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不思議空間:銀座シネパトス

その昔、銀座の晴海通り三原橋交差点の地下に、銀座シネパトスという映画館がありました。
私が生まれるよりもっと前は、川が流れていて、橋があったそうです。川を埋めたてて、できたのが三原橋交差点。
埋め立てたので、そこだけ道路が盛り上がっていました。

その三原橋の地下にできた地下街に、銀座名画座と、銀座地球座という映画館があったのです。
その後、銀座名画座がシネパトス1、銀座地球座を二分割してシネパトス2、3の三つの映画館になりました。
だから、わりと小さい映画館なんです。
この映画館の特徴は、プログラムは何でもありで、統一性がない。なんでも上映。
芸術性が高い映画から、B級映画からなんでもあり。

地下鉄銀座線がほぼ、映画館と同じ位置に走っているので、みんなのうたの「ちかてつゴーゴー」状態なんです。 

♬ ちかてつゴーゴー、ちかちかゴーゴーゴー。

そして天井の上が三原橋交差点ですから、自動車が通るたび、ガタガタします。
地下にある映画館のイメージは、ビルの地下にあるイメージです。
たとえば、本屋さんなどのビルの横にある階段を、しずしず降りていくと、シーンとした空間に映画館があるという感じです。
でも、シネパトスは天井の上が道路、それも晴海通り、上にビルがない。
上に何もない地下は、なんだか、頼りなくスカスカした感じ。
ビルどころか、埋め立て地だもので、道路が盛り上がってさえいる。
晴海通りだから交通量が半端ない。

あんまり映画館らしくない立地です。
そして何より、その三原橋地下街が、どうにもこうにも銀座っぽくないのです。
あまりにもディープで、おしゃれ感全くないのです。

さて、ここで私はジョニー・デップの「ドンファン」を見たのです。
映画が始まると、
ゴー、ゴー、ゴーーーーーーー。
ガタガタガタガタ。

ドンファン
ジェレミー・レヴェン監督 1995


結局、覚えているのは、ジョニー・デップのバリバリめばりと、スペインなまりを強調したせりふ回し。
精神科病院の庭で踊る、ジョニー・デップのドンファン。

とにかく不思議空間でした。
シネパトスは2013年に、映画ファンに惜しまれながら、閉館しました。

シネパトス入り口

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