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夏目漱石の思想

皆さまこんにちは。メキシカンでございます。

突然ではございますが、
哲学・倫理を学んでいこうシリーズを復活させていただきたいと思います!
その理由としましては、私自身が偉人たちの思想をもう一度整理しておきたいと思ったということと、その整理した文章が皆さまの役に立つ知恵となればこれ以上に喜ばしいことはないと考えたためです。

それでは早速見ていきましょう!


夏目漱石は倫理の教科書に載っている⁉

皆さんは夏目漱石と聞いて、何を連想するでしょうか?
『こころ』や『坊ちゃん』、『三四郎』などの小説ではないでしょうか。
そう、夏目漱石は小説家として有名ですよね。
小説家として物語を書く上で彼は、実は倫理の教科書で解説されるような確固たる思想を持っていました。
本稿では、その深淵な思想について触れていきます。私たちの考え方に影響をもたらしてくれるようなものだと思いますので、一緒に見てまいりましょう!


個人主義(自己本位の思想)

夏目漱石は、33歳の時にイギリス留学へ行きます。
そこで、個人の自由を尊ぶ西洋の文化に触れた漱石は、個を忘れ集団を重んじる文化である日本文化を他人本位の生き方であると否定しました。
そして、自己の内面を重んじる自己本位の生き方を提唱しました。

自己本位、というとまるで自分のことだけ考えて生きればいいかのように感じてしまうかもしれませんが、決してそうでありません。
自我を確立した上で、他人の個性も尊重するのが自己本位の生き方です。
つまり、自己本位とは自分のことだけ考えるのでもなく、他人のことだけ考えるのでもなく、自分を大切にして他の人もしっかり尊重しようよという思想であると言えます。


利己主義の克服(※『こころ』のネタバレを含む)

自分のことだけ考えて生きればいいという思想は、利己主義です。
漱石はこれを乗り越えることが必要と言います。
『こころ』で描かれるのは、「先生」の利己主義です。
友人Kが御嬢さんを好きなことを知った先生は御嬢さんへの思いを捨てきれず、「精神的に向上心のない者は馬鹿だ」と言い放ち、Kより先に御嬢さんと関係を結ぶべく彼女の親に結婚の許しを得ます。
Kはそれを知り、自殺の道を選びます。
友人Kを自殺に追い込んでしまった先生は、その後も後悔の念を捨てきれず、ついには彼自身も自殺してしまいます。
先生は、自分のことだけを考えて行動をとってしまいましたが、Kのことを考えて行動することができていたなら、Kは死んでいなかったでしょう。
利己主義を乗り越えて自己本位に生きる大切さを『こころ』の中で描いているのではないかと私は思います。


則天去私

夏目漱石は、自我の追及をする中で利己主義と倫理的自我の葛藤に苦しむことになると言います。
そして、目指すべきは、利己主義を捨てて自我を超越した自然の理法に即して生きるという無我の境地であると説きました。
これが則天去私です。
この部分は、自然の理法という彼の自然信仰的な部分が大きく影響している思想だと思います。


筆者より(まとめ)

以上、夏目漱石の思想を見てきました。
簡単にまとめると、彼は集団を尊重するばかりでいてはダメで、自己を確立して生きることの大切さを説きました。
そして、その中でもエゴイズムによって他人を蔑ろにするのではなく、他人の個性も尊重しながら生きることを説きました。
なんだか当たり前のようにも感じますが、結局中庸が素晴らしいということなのかなと私は感じます。
他人に合わせすぎて自分を見失うのはダメだし、自分が良ければ良いだけでもダメということかなと...。
それが難しいんですけどね…(-_-;)
でも達成できるよう頑張りたいですよね(^^)

以上、読んでくださってありがとうございました!(^^)


写真の出典:国立国会図書館「近代日本人の肖像」(https://www.ndl.go.jp/portrait/)

参考文献
:浜島書店編集部、『最新図説 倫理』、浜島書店、2018年。

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