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不整脈原生心筋症(ACM)の遺伝的背景について

イタリアの大学からの報告です。
診断基準を満たす446人について、右室型、左室型、両室型に分類して、それぞれの致死性不整脈、心不全、心筋障害エピソード、突然死の割合について調べたもの。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0735109723083092#tbl1

致死性不整脈を起こしやすいのは右室を含むものであるとか、心不全は左室型のほうが多いなどの新しい知見が示されています。

遺伝的背景に関しては、我々の集団では49%の患者で遺伝子変異が陽性であったとのこと。さらに、右室型ではPKP2遺伝子の変異が優勢であった(遺伝子陽性患者の69%)のに対し、左室型ではDSP遺伝子の変異が最も多かった(63%)という結果であったと。


不整脈原生心筋症の遺伝子プロファイル



また研究者らは、PKP2群はDSP群よりも致死性不整脈が起こるまでの生存期間が短く、リスクが有意に高いことを見いだしています。既報によると、切断型DSP変異体(DSPという遺伝子が途中で途切れてしまうような変異)を有する一連の患者を分析し、大部分の症例で左室に病変が存在することを確認しています。ただ、不整脈発生は両群で変わらないという結果でした。

本研究で著者らは2つのサブグループにおける危険因子を分析し、DSP患者ではLV駆出率が軽度低下している場合にLTA発症リスクが上昇することを見出しています。一方、PKP2患者では、不整脈イベントの発症リスクはRV機能障害および頻回のPVCが存在することと関連しています。この点が既報とは異なります。

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