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下北沢に行った話

15時に起きた俺は希死念慮に悩まされていた
理由もなく死にたくなった
昨日も死にたかった
一昨日も死にたかった
たまに理由がある死にたい日があるが
だいたいが理由もない。

多分存在することの負荷が体の耐久値を23歳くらいで上回ったんだと思う
HPを回復できるイベント・場所が無いから、俺のステータスはもうどく状態で
息をするだけでHPがマイナスからより大きなマイナスに移行していく
ただそれだけ

前置きポエムはこれぐらいにして下北沢に行った話に戻ろう。
死にたかった俺が頭の中で思い出したもの
それは、押切蓮介先生の漫画だった
アニメ文化に辟易していた頃の俺の脳髄に突き刺さったのが他でも無い「ハイスコアガール」のアニメだった。
ヒロインの存在もそうだが、あの無垢でひたむきな大野ハルオの姿に憧れた

最近大掃除をしたが、紙の漫画はひどく場所を取る。
そのため多くの本を捨ててしまった。
だが、押切蓮介先生の漫画は捨てられなかった。
あのレトロな雰囲気は確実に誰も持っていない空気感を兼ね備えていた。
押切先生の多くを購入したのがヴィレッジヴァンガード、通称ヴィレヴァンの下北沢店だった。
驚くべきことに、2018年にでろでろの新装版があの店舗には1巻以外の巻が全て揃っていたのだ。
この事実は俺を深く安心させ、店舗への信用に繋がった。

下北沢に着いた。
下北沢に着くと俺はすぐに駅から出て駅名が載ってある大きな看板を見つけ、すぐにスマホで撮影する。もちろん、Twitterにアップするためだ。
完全に陰キャラの行動だが、こうした自己表現しかできなくなった自分を先ずは肯定しよう。
一連の動作を完了すると、すぐにヴィレッジヴァンガードがはいっているマルシェ下北沢に向かった。
入店するとまず「ぼっち・ざ・ろっく」の「Bocchi Tシャツ」が俺を迎えた。
その待遇に対して俺は「もう持っているよ。」という優越感に浸りながら、下北沢のアニメブームの底の浅さを嗤った。
アキバじゃ数ヶ月前に平積みされていた時代は終焉(おわ)ったよ、と。

多くの商品が陳列されているが、目的は漫画のみだったので一目散に漫画のコーナーへ。
すると、ああ、AKILAの映画がまだ再生されている、と俺は胸を撫で下ろした。
思えば俺が初めて来店したであろう5年以上前もAKILAが流れていた。変わらない街並みは何とも心地よい。それが自分の興味を惹くものであればあるほどに。
「CLANNAD」の冒頭、
ヒロイン・古河渚は言う。
「あなたはこの街が好きですか?」
と。
否、答えはYESだ。
下北沢というお洒落でオタクから縁遠いとされる街で、唯一サブカルというカタチで俺の存在を受け入れ、肯定してくれる。
AKILAという伝説、いわばカルトめいた人気を誇る作品が俺達陰キャラを人類補完計画のように繋いでくれていることを俺は実感する。

→その2へ続く

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