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仮面ライダーギーツ最終話『黎明Ⅰ:ここからがハイライトだ!』感想


◆アバンの雑記パート

・中田裕士1号ライダーがついに終わる

とりあえずこのスケベな仕草の一番の原因は誰なのか教えてほしい

さて、1年間続いてきた中田裕士1号ライダー作品がついに終わるという事で2019年秋以降ここまで続けてきた自分のミッションが一つの節目を迎えようとしている。

2022年を信じ、中田裕士さんを題材にして特撮同人業界に爪痕を残したい。

2019年秋のこみっくトレジャー帰りのサイゼリヤにてゼロワン第1話での不在で何かもやもやした物を抱えながら隣で楽しそうに会話をするオタクグループに嫉妬した事を覚えている。
何故居ないのか、ジオウの重宝されぶりから令和に行くテンションだった自分はまさかの空白の令和元年に怒りを覚えていた。いや怒りというよりは完全に嫉妬だった。だってみんな楽しそうだもん。
そこからまぁ本当に路線が迷走した、色々な事をしたししなかった日もあった。初めて何かを形にした時にTwitter上でメロンブックスの営業担当者にアプローチをかけられた事。委託の上での懸念点を伝えたら本を買い取った上で内容を精査してくれた事やありがたいメッセージを頂き委託の誘いを快諾した直後に何故か担当者の名前が変わった事。初めて企画を立ち上げようと思った時にリサーチ期間と実績づくりのために2年の時を要した事……本当に色々覚えている。

従来の路線から変わった事をするため諸々反感は覚えられるだろうなと思いながらも自分を信じ、この未来を信じ、取り組んできた。まずは自分を信じてくれた人たちに感謝の意を示したい。
これは一つの勝手なエゴである。世の殆どの人間からしたら知った事ではない話である。だけれどもここまで取り組んできてよかったのだと今は感じているのだ。

仮面ライダーギーツよ、ありがとう。
そう想いながら今回は物語の『おしまい』へと話を進めていこうと思う。


◆仮面ライダーギーツ最終話『黎明Ⅰ:ここからがハイライトだ!』感想

脚本:高橋悠也 / 監督:中澤祥次郎

・新たな世界で人々は

今思えばこれは英寿にとっての儀式だったのかもしれない

物語は戦いが終わった世界から始まっていく。何かを受け入れたかのような英寿の最期からライダーだった者たちは各々の日常を送っていた。
仲睦まじくいつもの蕎麦屋で昼食を取る桜井姉弟、インフルエンサーとして配信活動を行う祢音、建築現場で働き先輩に可愛がられる道長……そして現世に現れたジーンは石化し祠に祀られたブーストマークⅨレイズバックルの前にいた。そしてその場に現れたのは世界が英寿を忘れても覚えていたいという想いで英寿の祠を守り続けていたツムリである。

あの日英寿を銃口で撃ち抜いたツムリ、その真相は黒ツムリに乗っ取られた結果の物だった。
浮世英寿は死んだ。いずれ転生するだろうがこの世界を書き換えてしまえばもうライダーの浮世英寿は存在しなくなる。そう言いながらリガドΩは反抗するオーディエンスの意思を握りつぶして泣き崩れるツムリを背に世界のノイズを排除すべく去っていく。
その状況を知らずに逆転を信じ戦うライダーたちだったが黒ツムリによる英寿の死のアナウンスに激しく動揺するもなおリガドΩに立ち向かっていく。

ただ一人英寿の亡骸に覆いかぶさり涙するツムリだったが、そこに聞こえるはずのない声が聞こえてきて顔を上げるとそこには死んだはずの英寿が。
自らの過ちを悔やむような言葉を言うツムリに対し涙は似合わない、気にするなと優しく慰めた英寿はどこかへ旅立っていく。
まるで天国へ旅立ったかのような切ない別れの場面だが……このシーンは最後の最後でビターエンドにするのかという衝撃を受けたものだ。

