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「ドラゴンさん」と呼ばれた日

初回の投稿を終えてから1週間が経過。
まさかのスキを、また頂いたことに恐縮しつつ、
もう視聴率や動員数的なことが、少しづつ気にならなくなってきたので、
今回は、さらに間隔を短くして、読まれることを意識しないで、本当にどうでもいいことを書いてみます!

数年前でしょうか…

小学校で「あだ名」が禁止になったと何かで知りました。実際に息子(現在3年生)が小学校に行き始めると「あだ名」は禁止されていました。

初めて公開授業を見に行き、息子が「えびさわさん」と先生から呼ばれているのを耳にした時、素敵なことだ!と心の中では思っていたのですが、不思議と体の奥が、ムズムズとかゆくなったのを覚えています。

私は名字に「海老(えび)」が入っているために、幼少期からずっといろいろな「あだ名」を付けられて生きてきました。エビ、エビくん、エビちゃん、かっぱエビちゃん、カニくん、ウミ…(もしかしたらあだ名とは言えないのかもしれません、愛称?ニックネーム?)先生の多くは、エビくんと呼んでくれていたような気がします。

さらに例外として、名前が「けんいち」のため、同じマンションに住む同級生のお兄ちゃんが「洗濯屋ケンちゃん」と呼んでくれたりもしました。なんとなく、当時のエッチなビデオで同じ名称のものがあることを、お兄ちゃんがニヤニヤと嬉しそうに教えてくれました。

そして時が経ち…
まさか…

「ドラゴンさん」

と呼ばれる日が来るとは
思ってもみませんでした。

あれは就職活動を諦めた、大学4年生の夏のころ。
地元の高校の同級生・山本に「“川崎縦社会″っていう会で遊んでるから、家に来なよ。後輩もいるから!」と久しぶりに連絡があり、暇を持て余していたので、嬉しくなって自転車を飛ばして行きました。

鍵が空いている家だったので、誰にも何も言わず家の中へ。
夜のため、暗い中、2階へ上がります。
そして山本の部屋を開けると、真っ暗な中、テレビが煌々としていました。
4人がゲームをしているのですが、そのうち2人が私の顔を凝視しているのがわかりました。

これが後輩かな、と察知し
「どうも」と挨拶すると
2人はちょっと怯えながら静かに

「ド、ドラゴンさんですよね…」

と聞いてくるではありませんか。
うわっ、と思いましたが顔には出さず、横で不気味な笑みを浮かべる山本を確認し、なんとなく察しました。

「うん。ドラゴンだよ」

「うわー、マジっすか!」

2人の声量が上がり、その目はキラキラとしていました。
そして私の容姿を見て、少し安心していました。
山本の部屋には、竹内力さまのVシネマが転がっているような所だったので「強面の人が現れる!」と思っていたようです。

ちなみに、その時の私のスタイリングは頭にタオルを巻き(キムタク巻きって呼ばれていたようです。当時はみんな頭にタオルを巻いていました)、Tシャツ、短パンの近所のお兄ちゃんスタイルでした。

そして安心した2人から、ドラゴンさんへの質問が始まります。

「もっと怖い人かと思いましたよ!」
「で、背中にあるんですよね?」

「はあ?」

「もうとぼけちゃって」

「いやいや」

「見せてくださいよ」

「えっ?」

「ドラゴン!」

えっ、えっーーーー!
無いでしょ、無い無い!!
ドラゴンって、あの竜みたいなやつでしょ!!!
わたし、近所のお兄ちゃんみたいな人よ!!!!
っていうか、日焼け止めを塗らないで日焼けして、火傷してしまい、まだ若かったのにシミだらけになってしまった背中ならあるぞ!!!!!
見せるの、これ見せるのーーーー!!!!!!

その時、笑いを堪えている山本の顔がインサートされました。

私がどんな顔をして、どんな言葉を言ったのか覚えていませんが、ご要望に応えて、おずおずと背中を見せると…

「ないじゃないっすかーーーー!」

と当たり前の様なコメントを頂戴し、みんなで笑い合いました。

21歳の夏、「ドラゴンさん」は一瞬のあだ名でしたが、私にとって今でも会うとくだらない話ができる「友」との始まりとなりました。
また、同級生のみんなが就職が決まり、自分だけがドロップアウトして悶々とした日々を送っていた中、少し救われた(忘れることができた)ささやかな夜でもありました。

(さらに川崎縦社会のエピソード「ガスボンベ大爆発」や「裸で自動販売機にケンカを売る」「裸で交差点シャンプー」などの「裸の大将シリーズ」はご要望もないですが、今後に書きたいと思います)

誰がどんなふうに呼んでくれたか、特徴的な呼び方ほど相手の顔を思い出すことができます。もう会うことはないであろう人の顔を思い出すと「自分の中では生きてるんだなあ」としみじみとした気持ちになります。

多分「えびさわくん」と呼ばれていたら、その顔は思い出すことはないかも…なんて考えたりもします。

そして、息子が小学校へ行きだしてから、しばらく経ったある日…

「エビって呼ばれたくないんだ!」と怒っているじゃないですか。そうか、そうかと同調するぐらいしかできなかったのですが(妻は「エビってかっこいいじゃん!」と言ってくれたりしました…涙)その後、先生に伝えて同級生と話し合ったそうです。「エビって呼ぶのやめて欲しい」と。

今では名前で呼んでくれているそうです。
これも時代なのでしょうか…

あっ、時代といえば今年の干支は「辰」だったんですね!
ドラゴン!じゃないですか!!

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