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映画感想文【愛と哀しみのボレロ】

1981年 フランス製作
監督:クロード・ルルーシュ
出演:ロベール・オッセン、ジョルジュ・ドン、ダニエル・オルブリフスキー

1930年から1980年、第二次世界大戦前から戦中、戦後を翻弄されながら生きた芸術家たちを描いた大作。舞台はベルリン、モスクワ、パリ、ニューヨーク。視点を変えながら芸術家たちの運命が交差する。
ルドルフ・ヌレエフ(バレエダンサー)、エディット・ピアフ(歌手)、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮者)、グレン・ミラー(音楽家)という四人の偉大な芸術家たちがモデル。

午前十時の映画祭にて

超大作、大河ドラマ。美しい音楽がほぼ全シーンで流れ続ける。
誰かが悲しいときも、嬉しいときも。

「人生には2つか3つの物語しかない。しかし、それは何度も繰り返されるのだ。そのたびごとに、初めてのときのような残酷さで」

冒頭のメッセージ/ウィラ・キャザー(出典不明)

この2つか3つの物語が繰り返す様は、題名の通り『ボレロ』の音楽のようである。誰もが一度は耳にしたことがあるだろう、有名過ぎるあのリズム。
冒頭とラスト、贅沢に流されるジョルジュ・ドンによるバレエ映像は圧巻である。
音楽にもバレエにもとんと詳しくないが、有無を言わさず、目を逸らすことも許さないエネルギーが伝わってきた。あれだけでも一見の価値がある一本だろう。

物語は概ね舞台に合わせて4つの視点が入れ替わり立ち替わりなので、少々分かりづらい。
序盤の大戦前から終戦直後くらいまではそれでもなんとかなったが、その後は血縁関係を表現するためだろう、若き日を演じた俳優が一人二役を務め始めるので混乱してくる。
特にアルジェリア戦争からの帰還した4人の男たちが出てきたあたりから、登場人物が増えすぎたというか、映画という枠で人の系譜を語る限界とでもいうか、どうしても中だるみを感じてしまった。
185分。
トイレには立たなかったが少々お尻が痛くなったし、隣の親父はイビキをかいて寝ていた。そこまでは許すが携帯の通知は切っておけ(やや殺意)


映画.comより
映画はミュージカルではないが、語り部たる音楽と音楽が常に寄り添う。
人間がだれでも、人間という一つの同じ種であるということが実感できる。


物語はただ繰り返す。人は変わっても、人の営みは変わらない。
ボレロのリズムのように、繰り返し繰り返し沈み浮き上がり、出会って別れて、一人の終わりが訪れようと別の一人がそこから同じリズムを続けていく。
唯一の物語を求める気持ちこそが、新たな音楽を生み出すのだろう。


『ボレロ』は本作やバレエに限らず、多くの映像作品やフィギュアスケートや舞踏に使われている。
Wikiによれば2016年5月に、作曲者ラヴェルの出身国フランスにて著作権が消失したらしい。今後も続々、この曲に惹かれた作品は多く生み出されるだろう。期待している。
いつかバレエの舞台も観に行きたい。


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