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詩集

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2015年6月の記事一覧

野良宿り

開け放つ窓 黒い空から
雨が鳴ったと歌い出す

色の鳴る黒 何処行くの?
黄昏が滲んで流されてゆく

街の蜃気楼の方へ行くの?
憧れが軋んで壊れてゆく

まだする音 緩い風が
運んで鼓膜を震わせる

黒の中でも澄んでいて
染まらぬ色彩を持っていて

ランドマーク

熱が冷める空に明かりが灯る
恋人たちはその風景に酔いしれる
「また来よう」「すぐに逢える」
定時消灯のランドマーク
星の見えない空に孤独が灯る

ちゃぽん玉

ちゃぽん玉

動かない雲めがけて
ブランコ漕いで靴を飛ばす
雨が降って濡れたままのベンチ
コンクリートの上の猫の足跡