物流を美しくデザインする人

東京在住のサラリーマン。事業会社の物流部門へ配属され、その後物流子会社へ出向等を経て再…

物流を美しくデザインする人

東京在住のサラリーマン。事業会社の物流部門へ配属され、その後物流子会社へ出向等を経て再び事業会社の物流部門へ。改革実現に向けた日々の悪戦苦闘から得られて学びを皆さんと共有できればと思います。 たまに夫婦フルタイムで働きながらの子育ての悩みも共有。

マガジン

  • サプライチェーンマネジメントの本当の話

    日本ではトラックドライバー不足を発端に、サプライチェーンマネジメントの重要性が再認識されています。 …けど、この領域で実務レベルで役立つ情報はビジネス書も含めて世の中にほとんど出回ってないのが実情。 ビジネススクールで学んだ理論的な内容と実務経験の両面から考察していきます。

  • 物流の夜明け前 ‐日々の物流に関するニュース解説‐

    日々アップデートされる物流に関するニュースについて、気になる記事を自身の知見を元に解説します。 果たして、混迷を極める日本の物流に夜明けはやってくるのか。 何か新しい発見があれば幸いです。

最近の記事

物流会社の運賃値上げ交渉が難航する理由

ここ数年で運賃の値上げに踏み切る物流会社が増えてきましたね。最近ではヤマトが4月3日から10%程度の宅配料金の値上げを発表しています。 それでは企業間物流の値上げはうまくいくのでしょうか? 運賃は過去から見合っていなかった1990年代に大規模な規制緩和が実施され、運送業への新規参入が推進されました。細かな説明は省きますが、規制緩和の結果として差別化しづらい運送業では価格競争や付帯作業へと傾いていきます。 規制緩和の受益者となる荷主にとってはコスト削減も進みましたが、運送業

    • 三現主義の誤解

      三現主義とは今回は三現主義の誤解について書いていきたいと思います。 まず、皆さん三現主義と言う言葉は聞いたことはありますでしょうか? 私の職歴では5年程物流子会社へ出向している期間がありました。そこでの経験は今でも自分を助けてくれます。現場で現物を観察し現実を認識した上で問題解決を図る重要性は実体験を通じて痛感しています。 今は本社スタッフ部門に所属し現場での業務に携わっていないからこそ、今まで以上にこの考え方を凄く大切にしています。 現場を知らない優秀な若手の苦悩

      • この2年間で感じた物流の変化

        更新が止まっていた2年間について物流改革プロジェクトへの参画 約2年の間記事の更新が全くできていませんでした。 実はその間に大きな物流改革プロジェクトの携わるチャンスをいただいていました。 通常業務に加えてプロジェクトも立ち上がったため業務に忙殺されていた事もですが、記事の中で意図せず守秘義務に関する内容に触れてしまわない様に情報管理していた事も更新が止まっていた理由です。 一定の可能性が見込めた事から昨年末でプロジェクトは解散し、プロジェクトでの推進体制から各部門で実務

        • 働き方も大きく変わったし、生き方も大きく変わった1年

          2020年度の仕事納めが終わり、コロナ禍で劇的に環境が変わった今年の仕事を振り返ってみました。社会人になって10年少々経ちましたが、これまでとは働き方の価値観が一気に変わった年になりました。 古き良き時代(?)の働き方 入社した会社が一気に業績が悪化した事もあり、新入社員ながら「個人としてのスキルを高めておかなければ、近いうちに職が無くなるかも?」と考える様になりました。 平日の終業後も会社に残り、土曜日も会社に行って過去の資料を読み漁ったり、Excelのスキルを上げる

        物流会社の運賃値上げ交渉が難航する理由

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        • サプライチェーンマネジメントの本当の話
          17本
        • 物流の夜明け前 ‐日々の物流に関するニュース解説‐
          19本

        記事

          協業を成功に導く方法とは?

          とあるスタートアップ企業と協業する事が大筋で決まりました。 スタートアップ企業との協業なので、決して確度の高い取り組みというわけではなく、正直短期では成果が出ない可能性の方が高いかなと感じています。 これまで何度かコンサルティング会社とのプロジェクトで苦い思いをしてきたので、難易度は高いものの何とか成功の確率を上げていきたいところです。 失敗の本質どこを"いつ"目指しているのか? 過去に失敗したプロジェクトに関しては、目指す姿がカウンターパートであるコンサルティング会

          協業を成功に導く方法とは?

          デリカフーズHD、農業総合研究所と青果物流通の業務提携解消

          2017年10月に開始されたデリカフーズホールディングスと農業総合研究所の物流関連の提携が解消された様です。 当初見込んだメリットが得られなかった事が理由との事ですが、農業に限らず大規模な会社と中小規模の会社の物流のアライアンスは難しい印象です。得られたメリットの割り当てはどう考えるか? 得られたメリットの割り当てはどう考えるか?こういった協業は大規模な会社の方がインフラ構築が進んでいる事もあり、オペレーションもコストメリットも小規模の会社の方が享受できる事が多いです。

          デリカフーズHD、農業総合研究所と青果物流通の業務提携解消

          日清食品HDが湖池屋を連結化

          日清食品が湖池屋を連結子会社化するようですね。 この記事が出るまで、100%子会社だと勘違いしてました… 日清の主力品であるカップ麺と湖池屋菓子類は配送先も似ているはずですし 荷扱いの条件も大体同じなのかなと思うので、ロジスティクス領域は協業し易そうですね。 商品開発でどんなシナジー効果を見込んでいるかは分かりませんが、マーケティング(販促)であれば両社で協業できるのでしょうか。 ※できるなら今でもやっている様な気もしますが… 資本関係を強める会社同士の関係よりも商売相

