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コレステロールの分解ルートってないよな・・・

コレステロールとはそもそも何ぞや?

コレステロールが高いと動脈硬化になりやすいなど、悪者扱いされやすいコレステロール。
では、コレステロールは身体の中でどのような使われ方をしているのかといえば、主なものは「細胞膜の構成物」、それから「ビタミンやホルモンの基本骨格」の2つである。卵、肉、魚なんかには多く含まれているといわれているけど、それぞれの食べ物の細胞膜の成分でコレステロールの量が決まっていると思っていい。
特に卵はコレステロール含有食物の代表格とみなされていて、可食部分100gあたり、1,200㎎のコレステロールが含まれている。多くの疫学研究でも卵の摂取量と心血管疾患のリスク評価に用いられている。多くの研究では卵を1日1個以下であれば、心血管イベントを増やさない、という結論だった。

コレステロールはどこから来るか

コレステロールはどこから来るのか? といえば、食事に含まれるコレステロールを吸収するのと体内で作られるコレステロールがあり、体内で作られるコレステロールのほうが多くて、食事に含まれる量の3倍から7倍もある。

正確に言うと、血中のコレステロールの値を規定しているメインの因子は、肝臓でのコレステロール生合成である。そもそも人体にとっては、細胞膜を作ったり、ビタミン・ホルモンを作ったりとコレステロールは必要なものなので、体内でも合成できるようになっていて、むしろそっちのほうがメインである。

肝臓で作られたコレステロールは、トリグリセライド(中性脂肪、トリアシルグリセロールなどと同じ)とともに、アポタンパク質B-100でラッピングされて、肝臓から放出される。その後、体内の細胞膜に取り込まれたり、アンドロゲンやステロイドなどのホルモンに変化する。細胞は死ぬとマクロファージのような貪食細胞に取り込まれる。またホルモンとして分泌されたアンドロゲンやステロイドも細胞内の分解プロセスで分解される。

コレステロール降下療法

そこで、現在コレステロールが高い場合の治療方法として、メインは肝臓でコレステロールを作る酵素を抑えて、合成されるコレステロールの量を減らす。これが一般的な治療で、最も効果的。スタチンがこれにあたるし、PCSK9阻害薬はその派生したものと考えてよい。
もう一つは小腸で吸収されるコレステロールを減らすというもの。肝臓で作られたコレステロールは胆汁酸としても分泌されるので、食物に含まれるものと胆汁として分泌したものを吸収ブロックしてそのまま外へ出すという治療もある。
最後に、血漿中のコレステロールを血漿交換という、透析と同じ手法で強制的に除去するというもの。
治療方法として、コレステロールの分解機構をどんどん進めるというものはない。

明確なコレステロールの分解機構はない

すごくもやもやする結論だけど、これが本当だからしょうがない。
コレステロールの合成と吸収についてはよく知られているが、コレステロールの分解機構には明確なものがなく、細胞膜やホルモン、胆汁などいろいろな用途に使われて、最後のごみとなった状態で、マクロファージに食べられたり、小腸から吸収されずに排泄されたりして、最後に捨てられる、という機構なわけである。
コレステロール分解機構を持っていないことには理由があるのだろう。それだけコレステロールとは生体にとって必要なものということ。

例えば、PCSK9の機能喪失型変異を持つ人のように、遺伝的に低LDL血症の人はいるんだけど、LDLが肝臓にどんどん取り込まれていくので、血中のLDLは少なくても、全体のコレステロールの量そのものは減ってはいない、ということなのだろう。

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