・VSスエル戦、激闘の末に生き残った神は

神様になった日

場はリガドΩに抗う仮面ライダーたちの戦闘地。
周辺と自分自身、その双方を操るリガドΩにタイクーンとナーゴは敵わない。そしてライダー特攻を持つジャマ神バッファも時を巻き戻す力によって『特別な力を手に入れる前』の状態に。
ライダーの資格を持たない生身の彼らにはもはや対抗手段はない。それでも彼らは戦う事を辞めず、食らいつき続ける。
その姿を『願いを妄想するだけの無力な存在』と罵るリガドΩだが、それでも願いがあるからこそ人は強くなれると立ち上がる。仮面ライダーとして戦い続けたからこそそれを彼らは学んだのだ。どんなに願いに絶望する日があっても歩みつづける彼らの心は英寿という男との関わりを経て確立していったし彼らの想いもまた英寿に影響を与えていた。

呼応するように現れたのはブーストライカーに乗った仮面ライダーギーツだった。死んだはずの彼が何故ここに。そしてリガドΩに轢き逃げアタックをかました後のドヤ顔マスクが爆イケである。
英寿の肉体は滅んだ。だが英寿は母と約束を交わしたあの日から誰もが幸せになれる世界を叶えるために神となる覚悟を決めていたのだ。転んでもただでは起き上がらない。黒ツムリに乗っ取られた果ての銃口も彼にとってはある意味神になるための儀式なのだ。

そしてリガドΩの攻撃を躱すように疾走するブーストライカーだが、ここのバイクは中田裕士さんご本人という事でかっこよすぎるしシームレスにリガドΩとの闘いへと移行していくのだ。未来の神と新たに生まれた創世の神との対峙、焦りがにじんだリガドΩにギーツは余裕綽々といわんばかりに攻撃を打ち込んでいく。そしてギーツは景和たちに『お前たちの願いは何だ』と告げた。

願いは一つ、英寿と同じである。

その言葉を受け、ギーツは景和たちにデザイアドライバーを付与。願いの力で3人は変身。ギーツの砲撃を号令にするように3人のライダーはリガドΩへと突撃。そして少し引くギーツのその姿は神として以上に仲間として彼らを信じている証なのだ。
リボルブオンを活かした3人の同時キック、タイクーンのアシストを経てのポイズンチャージ、見事な連携である。
リガドΩをぶっつぶして幸せな世界を実現するというただ一つの願い。だがリガドΩは彼らに抵抗するために時間を巻き戻そうとする。
そしてここに現れるのは神となったギーツⅨである。神様には時間なんて関係ない、そうニヒルなセリフをいいQB9で斬りつけ撃ち抜き最後はリガドΩにブーストナインビクトリーを放つ。
二人の神の激突の末に起きた爆炎の中で現れたのはスエルだった。だがその肉体にも異常が。『お前を破壊した』その言葉で面が割れ、中から英寿の姿が。

「さぁ始めよう、誰もが幸せになる世界を」

英寿の力により世界が作り替えられていき、現代の世界から未来の存在たちが消えていく。
そして四次元ゲートが閉ざされ崩壊するデザイア神殿で発狂するのはここまで権力に媚び渡り歩いていたサマスである。そんなサマスに『これがオーディエンスの総意だ』と言ったのはギロリである。
我々運営は消え去りこの時代の未来はこの時代の人間に託される。やはり運営に反旗を翻したギロリ自身もサマスらと消滅する覚悟で挑んだという事なのだろうか。

そして英寿と景和・祢音・道長の別れも訪れようとしていた。
幸せの総量も決まっていない、みんなが願ったぶんだけ幸せになれる世界。3人に対して『幸せになれよ』と告げる英寿。そして俺の事なんて忘れるに限ると言われてしまっては3人にとってはたまったものじゃない。だけれども最後の別れに悲壮感はなく、狐は人を化かし続ける、冗談か本気か分からない飄々としていた英寿との別れはどこか穏やかだった。

