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・散歩中、民家から「まだ冷凍してあるよ」「えーッ、そうなの!」という会話が聞こえてきた。おいしいものにちがいない。

・電車の運転見合わせで、ボロボロになって深夜帰宅。ストレスが閾値を超えている。「バーーーーーカ❗️❗️❗️」と怒鳴りたい。無料で怒鳴ってもいい場所を持ち得ないのは現代人の悲劇である。

・この歳になってようやく、読書の仕方がまとまった、小説は必ず図書館か家で読むべし、それ以外は電車内でも喫茶店でもよし。小説には色とか匂とか温度が強く染め込められているから、周囲の環境はなるべく無音無味無臭の方が良い。子供らの歌い遊ぶ朗らかな5月の公園で夢野久作を読むことは愚かである。今手をつけている『生きている兵隊』は、電車内で読もうとしていたが、どうも最初の3ページから進まぬ。それが今日、図書館で読むと、もうするする進んで止まらない。北支事変の狂気と地下鉄通勤は、色から何から全て違って入り込めない。逆に『サミング・アップ』は電車でぐんぐん読める。ひねくれたおっさんのトークだから、環境がどうであろうと、そこまで脳が狂わされない。しかし、小説世界とその読書環境がぴたりとハマると、それは忘れがたい陶酔になる。昔、ストーブがつかずにガタガタ震えながらサドの『悲惨物語』を読んだが、あれはもはや神的経験と言ってよかった。

・farewell 「別れ」「さらば!」は、fare well「うまくやっていけ」がもと。fameはfamousと同語源。考えてみれば当たり前だが最近気づいた。恐るべき言語不感症で、情けなくなる。

・AIにシェイクスピアの文体を模倣させて遊んだ。近代英語文法は完璧で、頭韻脚韻も踏めるし、何より「ありそう」な文だ。単語を挙げて「これ使って例文書いて」とか、難しい文を出して「なんでここが過去形なの?」とかはしょっちゅうやっていたが、まさかここまでできるとは。人間は本当に不要だ。今はカーライルやペイターの流麗な文体でねこちゃん賛美を書かせて遊んでいる。epitomeとかbeyond compareとか、語のチョイスも上手い。


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