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千里馬は千里の道を行く

これが最初の作品に関する投稿になります。

千里馬は元は中国の古典に出てくる、とても優秀なよく走る馬全般のことです。
北朝鮮ではペガサスのような見た目になっており、千里の道を1日で駆ける伝説の馬としてプロパガンダに使われています。(最近は万里馬とか言うのも出てますが...)

私は競馬が好きで、推し馬がたくさんおり、金儲け目的ではなく推し活目的でやっています。
この絵に描かれている馬、手前に大きく描かれている子はメロディーレーン であり、奥にいるメロディーレーンを見る馬はタイトルホルダーと言います。

メロディーレーン

この子は椿の花の品種から名前をメロディーレーンと付けられました。
メロディーレーンは日本の中央競馬の中で今のところ1番小さい馬です。地方競馬ではバジカクモミジなど、もっと小さい馬が居ますが、とりあえず今の中央競馬の中では彼女が1番小さい個体となっております。
競馬ではあまりにも小さい馬は大きい馬に比べてスタミナ、筋力量などが劣りがちで、デビュー戦を勝利するだけでも大変厳しいのです。
ただえさえ、競馬の世界では、どれだけ優秀な血統や体格を持つ馬でも、デビュー戦勝利すら出来ずに引退する、あるいは地方競馬の方に行くことが普通なのです。中央競馬でダメだったら地方競馬とか障害競走などに行く子もいますが、それでも勝てないことが多い、それだけ厳しい世界です。
メロディーレーンはそんな中、4回勝利を果たしてます。しかもなんと阪神競馬場で行われる長距離レースばかりです。体が小さいのに長距離レースで功績を残しているという驚くべき名馬と言っていいでしょう。地方競馬では彼女よりも小さい子がちらほらいますが、やはり前述した通り、不利な馬体なのでメロディーレーンのように勝てる子はなかなかいません。
さらに、優勝しなかったレースでも、彼女はかなりの活躍をしています。
1番注目すべきは菊花賞で掲示板内5着になったこと。
菊花賞は、牡馬三冠という大きな3つのレースのひとつで、3歳馬のうちしか出れません。牡馬三冠となっておりますが、優秀な子であれば牝馬でも一応出走できます。ですが、馬でもやはり性差による体格の有利不利は現れやすいもので、牝馬が牡馬三冠のレースのどれかひとつだけに出ることだけでもとても難しいこと。
特に長距離走れる牝馬はなかなかいないものです。
もちろん1着に入った馬もすごいですが、そんな難しい牡馬中心のレースに牝馬が出るだけでもすごいこと、これに加えて掲示板圏内、つまり上位勢に入るのはさらに素晴らしいことなのです。

タイトルホルダー

タイトルホルダーはそんなメロディーレーンの弟です。正確には、父親違いの弟です。このきょうだいのお母さんのメーヴェ。
メロディーレーンのお父さんは黄金の暴君とも言われた三冠馬のオルフェーヴル、タイトルホルダーのお父さんは、ウマ娘でもおなじみかつキタサンブラックの良きライバルだったドゥラメンテです。
タイトルホルダーは菊花賞、天皇賞春、宝塚記念で優勝を果たしており、彼もまた長距離レースが得意です。(宝塚記念は距離は中距離ですが、坂が2回ほどあり、そのためスタミナが多く必要になります)

蓮の花

蓮は、仏教で輪廻転生の象徴かつ神聖な花として扱われます。
人が生き、色んな人と出会い、死ぬ。
それが何度も繰り返され、歴史が続いています。
これと同じように、競馬でも多数の馬が活躍し、子孫を残し、一生を終えることを繰り返していますが、彼らの記憶や記録、子孫たちが確実に今に至るまで伝わっています。

この絵を描くかどうか構想していた頃は、ちょうど夏で蓮が咲いており、実際に見に行きました。

どれも非常に見事に咲いていました。
しかし、これらの花を見に行く数ヶ月前の春、タイトルホルダーは天皇賞春の連覇を狙っていましたが、途中で体調不良を起こし、命に別状はなかったものの、競走中止になり、しばらく休養に入ることになったのです。
メロディーレーンは最後まで走りきれましたが、結果は芳しくありませんでした。
2023年の夏の間は彼らにとってなかなか難しい時期でした。ここから、私は彼らのことをもっと応援したいと思ったのです。
冬になれば、また大きなレースが沢山開催される時期が来る。蓮の花が咲く期間から、椿の花が咲く冬に向けて、このきょうだいが開花できるようにと願って。

千里馬のように、もっと高く、もっと速く

メロディーレーンもタイトルホルダーも、長距離を得意とし、記録を共に残してきました。
中国の古典に出てくる千里馬という呼び方が似合うなと感じます。
あるいは北朝鮮の伝説の馬の千里馬も彷彿させます。北朝鮮の千里馬はプロパガンダ絵画で描かれるとき、よく「もっと高く、もっと早く」というスローガンも表記されることが多いです。(念の為に書きますが、私は別にこの絵に政治的な意味を込めていません。ただ単に北朝鮮の文化に興味があり、その影響で色々調べていただけです。)

冬に行われるレースにはG1ならば有馬記念が、G2ならステイヤーズステークスがあります。
大変だった時期を乗り越え、これからまた、このきょうだいが千里馬のように長い距離を、無事に早く走れますように。

もっと高く、もっと速く。

絵、写真:鷺月子
文章:アリス中毒

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