・願いの物語

世界は生まれ変わり人々は英寿の記憶を忘れていった。そして冒頭から今に至るまでがツムリの回想なのである。
そんな回想に付き合ってたジーンはツムリに『また新たにデザイアグランプリを始める動きが出ている』と話した。
幸せになりたい人たちをすこしでも応援するための戦い。もちろん代償はなしとの事でジーンはツムリにまたナビゲーターになってくれないかと提案した。この口ぶりからするとジーンはデザイアグランプリの運営に就いたという事なのだろう。
勿論ツムリはそれを快諾し、穏やかな新世界が始まった。

「叶うといいですね、皆さんの願い」

ウィンは再びパンクロックの道へ進み、大智は人類とジャマトを共生させるための研究を進め、憎しみや罪を背負わなくてよくなった道長はただひたすらにうまい肉を食べたいという地に着いた庶民的願いを得た。個人的に高校卒業してからすぐ現場に入ったであろう彼が現場の先輩たちに可愛がられているのは本当に微笑ましい。
そして沙羅も穏やかな日常と共に普通の人間らしくたくさんの夢と願いを持ち、祢音はというと彼女に寄り添っていたのは祢音TVの裏方として現世に残ったキューンであった。
かつては光聖のエゴで祢音と特別な仲にさせられそうになったキューンだったが、彼こそが一番祢音の魂に寄り添い続けてきた存在なのでこの結末には納得がいく。政略結婚を企ててた当時の光聖の心境的には代わりに愛し続けてくれる存在に託したかっただけのような気がするので彼の心境はいかほどか気になるところ。
そして相変わらず世界平和を望んでいた桜井景和は警察官の道を志していた。困っている人が居たら必ず手を伸ばす彼らしい道である。そして手元にはタイクーンのIDコアがあったため、もしかしたら彼だけ英寿の記憶を持っているのでは?とかそんなことを考えてしまうのだ。

彼らは願いのために歩み続ける。そしてその姿をもちろん英寿は見守っていた。願い続ける限り人は幸せになれる。
神エンド、だけれども悲壮感が無いのは2000年もの間母を追うためにしか生きてなかった英寿自身が意思のある神として人々を幸せにする夢を得たからだと思う。
第1話でGA〇TZ的なデスゲームかのように売り出された今作だったが、盤上の駒とされようとも何があろうとも自分自身の中にある願いを信じ続ける希望と理想の物語だったと思う。

私は仮面ライダーギーツとの出会いを忘れないだろう。
そして願う気持ちを決して忘れない事を誓いたいと思う。


◆ギーツ最終話コラム

・ギーツ年間総括~イメージビデオ性だけは守り抜いた1年間~

英寿の物語

さて、仮面ライダーギーツの1年間にわたる戦いが終わり、49話をもってして物語の幕が閉じた。
この作品については長年応援させていただいていた中田裕士さんの初のテレビ主演ヒーローという事で1年間真剣にアタックさせていただいたが今回忖度の無い評価を行おうと思う。まず仮面ライダーギーツという作品についてステータスごとの評価を行うと

【仮面ライダーギーツ総合点】
ストーリー:★★★☆☆
ヒーロー度:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
アクション:★★★★★★★★★★★★
販促:★★★★★★★★★★★

総合:★★★★☆(※3.5寄り)
※星5点評価※

………なんかパラメーターが壊れてるじゃないかたまげたなぁ。

仮面ライダーギーツの特撮作品としての立ち位置を評価すると『1年間イメージビデオ性は外していなかった』である。
ストーリーとしては伏線のバラマキに終始していた1クール目の展開はパンチに欠けていた所もあったし仮面ライダーギーツに登場するライダーたちのヒーローとしての物語は基本的に『大きな運命に翻弄されながらも自らの願いを知り覚醒していく内容』だった。
主役の英寿には安定感のある絶対的なヒーロー性があるものの、それ以外のライダーについては良くも悪くもヒーロー以前に存在する個人としてのキャラクター性に最大限寄り添った作品であり『快活なヒーローストーリー』を目当てにしていた人からすると少し物足りなかったのかもしれない。

