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三現主義の誤解

三現主義とは

今回は三現主義の誤解について書いていきたいと思います。
まず、皆さん三現主義と言う言葉は聞いたことはありますでしょうか?

三現主義とは
「机上の空論ではなく、実際に“現場”で“現物”を観察し、“現実”を認識した上で問題解決を図るという考え方」のことです。

野村総合研究所(NRI)

私の職歴では5年程物流子会社へ出向している期間がありました。そこでの経験は今でも自分を助けてくれます。現場で現物を観察し現実を認識した上で問題解決を図る重要性は実体験を通じて痛感しています。

今は本社スタッフ部門に所属し現場での業務に携わっていないからこそ、今まで以上にこの考え方を凄く大切にしています。

現場を知らない優秀な若手の苦悩

Image by Anemone123 from Pixabay

事業会社の本社にも最近は新卒社員をはじめとした20代の若手社員が増えてきました。
いわゆる偏差値上位大出身なだけあり、非常に頭は良く理解力は凄く高いです。有名なフレームワークは知っており、ロジカルシンキングも一定レベルなのかなと思っています。(少なくとも自分が同じ頃はこんなにできてなかった…)

そういった若手は問題解決のセオリーも理解しており、改善に向けてセオリー通り進めようとします。

セオリー通りの進め方なんだけど…

まずセオリー通りに考える事自体に何か問題があるわけではないです。
問題はセオリー通りのプロセスに留まってしまう事にあります。

皆さんは仕事をしていてセオリー通りに進むことはありますか?
私の経験ではセオリー通りに進んだ事はほとんどありません、というよりゼロかもしれません(笑)

なぜなら、セオリーは様々な条件が整った場合に限って実現可能な超理総論だからです。だからこそ頭の良い若手社員でもセオリーに沿ったプロセスを考える事ができるとも言えます。

特に現場ではセオリー通りにならない事ばかりで、ひどい場合は契約内容に含まれていない事なども仕方なく対応せざるを得ない場面も散見されます。
そんな現場で働いている人達にセオリー通りの理想論で改善の方向性を示しても「そんな事はとっくに分かってるんだよ」と思われてしまいます。

いわゆる"O(お前が)K(ここに来て)Y(やってみろよ)"の状態ですね。

こういった事は実際に起きていて、現場経験のない後輩が現場と対立してしまった事があります。

現場経験が無く机上論の改善策の実行を現場に求める若手とOKYな姿勢で反発する現場とで意思疎通が全くできなくなり、お互いがお互いに対して「あいつは何も分かっていない」と不満を漏らしていました。

ではこういった時に現場の意見を正解として進める事が三現主義なのでしょうか?

本当の意味で三現主義を貫こう


Image by Simon from Pixabay

三現主義についてあらためて確認してみましょう。

机上の空論ではなく、実際に“現場”で“現物”を観察し、“現実”を認識した上で問題解決を図るという考え方

「現場で現物を観察し、現実を認識した上で問題解決を図る」ですね。
決して現場で現物を観察し、現実を認識した上で現場の言うとおりにするという事ではありません。

現場で起きている問題は事実であり、事実以上に根拠のあるものは無く理想論だけでは解決困難です。
しかし、それは"現場だけの力ではどうしよもない問題"だという事です。
ここでいよいよ本社スタッフ部門の三現主義に則った腕の見せ所が来るわけです。

現実を目の当たりにして改善のハードルが高い事が分かりました。その状況で現場社員より高い視座で課題設定をしていく事が本社スタッフ部門の役割です。
現場では前提や当たり前だと思われ課題認識されていないものを高い視座から課題に引き上げます。

現場を理解した上で、それでも目指すべき方針から課題設定していく事が本当の意味での三軒主義だと考えています。

最後に私が本社スタッフ部門として三現主義を実行するために実際にやってみて効果があったものを記載しておきます。

  1. 一定期間現場へ赴き徹底的に現場の実態を理解する。これは1日現場に駐在するというレベルではなく、1か月程度週の半分以上を現場に赴いて実務の理解に時間を費やしました。

  2. 現場社員とのコミュニケーションでは曖昧な理解ではなく完全に理解できるまで何度も確認し、現場でも見せてもらう。特に困りごとや自分達ではどうしようもできないと考えているボトルネックを引き出せるように意識しました。

これらの行動を通じて、自身の現場理解が深まったり課題解決の糸口を探し出すこと以上に、現場社員に自分の本気度がどれだけ伝わるかが最も重要です。

最初は「また本社から頭でっかちな人が来たな」と思われてしまいますが、やはりそこは人間なので、自分たちの事を本気で理解しようとする相手には心を開いてくれます。

現場改善については設備投資と言った投資による解決以外は飛び道具は無く、基本的には現場と共に問題を特定し改善に向けた愚直な取り組みを進めていく事こそが成功へのカギになりると考えています。


UnsplashのJESHOOTS.COMが撮影した写真

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