『烏は主を選ばない』感想※ネタバレ有
烏は主を選ばない(文春文庫 著・阿部智里)
二度目の読了。
日嗣の御子の座を巡る宗家の争いと東西南北四家の複雑な関係。
若宮に振り回される雪哉の視点で読み進めていくストーリーは、
登場人物たちの思惑が絡みあっていてわくわくする。
本当ならば真面目に感想を連ねていきたいところだが、
オタク気質ゆえに書きたいことがタイピング速度を上回ってしまうので
書きたいことだけを書こう。いや、書いていきます。
奈月彦イケメンすぎじゃないですか?
頭のキレる腹黒イケメンなんて好きにならないはずがなかった・・・
初日に雪哉に振った無理難題。最初読んだときはなんだこの暴君イケメンだからってわがままプーが許されるのは某眞魔国の某三男坊くらいやぞ、と、思っていたのでした。
それが自分の周りに残しておける者を選定するためのテストみたいなものだったなんて。そんな。そして雪哉が信用に足る八咫烏と判断した瞬間に近習になるようスカウトする潔さたるや。
十六、七の青年がそうならざるを得ないほど、(実際に井戸に毒を投げ込まれたり大紫の御前の部屋で毒の香を焚かれたりしているようですし)若宮のそれまでの生活は悲惨なものだったんですよね。
そしてそんな環境で育った結果、雪哉が来るまで側におけるほど信用できたのが澄尾だけだったなんて悲しすぎやしませんか。世の中の女子は薄幸の美少年に弱いと相場が決まってるんだ。(※私調べ)但しこの若宮さまは病弱ではなかったし可愛げある性格とは決して言えないですが、周囲に恵まれてこなかった境遇を考えると胸が痛いです。
そんな若宮の周りにどんどん信用できる人間が増えていってよかったなあとは思うのですが、まだ大紫の御前は油断なりません。
最後は雪哉が氷垂に戻ってしまいましたが、あの若宮がおめおめ逃すとは思えませんのでこのまま次巻の『黄金の烏』に進みたいと思います。
それにしてもこの作品、頭の良い人物たちの策略や陰謀が渦巻いていて本当に面白い!前作の『烏に単は似合わない』も桜花宮での女たちの戦いで、作者さまにすっかり騙された訳ですが、今回も雪哉共々若宮にしてやられました。雪哉にもしっかり騙されましたよ。
次もきっと誰かに騙されるんだろうなあ。
そんな期待をしつつ、次巻を読んで参ります。
楽しみ!
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