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エビデンスのある療育ーTD実践編

はじめに

この記事は前回の続きです。まだ読まれていない方は、こちらを先に読まれることをお勧めいたします。

さて前回の記事では簡単にTDの内容に関して紹介させていただきました。実際にTDを活用していく上で前提条件が整っているか?CTDとPTDいずれを使っていくのか、決めた上でいよいよ実践編です。

TD実践ー注意の確立

まずは、児童の注意を事前にたてた方法で獲得します。名前を読んだり、肩をぽんぽんとしたり、イラストを見せたりなどいずれかの方法を用いてTDが始めらるように児童の注意をこちらに向けます。

TD実践ーコントロールプロンプトの使用

CTDを用いる場合もPTDを用いる場合も、一番最初と2回目のトライアルに関しては遅延させず必ず即時にコントロールプロンプトを使用します。準備段階で決めたコントロールプロンプトを使用して対象スキルを実行しましょう。

TD実践ー遅延の開始

児童がコントロールプロンプトを使用して、100%対象スキルを実行できることが確認できたら、実際に遅延させていきます。

CTDの場合には、先行刺激を提示した後にあらかじめ決めた時間だけ待機します。PTDの場合には、先行刺激を提示した後に一番短い時間待つ状態からはじめて徐々に待機時間を伸ばしていきます。

TD実践ー反応ごとに対応

コントロールプロンプトを使用するまでの時間を送らせるトライアルを実行している際に、CTD 、PTDそれぞれの方法において児童の反応に対応していく必要があります。どの程度の時間を遅延させるのかが違うだけで、正反応の場合は強化、誤反応、無反応の場合は再実行という形は変わりません。

CTDの場合

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PTDの場合

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TD実践ーモニタリング

TDを実行しながら、反応や、プロンプトの有無等に関してデータを収集していきます。対象とするスキルの学習が進んでいるのかどうか確認することももちろん目的ですが、収集したデータからどの程度の遅延を今すべきか、といった遅延の最適化や、2秒遅延から3秒遅延までどの程度のトライアルが必要だったため、3秒から4秒にはこのくらいかかるだろうという予測もできます。

収集対象になるデータ

・プロンプトなしの正反応
・プロンプトありの正反応
・プロンプトなしの誤反応
・プロンプトありの後反応
・無反応

データサンプル

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PTDの場合には、2セット連続して100%プロンプト前に正反応ができた場合に、遅延する時間を延長します。逆に2セット連続して1セットのプロンプト後の誤反応の割合が25%を超えるときは、より強固なコントロールプロンプトに変更する必要があります。またそれとは別に、恒常的に進捗が見られない場合には、そもそも強化子が強化子として機能していない可能性があるため、強化子の見直しを行う必要があります。いずれもデータを見ながら判断していきます。

まとめ

以上、TD実践編でした。モニタリングをして進捗を見ながら最終的には、遅延させることもプロンプトを使用することもなく自立してスキルを使用できるようになることが目的です。

またある先生との間ではできる、ある場所やシチュエーションだけではできる、といった対象行動やスキルの実行において条件がある状態からより広い範囲で対象行動やスキルが実行できるよう般化していくことが必要になります。

TDを用いて5〜6秒遅延しても大丈夫なようになった場合には、上記のような最終目標に向けてまた別途EBPを用いながら進めていくことができます。

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