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今、解体屋ゲンを読んでない奴がマンガを語るな!1000話到達と狂気のセール!

ついに解体屋ゲンの電子書籍が100巻、そして週刊漫画TIMESの連載が本日1000話に到達した。

100巻1000話、おめでとう、解体屋ゲン!

解体屋ゲンについては、何度も記事にしてきたが、現代日本に一番必要なマンガであり、読まなければならないマンガである。建設業を舞台にして、日本の現実をひたすら描き続けているマンガなのだ。


よく「こちら葛飾区亀有公園前派出所」に例えられ、「建設業のこち亀」とか「令和のこち亀」と言われる解体屋ゲン。ただしかし、あのこち亀もキャラクターと世界の成長は描けていない。両津はたまにカッコイイシーンもあったり、時代に併せてやや丸くなりつつも最後まで両津たちは両津たちであった。

オリンピック開催年だけ登場する日暮熟睡男や、初期に大学生として登場し、結婚した大原部長の娘である角田 ひろみとその子供たちなど数名を除き、いわゆるサザエさん時空のマンガとなっていた。

対して、解体屋ゲンは時事マンガとして世を描きながら現実の1/3程のペースでキャラクターと登場人物を成長させてきた。もちろんそこで時間は歪むのだが、それでも時事マンガとしての社会描写とメインキャラたちの結婚・出産・子育てをしっかりと描き、物語の時を進めている。これを1000話続けているのだ。もちろんこち亀はとても偉大なマンガであるが、この成長はこち亀が届かない領域だ。

基本は単話構成で物語を進めつつ、2~10話のシリーズ展開があるのも解体屋ゲンの特色である。最初期以外は爆破解体の要領をしっかり盛り込むためにその形となっている。シリーズのカウントに入ってない話にもシリーズに繋げる描写は欠かさない。そして、仕事の描写についてはしっかりとした絵で魅せてくれる。

キャラクターはフレンドリーな絵だが、こと現場や建築物、道具の描写は徹底的に細部まで描くのは作画の石井さだよし先生の真骨頂である。もちろん原作の星野茂樹先生の取材の力も大きいと思うが仕事にウソは描けないのも解体屋ゲンである。建設業の未来の姿を描く、博士的キャラクターな谷の発明物を除くが。それは建設業の暗い現実との対比でもある。そのあたりのコントラスト差が広いマンガなのだ。

解体屋ゲンの活躍は多々に広がる。

・建設業を主体にして、建設業に関わる問題として談合の闇を描き続けた。
・爆破技師であるゲンの仕事として爆弾魔・テロリストとの戦いも描いた。
・海外からの会社や事業の乗っ取りも描いた。
・国や地方自治体、政治家との争いも描いた。
・難題の爆破解体についても描いた。
・高齢化・労働者不足・外国人技能実習制度についても描いた。
・女性の労働についても描いた。
・活性化のための街づくりについても描いた。
・商店街の再生や飲食店のコンサルについても描いた。
・反社との争いも描いた
・災害への備えについては定期的にリニューアルして描いた。
・コロナ禍と戦い、倒れる社会を他にない程に描き上げた。
・一部を除き海外に比べ弱体化する日本を描いている。

他にも

・乱暴者やオタクな若者の再生を描いた。
・自然環境と動植物の保全について描き続ける。
・都市に緑を増やすことも田舎の再生も多々描いた。
・リサイクルについては適時描いている。
・ゲーム、異世界、コスメと戦うゲンを描いた。
・子供から老人まで、全ての人の悩みに寄り添った。
・建設業を含め、曳家職人や瓶会社、プログラマー等の実在の話も描いた。

……まだまだなんでも描いているのだ。それが100巻1000話の重みと広さと面白さなのである。

そして、今、100巻の記念として、解体屋ゲンは電子書籍の各サイトで1~10巻を無料、11巻から100巻までを11円としたもはや狂気とも言えるセールを実施している。990円。千円でお釣りがくる金額でこの傑作を全て購入出来るのだ。もちろん各種サブスクサイト・アプリでも読めるが、このマンガはいつ何時、何度でも読める環境が必須になる、そんなマンガなのである。

実本(紙の本)の発売には恵まれず、だが電子書籍にて再生する解体屋ゲン。雑誌以外の版権を作者ふたりが持つ異例の形で新しい電子書籍の波に飛び込んでいるのだ。電子書籍販売の電書バトの超攻撃的な各種セールに作品を投入してゲリラ戦を展開、そして今回のまさに狂気な新刊までを全て対象としたセールを行っている。

解体屋ゲンは電書販売を通じて、現実でも社会と戦っているのだ。作内でも作外でも庶民の、労働者の代表として理不尽な戦いに身を置いているのだ。そして解体屋ゲンを買って読むだけでその戦いに参加できるのかもしれない。

敵は誰でも知っているメジャーなマンガ?単行本展開をしない出版社?

もちろんそうじゃない。

理不尽な社会と、そこで弱っている自分との戦いだ。


解体屋ゲンは希望のマンガなのだ。そしてそれはマンガの希望なのだ。


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