見出し画像

デザインとエンジニアリングの限界を超える、BTCモデル

企業や組織が、限界や領域を超えていくことを現実にするデザイン・イノベーション・ファーム Takram 代表の田川欣哉氏に話を伺った。

田川氏は、ハードウェア、ソフトウェアからインタラクティブアートまで、幅広い分野に精通するデザインエンジニアとして活躍され、Royal College of Artの客員教授でもある。

目次
1)「デザイン」と「エンジニアリング」の両方を担うTakram
2)イノベーションをもたらす「BTC型人材」とは?
3)改めて観る「デザイン」のビジネスにおける重要性


1)「デザイン」と「エンジニアリング」の両方を担うTakram

スクリーンショット 2020-01-06 14.34.31

Takramは、デザイン会社では珍しく、デザインとエンジニアリングの両方を担うことをコンセプトにしているデザイン・イノベーション・ファームである。このように、領域を分けるのでなく、それぞれを駆動させていくイメージだ。


2)イノベーションをもたらす「BTC型人材」とは?

スクリーンショット 2020-01-06 14.45.28

「BTC型」とは、「ビジネス(B)」「テクノロジー(T)」「クリエイティブ(C)」の三要素を有機的に連動させることで、イノベーションを生み出すアプローチ。BTC型の人材・チームは設立案・検証のプロセスを高速回転させ、ビジネスとテクノロジーをマーケットで受け入れられるものにする。

しかしながら、日本の産業では、ビジネス系の人と、テクノロジー系の人が大半であり、そのハイブリッドであるBT型の人材が電気産業や自動車産業を牽引してきたのではないかと言う。

たしかに、「デザイン」の社会における重要度が高まったのも最近なのかもしれない。ポストITの時代に、アップルやサムスンが出てきた影響でようやくデザインのパワーが顕在化した。ここ15年くらいのことだ。

そうして、クリエイティブ系の人材が台頭してきた結果、ビジネス・テクノロジー・クリエイティブの三要素、つまりBTCをうまく結合させて、モノづくりをすることがトレンドとなっている。


3)改めて観る「デザイン」のビジネスにおける重要性

今一度「デザイン」のビジネスにおける浸透度を観てみると、たしかにここ数年でグッと重視されているようだ。2018年に経済産業省が、ビジネス分野においても「デザイン」が重要だと、このような宣言を出した。

スクリーンショット 2020-01-06 15.14.54

このことについて、田川氏が、「第四次産業革命とデザインの役割」をテーマに、纏めていらっしゃる。

スクリーンショット 2020-01-06 15.18.20

Airbnbの共同創業者ジョー・ゲビアのAirbnbの創業に基づく「デザイン観」についての紹介も分かりやすく、とても面白い。

Airbnbは、かなり平たく言うと、他人の家に宿泊することを価値として提供しているサービスだ。一般的には、知らない人は危険という人々の持つ先入観が邪魔するのでは?と思われるが、それを優れたデザインによって克服し、一躍有名なシェアリングサービスの代表格となった。「家に泊まり合えるくらいに人は信頼し合える」という考えに、会社の命運を賭けたそうだ。


一重に「デザイン」と言えど、様々なデザインがある。
されど、様々なものを繋いだり、構造化したり、機能させたり、意味をもたらせるデザインは、私たちの生活に欠かせない。

個人的に、多業種多業界の関係者が多いプロジェクトにおいて、それぞれの動機や立場が異なる中で、同じゴールに向かい、プロジェクトの成功を目指している際に、何度も「デザイン」という在り方、アプローチが重要だと感じる。

ひと言では表せないけれど、言葉にできないところをカバーし、分散し合うものを有機的に結びつけあう役割を担うのも、デザインの特長だと思う。

情報元:
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第6回 田川欣哉氏 2019/05/22