          日清食品HDが湖池屋を連結化

          働き方改革・働きがい改革は目標を下げる事ではない

          働き方改革が叫ばれて久しいですが、皆さんの会社ではいかがでしょうか? 「残業を減らす事・有休を取得する事が目的になっている」 「若い社員に優しくする・ハードルの高い仕事は与えない」 といった内容に留まっている会社が多いかなと感じています。 確かに以前の様に とにかく与えられた仕事は文句を言わず頑張れ! 使うかは分からないけど、この資料作っておいて! 残業時間が多い?仕事が終わらないなら仕方ないだろう! といった“やる意味があるかも分からない”、“目的も伝えない

          働き方改革・働きがい改革は目標を下げる事ではない

          目の前の"ラクさ"に気を抜いてはいけない

          前回の記事から相当時間が経ってしまいました。 春からコロナ禍でリモートワークとなった一方で様々なプロジェクトや業務が一度ストップしていたため多くの記事を書けていました。 一方で自粛が緩和されてきた事や、それまでの遅れを取り戻すべく梅雨前くらいからは例年以上に忙しい日々となりました。 ただ、普段の業務でもルーチンに近い業務は非常にラクになったと思います。その要因として日本の経済が停滞したことによる貨物の減少が挙げられます。 コロナが広がる前までは必要な輸送力を必要な時に

          目の前の"ラクさ"に気を抜いてはいけない

          ヤマトHD コロナの影響で数億円減収

          新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、B2Bの荷物取り扱いが落ち込んだ事で売り上げが数億円減少するようです。 当然ですが、宅配需要が急増しているため宅配部門では増収の様ですが、B2B部門の売り上げ減少分を吸収できない事が要因だと思います。 ヤマトHDと言えばどうしても宅配事業のガリバー企業という印象が強く、「宅配需要が伸びて儲かっているのでは?」というのが世間一般の考えではないでしょうか。 ヤマトHDは宅配事業は柱の事業ではあるものの、ポートフォリオはそれなりに分散

          ヤマトHD コロナの影響で数億円減収

          三菱商事による物流業界の変革

          三菱商事が傘下のローソンを舞台に物流改革を推し進めています。 改革のポイントは"物流資源の最大活用"です。 ローソン専用センターから各店舗へ配送したトラックの帰り荷として、ECの返品物流を担う"スマリ"という新サービスを開始しています。 どの運送会社も帰り荷がうまく見つからない事から、トラックの効率的な活用ができておらず、結果として運収も上がらない状態です。 運んで欲しいニーズはあるにも関わらず、情報の不透明性やタイミング、集荷場所の問題があり、なかなかマッチングがう

          三菱商事による物流業界の変革

          五輪期間中は「内航船」の活用が進むのか?

          日本通運社がオリパラ期間における内航船の活用による、陸送の緩和を計画している様です。 自分は輸入業務にも携わっていますが、オリパラ期間の東京港は交通規制により相当な混雑が見込まれるため、そもそも避けた方が良いという意見がマジョリティです。 実際に自分も海運業者から東京港は避けて横浜や名古屋、大阪に輸入港を変えてそこからの陸送にした方が良いというアドバイスは受けました。 しかし、名古屋や大阪の港を使ったとしても一時保管するデバンニング拠点を構えているわけでもなく、さらにそ

          五輪期間中は「内航船」の活用が進むのか?

          207、ギグワーカー活用のデリバリーサービス「スキマ便」開始

          新たにラストワンマイルのデリバリーサービスが展開されます。 同様の内容は何度か取り上げていますので、今回はギグワーカー活用に注目して内容を掘り下げたいと思います。 まずギグワーカーとはどんな人を指すのかという点については以下に記載します。 インターネットを介して単発の仕事を中心に独立して働くフリーランスや契約で仕事をする人 代表的なものとしてはUberやUber Eatsが挙げられますが、それ以外ではクラウドワークスという日本最大級のプラットフォーマーがあります。

          207、ギグワーカー活用のデリバリーサービス「スキマ便」開始

          在庫配置の戦略について

          今回は在庫配置・拠点ネットワークについて考えてみたいと思います。 まず最初に在庫配置の戦略は何によって規定されるのでしょうか。 世の中には様々な考え方が存在していますが、私はサプライチェーンの最大の屋台骨である"輸送能力"によって規定されると考えています。 明日欲しいんだけど。むしろ今日欲しいくらい。 今ではAmazonで買い物をすると、早ければ当日、Prime会員なら基本的に翌日には商品が手元に届く環境となりました。 この様にAmazonがロジスティクスに力を入れ

          在庫配置の戦略について

          MOVO Berthの機能拡充

          物流向けのテクノロジーソリューションサービスを提供するスタートアップ企業のHacobuが既存サービスの機能を拡充します。 改正食品衛生法によって義務付けられるHACCPの順守義務に合わせて、同社の提供するトラック予約受付サービスである"MOVO Berth"に衛生管理の項目が追加されました。 衛生管理は確かに事務作業の負荷になりますが、法対応であるため蔑ろにする事もできません。 紙ベースでの管理を止めてシステムで一元管理する事で、業務負荷の軽減につながるかと思います。

          アパレルECは再びZOZOTOWNへ向かうのか?

          実店舗での売上が大きく減少しているアパレル企業が、自社での滞留在庫消化のためにZOZOTOWNでの販売に力を入れています。 しかし、そもそも外出を自粛している環境下においてはアパレル需要自体が低下しているため、販売の低迷はチャネルの問題ではないと思います。 とは言え背に腹は代えられないため、少しでも廃棄損を減らすためにZOZOTOWNでの販売強化に舵を切ったのでしょうか。 過去記事でもECにはECのサプライチェーンの構築が必要である事には触れましたが、自社単独での構築は

          アパレルECは再びZOZOTOWNへ向かうのか?