆いたヒゲ解禁問題がある。

闘将他界とともに、いつのまにやらヒゲが解禁になり、大型連休中、主将の口元にはチョビヒゲがお目見えした。

この信じられない光景は、たとえば西日本を襲った記録的豪雨の只中、自民党の議員が議員宿舎で酒盛を繰り広げたのと共通する「危機意識の無さ」のようにぼくには感じられた。

梨田楽天を終わらせた辻西武

対戦カード別では、西武戦の3勝11敗が大きい。
借金20の約半分がライオンズ戦だ。

伏線は梨田政権1年目にあると思う。
2016年、楽天は西武戦に13勝11敗1分と球団初の勝ち越しを成し遂げた。
この実績が根拠なき自信になり、真のライバルを見くびってしまったのでは?と感じる。

その結果が2年連続の西武戦大幅負け越しだ。

昨年は魔の20日間(1勝16敗1分)の扉を8/15のコラレスショックで開けてしまった。
今年は5/6(●E0-11L)で自力優勝が早くも消滅、梨田楽天の終止符は辻西武が打った。

借金20の大部分を作ってしまったという意味では、今回ご紹介するこちらの戦績もそうなのだ。

それは、、、

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