伸縮棒ネットの口を広げると15、6個の栗がごろごろと転がり落ちた。恰幅がよいスモーキーな赤茶色。まさに栗色だなぁ、と静かに思う。
　半袖のTシャツにさまざまなカーディガンを着て緩やかに下がっていく気温に対抗していたが、今日は箪笥の奥からトレーナーを引っ張り出した。クリーム色の袖から今度は私が腕を出す。埃っぽさにひとつの秋を感じながら産直へ向かった。久しぶりの店内はどっさりと秋が敷き詰められている。私と、土地で繋がる人々が用意した野菜や果物には、スーパーのそれらとは違いどこか愛嬌がある。少し背が低かったり、色味が濃かったり、おばけみたいに丸々太っていたり。傷みの少ないもの、美味しそうなものをなるべく選ぶのは前提だけれど、彼らの個性はいたずらのようなくすぐったい嬉しさを与えてくれる。この栗は今日産直で購入した。栗餡にして焼き菓子に入れようと思って。「どうも栗です。」とご挨拶してくれているような腰回りや色とは裏腹に、鬼皮にはたくさんの擦れがあった。何が理由かはわからないけれど、いがの中で大きくなりすぎたとか、風に当たりすぎてとかだったらいいな。前者はとにかくうれしいし、後者は時間の経過を感じられる。自室の無機な白い机の上に、有機的な存在がたくさん並ぶ。嬉しくて何枚も写真を撮り、恋人にメッセージを送信した。
「良いもの見せてあげる。」
「いいね。植物って癒されるね。」
スマートフォンの画面のそれこそ無機質に表示される彼の言葉が、自分の体の中を透き通った風みたいに吹き抜けた。するすると内側を優しく撫でていく。
　世界が休むことなく回って私に秋がやってきた。今年も立派な実りを用意している。世界には見えるものも見えないものも溢れている。私は、少しだけ世界を壊しながら、少しだけ息をする。たくさんの願いを抱きながら、少しだけ息をする。季節のものを使うお菓子作りは私にとってそういうものだ。どうかこの時間が少しでも私の手元で留まってくれますように。世界を少しだけ壊しておきながら、世界を大切にできますように。みんなを大切にできますように。あなたを大切にできますように。と、死の美しさを重ねた上で、あらゆるものの生を願う。
　君とはこれまでの生き方も、なにかを大切にする仕方もまるで違う。私は君に比べたらべったりしているし、君は私に比べたら朗らかで、同時に冷たい。けれど、これから私が調理する栗を見て植物だと、命を見つめる君を見て、感じている質量だけはきっと重なっているのだと信じられた。この想いをどうしたら君に伝えられるのだろう。手がかりを探しに、私はキッチンへ向かった。

どうも、私です。
先日Twitterで「note読んでくれてる方！声かけて！」と投稿し、その方々に手作りお菓子のプレゼントを送るというものをしました。
いかがでしたか。私は楽しかったです。
手作りの食べ物はその人の生活や衛生面の考えが反映されます。ましてや我が家には犬もいます。顔も知らぬ相手に住所を教えることにもなります。
当たり前に断られることも考えましたが、みんな大喜びで受け取ってくれました。

喜び方もさまざまでした。
受け取ってすぐに連絡をくれる子。誰よりも私がうれしいと豪語していました。そうかもしれない。
あまりにも綺麗な写真を撮ってくれる子。宣材写真みたいで感動していると「もっと上手に撮れるから待って！」と、今度は時間の流れを切り取ったような、映画みたいな写真を見せてくれました。
忙しい生活の中、受け取る為に定時で仕事を切り上げて、「読書のお供にするね。」と。気の利いたことは言えないけれどと言いながら「感激した。」と。
陽の光の下で写真を撮りたいから、お昼に食べるんだと言ってくれた子。
ここには書ききれないけれど、本当にその子たちそれぞれの大切の仕方をしてくれていました。

ありがとう、大切にしてくれて。
嬉しかったです。
また機会があれば受け取ってください。
でも機会は作るものだよね。
私もきっと作るから、
あなたも言ってくれていいよ、「あれが食べたい。」って。

以下、10月のかけらたち。

仕事と気圧に押し潰されぺろぺろで何もできてない日々！
なんとか仕事と生活まわしてます、褒めて〜

10月のらくがきまとめ。
花とか絵とか文章とか

テーマ「70s」プレイリスト作成

映画
カモンカモン（10月映画枠）
101匹わんちゃん
わんわん物語
不思議の国のアリス
スーパーマリオブラザーズ
天使の涙

本
谷川電話
谷川俊太郎
大江健三郎

その他
かりねこラヂオ2回
絵本製作（途中）
→突如降りかかる激務の結果納期をクリスマスにしました。
　作業枠引き続きお付き合いください。

以上！
11月もよろしくおねがいします！