なぜ髪の色は人それぞれ?
毛髪の色は毛乳頭部のメラノサイトと呼ばれる細胞で作られる「メラニン色素」の量と種類によって決まります。
メラニンには「ユウメラニン」と「フェオメラニン」の2種類があります。この2つは生合成経路が異なるため、違う色を示します。例えば黒人の毛髪にはユウメラニンが多く、赤毛の人の毛髪には赤いフェオメラニンが多いです。
メラノサイトで作られたメラニン色素は、小胞体の一種である「メラノソーム」に包まれて保護されます。メラノソームは発達段階があり、完全に発達したメラノソームほど多くのメラニンを作ることができます。メラノソーム内が酸性になることが、メラニン合成に重要で、その役割を担う遺伝子があります。メラニン合成の鍵となる酵素チロシナーゼの変異は、色素が作れないアルビノの主要な原因です。
できあがったメラニン色素は、メラノサイトの突起を通じて毛髪を作る毛母細胞に受け渡されます。この輸送には分子モーターなどが関与していると考えられています。
以上のように、毛髪の色の濃淡はメラノサイトのメラニン合成能力と、メラノソームのケラチノサイトへの輸送効率に依存しているのです。遺伝的な要因は、この一連のメラニン合成と輸送の過程に影響を及ぼすことで、我々の毛髪の色を決定しています。
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