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動かざること山の如し 4合目

武田信玄の言葉だ。
私の場合意味は少し変わるが
販売員時代に口癖のように使っていた

悪天候だったり、予定が急に変わったり
山に行けなくなってしまった時に言う。


GWも終わり札幌もちらほら桜が咲いていた頃
ご年配のお客様で2日連続で
靴を眺めては帰る方がいらっしゃった。

3日目もご来店されているので、さすがに
「先日もいらしてましたね?お話伺いましょうか?」とお声がけ。

どうやらトレッキングシューズを買いたいが
訳ありとの事
足のサイズを測りながら聞くと
おや?足にサポーター…?


「一昨年、四国八十八ヶ所をあともう少しで完走!
のところ雨で濡れた登山道の木の幹に引っ掛かり
足を怪我してしまったのよ、もう80近いおばぁちゃんだし諦めようかと思ったんだけどねぇ…
どうしても悔しくてねぇ」

何と悔しいこと、痛いほど気持ちがわかる。


怪我の具合や、リハビリに勤しんでる事、
残りの行程、お遍路のこぼれ話ですっかり盛り上がっていた。

私もいつかは挑戦したいと思っている
お遍路なので興味深々〝歩き遍路〟となれば
立派なトレッキングだ。

ご婦人が「桜の綺麗な時期にお遍路しててねぇ、見ると元気出るのよ」

山にこれだけ登っていて覚えている花が
チングルマだけの私も
山で桜を見た時は本当に感動した。そう元気がもらえる


旦那様の3回忌である来年の春にはまたお遍路へと向かいたいとの事

最後に私が「山もお遍路も逃げません、動かざること山の如しですよ」

「そうね、気長にやらなきゃね!」と決心して帰られました。

いいお遍路になる事を祈りたい。


山に行きたい理由や思いはそれぞれで
人を動かす何かがあるんだろう
ドラマチックなお客様とお会いすると
色々と考えさせられたりする。

安全第一が基本のキである以上、不安な要素が少しでもあれば行かない、中止か撤退。

動かざる事山の如し、悔しいがいつも山には動かされている。

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