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がんばらないようにね。

どうしようもなく疲れたときなど、
「がんばれ私。」なんて独り言を言ってしまう時があります。
先日もつい言ってしまったんですが、ちょうどBSのアンテナ線の修理で家に来ていた電器屋さんが、私の後ろにいました。

「まあ、いいや。」

「がんばらないようにね。自分を大事にしてね」なんて、他人には言っている私ですが、実は自分にはがんばれと言って、がんばらせているのです。
でも、先週の神経内科名誉院長の診察の時に、最後に言われました。
「がんばらないようにね。」
なんでもお見通しです。

名誉院長のアドバイス、
「ありがとうを自分から言う。」
「ごめんねを自分から言う。」
「ほめる。」
「目を見て話をする。」
「相手の心を開かせてから話をする。」
などを、障害のある長女に対して、試みてもうすぐ一年。

ずいぶん私の心が軽く楽になってきました。
いやあな気分になることなく過ごせています。
初めのうちは、意識して、
「ありがとう、ごめんね。」などと言っていましたが、最近はごく自然に言えるようになってきました。

そして生活も穏やかになってきました。
私の生活だけでなく、長女も以前に比べれば、気分の変調も少なくなってきています。

私自身、以前は
「生きているのに疲れました。」などと言っていました。
名誉院長は、
「生きるって楽しいんだよ。」と言われます。
87歳の人生の先輩の言うことには、説得力があります。

そうです。楽しいのです。
毎日、いろいろなことが起こる生活。
障害のある長女と二人の老障介護の生活。
楽しいと思えるのはなぜかなと考えてみたら、長女が正直な人だからかなと思い当たりました。

障害のある人と暮らすには、それなりのケアが必要だったり、見守りが必要だったりします。
長女は知的障害だけでなく、自閉症のこだわりや、躁病もあるので気が抜けません。
ケアや気配りは必要でも、相手が気持ちのいい相手だと、心が楽です。

ケアの必要がない、いわゆる健常者といわれる人との暮らしでも、心にズーンと負担が来る生活だと相当疲れます。
例えば、一日中、不幸話を話す人や、恨みつらみ憎しみを垂れ流す人や、なんでも他人のせいにする人や、言い訳ばかりする人や、重たく寄りかかってくる人や、お金をせびる人や、誹謗中傷する人や、世の中の人を馬鹿にしている人や、私のことを蔑視する人や、罵詈雑言を発する人、怒鳴ってばかりいる人、暴力的な人、差別する人などなど、であったら、一緒に生活していても、苦しいものがあります。
そういう人たちとはなるべく距離を取って生活しています。

だから、嘘も言えない正直者で、ハンカチにアイロンをかけてあげると、
「ありがとう。」って言ってくれる長女との暮らしは、楽しいのです。

私はよく、お子さんが健常者の方だとか、健常者のご夫婦の方などから、相談事をされます。
なんで、私みたいな障害者の母に相談をするのだろう。彼らの方がよっぽど、幸せな暮らしをしているのではないかしらなどと、不思議に思っていたのですが、私は、幸せそうに見えるのかもしれません。

たぶん、幸せなんでしょう。
日帰りバス旅行や、実習の医大生が来ているなどの、非日常が続いて少し、長女の声が大きくなってきているので、躁転しないよう、穏やかな暮らしを続けていきましょう。



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