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地球と企業とプラスチック

文:原 裕(アースデイ ジャパン ネットワーク 幹事)


地球環境とプラスチック問題

世界のアースデイをネットワークするearthday.orgの2024年のテーマは「Planet vs. Plastic」です。気候温暖化の原因の一つは地球を取り巻く温室効果ガス(主として二酸化炭素やメタン)の濃度が濃くなり、地球の発した熱が外に逃げず地表に戻ってきてしまうことが原因と言われています。今まで地球は温室効果ガスが適切な濃度に保たれているため平均14度という快適な気温を維持(無いと−19度)できていましたが、産業革命以降石油や石炭などの化石燃料の燃焼などによって排出される二酸化炭素が劇的に増加し、それが温暖化の最大の原因になっています。

プラスチックは人類に大きなメリットをもたらした反面、その多くが石油由来でできているためにその製造過程や廃棄/処分において大量の二酸化炭素を排出しています。また、海中に流れ出したマイクロプラスチックはそれを魚が吸収し、その魚を食べる人間にも大きな健康問題を引き起こしています。2050年にはマイクロプラスチックは魚の量を上回るとも言われています。(参考Mirai Times

プラスチック問題に企業はどう取り組むべきか?

ではこの課題に企業はどのように取り組めば良いのでしょうか?企業が気候変動におけるプラスチック問題に対処する方法は多岐にわたります。以下はその中のいくつかの戦略です。

  1. 持続可能な素材への切り替え:企業は、化石燃料ベースのプラスチックに代わる、持続可能な素材を探すべきです。例えば、バイオプラスチックやリサイクル可能な材料を使用することで、環境への影響を減らすことができます。

  2. リサイクルシステムの強化:企業はリサイクルプログラムを改善し、消費者がプラスチック製品を正しくリサイクルできるようにすることが重要です。これには、リサイクル可能な材料の使用、製品設計の段階でのリサイクルの容易さの考慮、リサイクル施設との連携強化が含まれます。

  3. プロダクトデザインの革新:企業は製品の設計を見直し、プラスチックの使用量を削減するか、完全に排除する革新的なデザインを導入すべきです。多用途で長持ちする製品を設計することも、廃棄物を減らす一助となります。

  4. ゼロウェイストポリシーの導入:企業はオフィスや生産過程での無駄を削減し、ゼロウェイスト目標に向けた取り組みを強化する必要があります。これには、使い捨てプラスチックの排除や、再利用可能な代替品の導入が含まれます。

  5. 啓発活動と教育:企業は消費者教育に力を入れ、製品の適切な処理方法やリサイクルの重要性について啓発することも重要です。意識の高い消費者は、環境に優しい選択をする傾向があります。

これらの戦略を組み合わせることで、企業は気候変動の緩和に貢献しつつ、プラスチック問題の解決に向けて効果的なアプローチをとることができます。

プラスチック問題に取り組む日本企業

日本でも多くの企業がプラスチック問題への対応に積極的に取り組んでいます。以下にその例をいくつか挙げます:

  1. パナソニック:パナソニックは、製品包装や事業活動においてプラスチックの使用を減らすための取り組みを強化しています。持続可能な材料への置換やリサイクルプラスチックの使用拡大を進めています。

  2. 資生堂:資生堂は、2025年までにすべての商品のプラスチック包装をリサイクル可能なものにするという目標を設定しています。また、使い捨てプラスチックの削減にも力を入れています。

  3. キリンホールディングス:キリンは飲料のプラスチックボトルのリデザインやリサイクルプラスチックの使用量を増やすことで、プラスチック使用量の削減を目指しています。

  4. ユニチャーム:ユニチャームでは、使い捨てのプラスチックを削減し、製品のリサイクル率を向上させるための技術開発に注力しています。

  5. アサヒグループホールディングス:アサヒは、使い捨てプラスチックの削減やリサイクルプラスチックの使用拡大に努めています。特に、飲料のパッケージングにおける持続可能な材料の使用を推進しています。

  6. 三井化学:バイオケミカル事業でバイオマス由来のプラスチックやケミカルリサイクルを推進しており、改プラでプラスチックの利便性を生かした環境素材を提供しています。

 今後多くの企業がこういった取り組みを本格化していくものと思われます。

アースデイジャパンネットワークでは、企業の方々と一緒に、社会的なインパクトをもたらす様々な取組みを進めていきたいと考えています。皆さまからのお声掛けをお待ちしております。
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