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違うことをしないこと。

違うことをしないこと。
ここ数年、僕がテーマにしている言葉です。

この言葉は僕が好きな小説家吉本ばななさんの
「花のベッドでひるねして」
という小説でおじいさんが孫娘に人生の秘密を語りかけるシーンで使われる言葉。このおじいさんの語りを読んだときに、いままで自分が人生に対して思っていた感覚がやっと腑に落ちたというか、しっかりと自分の土台になったようなそんな気持ちになったのを今でも覚えています。

のちに「違うことを」しないこと
というタイトルでエッセイも出ています。小説よりエッセイの方が読みやすい、という方はこちらもいいかも。けど僕にとっては、どちらの本も人生の大きなインパクトとなった本。どちらもおすすめです。

ちょっと話が横道に逸れましたが、この「違うことをしないこと」というのが僕がここ数年自分の人生のテーマに置いている言葉です。このことを会った人に話すと「それは嫌なこととか、やりたくないこととか、そういうことをちゃんと拒絶するということ?」というふうに聞かれることもあるのですが、ちょっと感じが違います。

先に結論を言うと
【自分が生まれてくるときに、「今回の人生ではこう生きよう」と決めた道のようなものがあって、それから大きく外れたこと(つまり違うこと)をしないように気をつけよう」ということです。

頭で良い、悪い、と判断する日常的なことというよりかは、もう少し深いところのことかもしれません。なんとなくひらめいた、心が跳ねた、理由はないけど好きだ、みたいなことありますよね。逆だと、心がざわついた、よくわからないけどしっくりこない、なんとなく足が向かないみたいなこと。

それは小さな違和感だったりするから、こっちのほうがいいに決まってる!と頭の声にしたがってやってみたりしますよね。けれど、そういうなんとなく捉えている違和感や心の動きや、体の反応みたいなのをもう少し静かに見つめて(耳を傾けて)みようということです。

僕は今やっているコーヒーを振舞いながら自転車で日本をめぐる旅(dailylife bicycle coffee)をして、やっとこさ頭と心のバランスがとれてきたような気がします。僕は完全に頭でっかちなほう。ものごとを直感で決めることよりも、考えて判断することを好むタイプです。けれども両親だったり、尊敬する先輩から「もう少し考えることを手放せるといいね」と何度も言われたことがありました。そう、何度も。ほんとは僕だって直感で生きたりしたいんだけれど、なかなかそうなれない。僕もそうだったのです。

今回の旅であえてルールをいくつか作ったのですが、そのひとつが「予定やルートをなるべく決めない」ことでした。頭で考えるタイプの僕はどうしても、効率の良さや、目先で考えられるベターな選択をしがちです。だからあえてその自分のルーティン(習慣)から離れるために、「予定を決めないこと」を決めました。

もちろん日本を旅していて、出会う人も日本人なのでしょっちゅうこう聞かれます。

「このあとはどこにいくの?」
「明日はなにをするの?」
そう聞かれるたびに、ちょっとそわそわしながら「いや!決めないようにしてるんです!」なんて答えていたのですが、旅をはじめて数ヶ月経ったころにはいつのまにか予定がなくてもどっしりと構えられるようになりました。

予定がないとうまくいかないんじゃないの?
見通しなくてどうするの?血迷うんじゃない?
みたいな声が聞こえてきそうですが、そこがちょっと違うんです。

「いま」「ここ」にどれだけ集中できるか。ここが肝心。
どっしりとゆったりと構えているんだけれど、目の前の人、目の前のことに意識を集中して過ごしていたら、どんどん次の展開がやってきて、気づけばあれまこんなにおもしろいことになっちゃった。みたいな感じです。

キーワードはふたつ。
「自分の道に合っているか」
「いまとここ」

自分の道を見つけるには、体や心の感覚に少し耳を傾けることがいいかもしれません。まったくキッカケがつかめないという人は日々自分がやっていることに少し気を使うといいかもしれません。理由なくやっていること、仕事も日常もいろいろあると思うのですが、そのひとつひとつにもう少し気をつけてみる。そしたらそれが自分のことなのか、それとも自分じゃないことなのかが見えてくるかも。肝心なのは「社会的物差しではかれること(価値のあるなし)」には関係ないということです。

いまとここについて。
これは得意なひとと苦手なひとがいると思います。過去を引きずったり、後先を考えすぎる人は要注意。誰にも平等な大切なものは「いまとここしかない」ということなので、そこに意識を集中できる自分なりのパターンみたいなのがあればいいかもしれません。

このふたつがある程度できていたら、おのずとおもしろい人生が展開していくんじゃないかなぁ、それがもともと自分が決めてきた人生のシナリオなんじゃないかなぁなんて考えています。あくまで実験だから確信ではないけれど。

人生とはどこかにひたすら泳ぎ続けることでも、ただ流れることでもなく、

「ちょうどよいところに、自分で漕ぎ出して、流れ出したら、あとは違うことをしないようにしっかりと感覚を確かめながら、ときに少し舵取りしながら流れていく」ものなのかなぁなんて思ったりします。

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