たった1人に選んでもらえたこと
彼とカルティエに婚約指輪を買いに行った。ずっと憧れていたバレリーナは輝いてた。
5号か6号で悩んで、何度もつけたり外したりして。
「落としちゃわないかな」私が言うと彼は「落としたらまた買ってあげるから」と言った。
カルティエで担当してくれた美人で上品な女性は「さすが」と言って笑った。
奥に通されて、店員さんが席を外した時。
本当に彼は婚約指輪をプレゼントしてくれるんだなあ、私、本当に結婚するんだなあ。
そう思って隣を見ると、本当に心が優しくて素直で素敵で愛おしい人がいて、緊張している様子で。何億人も人がいる中で、あと何年も人生がある中で、私を選んでくれて、こんなに高価なものをプレゼントしてくれる、その覚悟と愛が嬉しくて、涙が出てきた。
涙が出た私を察して、そっとハンカチを差し出してくれた彼の目にも涙が浮かんでて。
何年先もこの人を大切にしたいし一生笑って生きていきたいし、この時の初々しい2人がいつかきっと懐かしくなる日が来ることがまた、愛おしかった。
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