だがそれを帳消しにする勢いで外してないどころか大幅な加算を加えてたのが『アクションと販促』である。

販促についてはどんな新アイテムが出ようともまずは主役の仮面ライダーギーツに使わせ、ギーツが使わなくなったら他のライダーに使わせるという方式にしており、これに関しては全ライダー共通アイテムであるデザイアドライバーの互換性を存分に活かしたやり方だと思うのだ。
例年にありがちな『主役が捨てたアイテム』が小売店で投げ売りされるという終盤の流れについては今年についてはあまり観測できなかった。

そして仮面ライダーギーツでよくある批判点である『メインのライダーが守られ過ぎなのでは』という意見。ギーツの保守的な面については個人的に思う事があるため同意できる点なのではある。
キャラクターの退場自体はあったものの『商品を売っているキャラクターの退場期間を極力短くする』という作りは子供の玩具に対するモチベーションを無くさない上では大正解なのである。だが令和ライダーは良くも悪くもここまで展開が尖っていたため、ギーツのそういった面は一部の視聴者にとっては守りに入りすぎていると感じさせてしまったのかもしれない。
だがそれもどんな事があっても『人の心を失わなければ幸せを掴む事ができるのだ』というテーマに昇華してたので結果を考えると『プラスアルファの範囲』だと思っている。

そしてアクションについてだが一流のスーツアクターを活かすための藤田慧アクション監督のセンスは1年間インフレにインフレをし続けていた。さとーしいつもありがとう。
アイテムを魅せるアクションの力が凄かったし、中田裕士さんのアクションの魅力が5億倍になったのは本当に藤田慧アクション監督のおかげ。個人的には次回も登板してほしいと考えるレベルであるが、アクション監督としてのお仕事が増えるという事は藤田慧さんのスーツアクターとしてのお仕事を減らさざるを得ないという事で……どうにか藤田慧さん増えませんかね?今一番増殖が望まれている人材だとおもいますからーっ!!!!

というわけで総括するとストーリー的には若干守りに入った面が否めないものの、アクション・販促の面では近年まれに見る傑作であり、客観的な評価は中田裕士補正抜きにしても『凡~優』のラインではないかなと感じている。間違いなく駄作だけは無い。物足りなさを感じる気持ちはわかるけど駄作の烙印を押すにはちょっと無理筋のように思う。

兎にも角にも仮面ライダーギーツは1年間玩具のイメージビデオ性だけは絶対に外さなかった。販促のための子供向け番組である以上、これが正解の一つなのである。
何はともあれデスゲームかのように売り込んでいたこの作品が最終的に希望にあふれた物語に昇華されたのは着地点として非常に美しかったと思う。


◆巻末後記

・仮面ライダーギーツ感想シリーズ無事完走!!!!!

完走したのでやっとギーツのファンアートを描ける

というわけで巻末は久々に雑記となっております。
中田裕士さんが1年間やるなら自分も真面目にやろうと思ってやってた毎週の『ギーツ感想』と夏コミ向けにやってた『語ろう中田ヒーローズ2』
これにてひと段落……いや冬コミに向けてまとめ本3弾作ったりとかなんだかんだでまだ作業あるんですけれども今期は穏やかに戦いに専念する事ができました。
今回は自分のキャパを大幅に超えるような活動をしてしまったため、納得いっていない状態で感想やら素材やらをお出しした事もありそこは反省点ではありますが、ギーツの年にやろうとしていたことはきちんと成し遂げる事が出来たので非常によかったです。命はめちゃくちゃ削っちゃったんですけどね。

今後の流れとなりますが、ギーツの総括作業をしながらエネルギーを貯める方向になると思います。再来年に向けて動かなくてはいけないし……
noteの方については定期的に更新はされると思います。また色々お知らせできる事が出てきたらお知らせいたしますね。

ほなまた、素敵な世界を。

ぱいせん彼方(屋上わーくす+α)

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