見出し画像

春はくせもの

ライオンのようにやってきて、羊のように去っていった3月のあとには、嘘で固めた4月がやってきた。
桜も、チューリップも、スミレも、水仙も、みんな一斉に咲きだして、なんだか気分がウキウキする。

ウキウキだけならいいのだけど、ここがくせもの。
急に暑くなったり、寒くなったりして、何を着ていいのかわからなくなる。
自分のことは、何とかなるが、何とかならないのが、知的障害のある長女のほかろんさん。
明日着る服を、今日の朝に用意するから、今日が暑かったら、明日は暑い日の服になるが、現実はそれほど簡単でなくて、今日暑くても、明日は寒いなどということがあるのが、春。
ものすごく暑い日に厚着をして、真っ赤な顔をしてたりする。

ヨシタケシンスケみたいに、「あつかったらぬげばいい」ができないほかろんさん。
暑さと寒さの急激な温度差で、「いらいら」がつのる。
新年度の行事やら、変化やらで、スケジュールが混乱する。
ただでさえ、変化が苦手なのに、変化の渦に巻き込まれ大混乱。

そうなってくると、心配なのが躁転。

世の中の大混乱を少しでも、柔らかくするための緩衝材は、ほかろんさんがいうところの「おうち」なんである。
そういうわけで、母は、正気を保ち、平和を保ち、決していらだたないよう、気持ちを落ち着けて過ごす毎日。

年末、新年度、連休、などは、今までに何度も躁転のきっかけとなっている。
なんとか、この春を乗り越えられますように。
春はくせもの。
温かく、柔らかい日差しで、ほかろんさんを包み込む。

よろしければ、サポートお願いします。老障介護の活動費、障害学の研究費に使わせていただきます。