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映画感想文【ゴジラ−1.0】

2023年 製作
監督:山崎貴
出演:神木隆之介、浜辺美波、安藤サクラ、吉岡秀隆

<あらすじ>
ゴジラだよ!!


背中の棘がよりトゲトゲして攻撃的で良い

ゴジラだった。
楽しかった。

第96回アカデミー賞 視覚効果賞を受賞。たしかに見ごたえがあった。
特撮にはあまり馴染みがなく、戦隊モノや仮面ライダー、ウルトラマンなども良く知らない。世代で言えばゴジラVSメカゴジラ、キングギドラ、モスラ、あと亀のデカいやつ……なんか首引っ込めてグルグル回転して飛んでたようなの。いたよね? とかそういうレベル。
一応当時履修はしていたしそれなり楽しんだ気もするが、あまり覚えていないし今もそれほど。
公開当初もさほど観る気はなかったのだが、アカデミー賞取ったしな、こういうのは映画館で観たほうが良いよな、という軽いノリである。

ストーリーとしては、正直あまり感情移入も出来なかった。
臆病さに逃げ、生き残ってしまった特攻隊員・敷島(神木隆之介)の苦悩や、同じく空襲で生き残ったもののだからこそ生きねばという強い意志をもった典子(浜辺美波)たちとのやりとりも、どこか「ふーん」という印象。
彼らも含め、俳優たちの演技が悪かったとは思わない。吉岡秀隆、安藤サクラ、佐々木蔵之介。みな良い演技だったと思う。実物のゴジラを目の当たりにするでもないのに、良くもあれだけ演じることが出来るものだと感心してしまう。
戦後の荒廃した東京の有り様や、衣装、装置、それほど偽物臭さもない。良く作り込まれていると思う。
なにより流石の視覚効果賞。ゴジラの出で立ちや暴れっぷりなど、作り物感がなく昔の子供向け特撮とは段違いに優れたものだった。

ただ、やっぱりゴジラはゴジラなんだよ。
ゴジラ映画、というジャンルなんだよ。

ゴジラ映画に、戦争で生き残った罪悪感や復興の希望や、そんな真面目な感情を持ってきてはいけないのだ。
いや、これは適切な表現ではない。ゴジラ映画にもストーリーはもちろん必要である。真剣にストーリーを演じてもらわなければ説得力がない。
だがそこに現実社会のヘタなリアルさを持ち込めば持ち込むだけ、なんだか白けてしまうのだ。
なぜならゴジラ自体が実在のものではないのだから。
「説得力」と「リアルさ」は等しいものではない。

ゴジラが生まれた理由や象徴するもの、日本に上陸し人間を襲いまくるわけなどは諸説ある。一番よく聞くのは「核の恐怖の象徴」という説か。科学文明を発達させた人間に対する自然界からの警鐘、とか。
生みの親、円谷英二氏にも沢山の込めた思いがあったことだろう。
製作側がその思いを詰め込むことも、観客が受け取ることも自由ではある。けれどゴジラ映画の真髄はそこじゃない。そういうのは他でやってくれ。例えば進撃の巨人とか。

ゴジラ映画はゴジラを楽しむため、なぎ倒される建物と紙くずにも等しく蹂躙される人間ども、そこからアリンコのごとき人間が反撃の狼煙をあげる様を楽しむための映画なのである。
そういう意味では『シン・ゴジラ』(2016年・庵野秀明監督)の方が振り切っていて面白かったが、どちらが優れているか、という疑問はただの好みの違いに過ぎず口にするだけ不毛だ。
同じゴジラを題材にした二作、あり様は大きく異なる。


アンギャー!


感想のまとめとしては、特撮映画としては非常に面白い。
ゴジラそのものはもちろん、音楽演出も最高にやってくれた。
あの有名すぎるテーマソング、ゴジラと言えばのアレがなかなか流れないので、今回は使わないのかな? 権利の問題でもあったのかな? なんて思っていたのだが、満を持してそこでもってくるか〜〜〜!! という嬉しいしてやられた感。めちゃくちゃ良かった。
やっぱり大画面で観るべき怪獣映画。迷っている人は行ったほうが良い。
ちっぽけな人間どもの悲劇や奇跡なんかは二の次である。
ありゃーただのオマケだ。気にしなくていーよ。


<無粋で蛇足な追記>
最初に日本に上陸した後、なぜゴジラは海に戻ったのか?
そのまま突き進めなかったのか? 放射熱線を放った後だから?
ゴジラが海に戻り小康状態となった間に民間による反撃作戦が立てられたのだが、そのあたりの描写がないのでやや不満。
学者先生がなにか一言、それらしい仮説でも口にしていればよかったのになと思うのだが。


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