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詩集

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記事一覧

すごいはすごい

すごいものを見た人は
体に電気が走ってしまい
命令されてもいないのに
マネをしたくて仕方ない
たとえマネができなくても
「やっぱすごいな」となるのだし
マネができてしまったら
「こうすればもっとすごくなるんじゃないか」と探求する
ずっとすごいが連鎖して
すごいはすごいを繰り返す #詩

12月の玉手箱

アマゾンを焼き、乱獲、動物
難なく労せず右から左に
期待する未来とは裏腹に
肥大化する資本主義うたかたに
パンドラの箱が開いた2020
五輪大好きなコインランドリー
全国民に10万円を 電通に中抜きを
日々強いられる火の輪くぐり
絶対に言わない一先ず無理
逐次投入 贅沢は敵
そんな生活から抜け出す為に
店を開けば自粛警察
ビッグな邸宅は私兵が警護
国会、嘘つき、権利は企業に
映さないテレビと受信

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忘れちまった流行語

7年8ヶ月もの間、内閣に人事を握られた官僚機構は石橋を叩いて渡るように言葉を壊してきた。新政権はさっそく言葉が通じない。
それでも流行語大賞が決まる。

政治家が決めた「不要不急」という物差しと照らし合わせて、いざという時に自分はこうも簡単に切り捨てられてしまう存在なのかと打ちのめされたアーティスト達は言葉を失った。
それでも流行語大賞が決まる。

みんなマスクをしていて、予防原則的に必要最低限の

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ムクドリ

山を切られたムクドリは
腹を空かせて空を飛ぶ
お前もそうか、お前もかと
仲間を携え群になる

寝ぐらを失くしたムクドリは
住宅街の空を舞う
木のないジャングル
希望の街路樹
仲間は撃たれて塵になる

今日もうるさいムクドリが
どこかに行けばいいのにと
鷹匠雇って エアガン乱射
街路樹を切って 笑い合う

想像力は何処へ行く
視界を消えれば解決か
不自然の中で奇妙が連鎖
カラスはそれ見て笑ってる

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貰ってうれしいプレゼント
貰って困るプレゼント
コストコのあの大きなクマさんは
ちょうど真ん中に座ってる #詩 #クリスマス

100本のタバコ

タバコが100本あったから、1日2本吸っていた。
残りが50本になったから、1日1本吸っていた。
残りが20本になってから、2日に1本のペースになった。
残り10本になってから、3日に1本のペースになって、その煙をこれまで以上に味わうようになった。
とうとう残り3本になった時、無意識のうちにこれまでの人生を振り返っていた。
生まれてすぐに祖父母の家に預けられたこと。
両親の顔が分からないから保育園

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サンプル

青い空、白い雲、規則正しく歩く人々、道端の花、路地裏の猫、目が覚めて眠るまで単調な日々。
灰色の空、黒い雲、規則正しく行進する足音、道端の死体、路地裏の闇市、寝ても覚めてもこびりつく死の匂い。
生まれる時代を選べない。 #詩

生まれて死んで

生まれて 死んでを繰り返す
それを見ているあなたは生きていて

あなたが生まれて あなたが死んで
それを見ていた誰かはきっと
あなたに愛情を抱いている

誰かが生まれて 誰かが死んで
もしあなたがそれを見ていたならば
少しの愛情を抱いておくれ
きっとまた 生まれるから
きっとまた 死ぬときに
誰かがあなたを思い出す

生まれて 死んでを繰り返す
それを見ているあなたは生きていて #詩

住めば都

腐臭が漂っていたタイムラインに死体が流れてきたが、上流にいる権力者達は「俺は関係ない」と言う。腐臭の中でニヤニヤと笑っている彼らを守るように、同じような顔をした官僚と警官隊が疑惑の目を遮り、東京ではみだりにうろつくと条例で身柄を拘束されるようになった。すでに可決されてしまった共謀罪も記憶に新しい。
そして国民はこの腐臭に慣れようとしている。優等生は率先的に順応し、シンパは疑問を持つ者に唾を吐く。そ

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何かの声

何か大切なことを忘れて、それなのに気づかないまま、また新しい何かを知っていく。
しかし、学べば学ぶほど何か大切なことを忘れてしまったのではないかという喪失感が肥大化していく。
もしも、大切な何かを思い出したら、今と全く同じように、今を忘れたことに気づかないのかもしれない。
それでもいいと思えるのは、その何かはこの世界で唯一、私だけを待っているという事だけを明確に覚えているからだ。そうでなければ、学

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いのちのさかり

夏の夕暮れとは思えないどんよりとした空気の中でさえ、蝉はジリジリと鳴いている。きっと、季節に関係なく忙しそうに走り去るあの車には聞こえないだろう。
一方で、自販機の中で息絶えた虫たちは「あったか〜い」に変わるまで出てはこれないのだろうか。
どの季節だろうと命に遜色はないのかもしれない。

マクロンでアクロン、マキロン、マカロン。パブロフの犬のように韻を踏む人々。

冬が冷める

寒さの中に暖かさが残る風が吹いた。
五時のチャイムが鳴る。鳥が騒ぐ。子どもの影が遠ざかる。
冬が冷めていく。